酒場で知る、次に成る
あれから牛舎の依頼を済ませて、再度風呂に入ったのちに
ギルドに行き報告を済ませた
そう思って受付から一旦去ろうとしたら
「ソラアミセントさん、タスメさん」
「ん?」
「どうしましたか?」
「報告したいことがありますので、アキハラシナコさんとコヌマミツミさんと合流したら、また受付にお願いします」
「え?分かりました」
「分かったッス」
何だろう?まあ、2人が戻ってきたらすぐに分かるし今は考えなくていいや
「今日は早かったッスし結構時間ができたッスね
どうするッスか?勇者アキハラシナコも勇者コヌマミツミもまだ戻ってこないと思っているッスし」
「あータスメさん、ちょっといいか?」
「どうしたッスか?」
「さっきの依頼中に、俺は『動物は喋るか?』って質問したんだけど、それと同時に『魔物も喋るのか?』という疑問も思い浮かんだんだ
タスメさん、いままで馬車で色々とまわっていて実際魔物が喋っている所とかって見たり聞いたことあるか?」
今まで魔物は無言か、何か鳴き声や金切り声の様な声しか聞いたことが無かった
作品とかだとザコ魔物だと普通に奇声だけだがドラゴンのような大物になると喋ったりする
まあ、喋っていたと思ったら……人外の姿なのが序盤だけですぐに「この体では不便か」っていい、すぐ人になってしまう展開…モノクロノイズ先生が言うに「序盤限定人外」って創作内でやってはいけないことの1つだし実際にその展開を見たら毎回不快になる
そして、その展開をしている作品は総じて物語内の設定が雑であることが多い、人外の魅力を知らないから物語に深みを持たせられないんだろな……って俺は思っているし
ともかく、まずは喋ってっている魔物がいないかタスメさんに聞いてみよう
「喋っている魔物ッスか……聞いた事無いッスね」
「以前に言っていた、あまりに強くて名前が付けられている魔物…とかも喋ったというのは聞いた事ないか?
俺のいた世界にあった物語だと、強すぎて知性も発展して喋れる魔物とかがいたりしたし…」
「無いッスね、俺よりも戦闘経験豊富なギルドにいる冒険者に聞いた方が分かりやすいと思うッス」
「なるほど、じゃあ、ちょっとここより人が多そうな2階に行ってもいいか?」
「行ってらっしゃいッス
俺はここで2人を待ってるッス」
「行ってくるよ」
そう言って階段の方面に向かって行った
階段を上がっていき、2階の方へ行く
ギルドマスタースイトに呼ばれた時以来の場所ではあってちょっと懐かしく思う、両開きの扉を開いて中を確認してみる
その場所はいかにも酒場の雰囲気がして、何かアルコールのような匂いもしてくる…酸っぱいような苦いような
テーブルが1階よりも多くあって、何組も入りそうだが今はあまり客がいないのか数人しかいない
夕方前だけど、なんだか酒盛りをしている人もいるな……
奥にはカウンターもあって、そこでは店員さんが料理を運んだり酒を作っている、夕方や夜の忙しい時期より前の時間だからちょっとリラックスしているようだ
俺の姿に気が付いたのか、何人かが俺の姿を見たが
…………驚いたりびっくりしている人がそんなにいなかった、冒険者をしている成果が出てきている
噛み締めたいけどそれは一旦置いとく、取り合えず冷やかしにならないように何か注文をしよう…えっとメニューは………
「勇者さ……お客さん、いらっしゃいませ
好きな席にどうぞー」
それなら好きな席に座ろう、他の冒険者のいる近くの席に
席の方にメニューはあるのかな?と座って見てみると何か2つ折りの黒板が置いてあって開いて見ればそこに一覧と値段が書かれていた、どれも銅貨で済んでお得だ
色々と注文してたくさん食べてみたいが……
「トマトスープを1つお願います!」
「分かりました!」
でも、昼に腹いっぱい食べたし集合した後は晩御飯もあるから少なめにしないと
味の濃さもあるし、たくさん食べたらすぐに腹いっぱいになってしまう
さて、ちょっと聞いてみるか
「あ…あのー」
「ん?どうした?」
近くにいたガタイの良い数人の冒険者に話しかける、さっきまでパーティーメンバー?達と日常会話をしていたようだけど乱入して申し訳ない
「勇者ソラアミセントです、俺達は別の世界から来まして知りたいことがあるので聞いてもよろしいですか?」
「ほう?礼儀正しいだけでなく勉強熱心なんだな?」
「はい、好奇心旺盛なので!」
「おう!何でも聞いてくれ!」
結構気さくな感じで答えていただきそうで良かった、もう怯えているような反応に罪悪感などを感じなくてもいいのかな?
