1/1
第〇一話|それは、突然に。
ある時、僕は不思議な夢を見た。
白銀光る美しい髪、月に照らされ紅に光る眼、何処か儚げに見える姿。
彼は空を見上げ、僕は只彼を見ている。
ふとこちらを見た彼は、僕を見て、囁く様に笑う。
そんな不思議な時間を共にする夢であった。
暫くそんな時間を過ごしていた。
が、暫くして彼は「君たちは今、幸せかい?」と僕に一言口を開いた。
何処か達観している様だった。
自然とその言葉は嫌味などでは決してないと思えた。
僕は少し考え、「少なくても、僕は今苦しくはないよ。」と言ってみせた。
すると彼は安心した様に、優しく笑い、「そうか。それならいいんだ。」と
そして僕に眩しげな光が横切るように見え、その夢から覚めたのだった。
子供ながらに見たあの夢を、僕は今でもはっきりと覚えている。
其れが何だったのか、分からぬまま。