1 子竜(巫女姫アルダ)の嫌がらせ♪
数年の神代での修行を終えて戻ったら、先に戻っていたセイラとアイラの足元に小竜がいた。
「お前は・・・」
それは自分たちの時間の始まりの森でセイラの体に眠るように吸い込まれた小竜だった。
カインは小竜を認めると笑顔で安堵した。
「目覚めたのか。 良かったな。」
そうして頭を撫でようとして、近づいたら避けられた。
アイラの思わず漏れた笑い声が聞こえた。
何故だろう・・・カイルには普通に頭を撫でさせている。
カインは宙を搔いた腕を下ろした。
またある日の事。
神代で竜と親しく接していたカインは、竜の好む実を食べさせようと手を近づけたら、
手を噛みつかれた。まぁ、甘噛みだったが。
なんだろう・・・この敵意剝き出しの視線は。
なんとなく既視感を覚えるが、「そんなはずは・・・」と首を振る。
気落ちした肩をそっとちび太陽神の優しい手がぽんぽん、あてられた。
セイラが小竜を呼ぶ名に驚く。
「アルダ様」
嬉しそうに小竜を両手で抱きしめるセイラ。
アルダと呼ばれた小竜もまんざらでもないのか機嫌が良さそうだ。
そして、ちらっとセイラから視線を逸らしてこちらを見た時の、勝ち誇った顔。
アルダと言う名前を持つものは人であろうと、竜であろうと己と相性が悪いのだろうか、と自問したカインだった。
そしてカインの気づかないところで、ハイタッチするアイラとアルダだった。
カインの受難は始まったばかりなのかもしれない。
「楽しいのぉ」
と呟いたちび太陽神の呟きはカインには幸運にも届かなかった。