「王都セカンドルトからヒューラルエクジトを経由してヒューラルにたどり着いたのですが、この異世界に来てから色々と魔物と戦ってきました
ふと思ったのですが、魔物って奇声とか鳴き声のような物しか聞こえないのですが喋ったりすることはありますか?」
「魔物が喋る……?なあ、お前ら、そうゆうの聞いたことあるか?」
声をかけた男性はパーティーメンバーの人達に聞いてみたけど、誰もが顔を横に振った
「いやぁ、すまねえな、群れたり洞窟内に複数個体で住んだりしているのを観察した時もあったけど喋っている様子はなかったしな、何か探しているのか?」
「そうゆう訳ではないのですが、この世界のマナで地球から来た俺たちと皆さま方の言葉が通じるのに動物や魔物の言葉が分からないのが不思議に思いまして、先ほどしてきた依頼で動物に詳しい方がいたので動物に関しては聞きましたが、魔物についても聞いて見たくて……そのために冒険者の皆様に聞いてみました」
「そうゆう考えもあるんだな?異世界人には?
俺たち世界中を見てきたけどそんなの聞いたことも無かったし、そんな噂も聞いた事なかったな」
「なるほ……世界中?!もしかしてランク2か1ですか!?」
「ああ!ランク1だ!」
以前に舞台であったナイヴォさんもランク1だった、こんなにも最大ランクの人に出会えるものなんだろうか?
「そんなに驚くものなのか?」
「その、俺のいた地球には冒険者が無くて、こういったランク的なのって最高になるのは難しいものと思っていたので」
「そうかな?普通に真面目に仕事をこなしていけば誰だってどのパーティーだってランク1になれるぞ?
俺のようなガサツな奴でも簡単にな!ハッハッハッハ!」
そう大笑いすると他のパーティメンバも笑っていた
どうやら、ここ風のたまり場…いや、多分だけど世界中にあるギルドでランクを上げるのは優しい可能性もある
ここはギルドマスターと職員のさじ加減で変わるとは言っていたけど、場所によってランクアップの方法が違う所もありそうだ
「じゃ、俺達はこれでそろそろおいとましようと思ってな!」
「はい!情報をありがとうございます!!」
「ああ、勇者達も魔王を倒せるように応援しとくからな!」
そう言ってあのパーティーメンバーの人達がカウンターにお金を払って去る、と共に注文したトマトスープがやって来た
平たい深皿の中には赤々としたスープが入っており、真ん中にはちょっとおしゃれなお店であるようなミルクが少量かけられてあった
共にスプーンも添えらてり、少し掬ってみる
トロミがあって濃厚そうで食欲がわきそうな美味しそうな酸味と塩身が混じったような臭いもしてきた
一口いただいてみると口の中に暖かくドロッとし、ちょっとした半熟みたいなトマトが口内に広がる
味は相変わらず濃いがやっぱりこの世界の肉体労働後に食べるとその強めの味がよく身に染みる
そう思って頂きながら、さっきの話について考える
1パーティーから聞いた情報だったけど、さっきの人達は世界中を回っていたけど魔物の声を聴いた情報は一切なかった
やっぱり動物みたいに、言葉が無く本能で何かを言っているだけってことか
ちょっと、魔物が喋るっていうロマンが欲しかったような気もするが、だけど魔物が喋ったら喋ったで戦いにくくなるかもしれないし、魔物と交流とかあってむしろ平和になるとかいろいろとあったかもしれない、討伐するのが目的だからこそ単純に喋れなく殺意だけで襲いかかって来るなら同じく単純にこっちも戦えるというのがいいのかもしれないな
「あのー」
「え?ああ、こんにちは」
「こんにちは」
トマトスープをすすりながら考えていたら、1人の女性が話しかけてきた
別の席にいたパーティからから来たのか、奥のテーブルにいる人達がこっちを見ている
どうしたんだろう?
「勇者様、ですよね?」
「はい、空網千斗と申します」
「あ、やっぱり、さっきの話を聞いてしまったんですが
喋る魔物かいないか?でしたか?」
「はい、マナによる翻訳魔法の事を聞いていましたら気になりまして」
「喋る…とは違うのですが、人の声をマネするのは戦ったことはあります」
「マネをするですか?」
マネる?インコやオウムのようになのか?
「はい、私たちのパーティーの誰かの声を聴いて
よく言うような言葉…例えば敵の方向とか攻撃の合図とかをマネして妨害をしてくる魔物といろんな場所で戦ったことがあります
パーティーの混乱に繋がりますのでお気をつけてください
これから先の冒険に役立てたらな…と思いまして」
そう言って一礼してすぐさまパーティーメンバーの方へ戻って行った
「ありがとうございます、仲間たちにも共有して気を付けておきます」
そう言うと、一度手を振ったのでこちらも手を振り返した
再びトマトスープを食べながら考える
どうやら「喋る」魔物はこの世界にいないらしいな、言葉をマネして混乱させるって知能はあるらしいけど、それは習性のような物かな?
このマナによる翻訳魔法についての事が大体わかったかもしれない
機械のような、言葉をそのまま翻訳しているのでは無く本人の意思をくみ取って翻訳をしているのだろう、だからこそ口調や一人称などのちょっとした言葉の違いもでてくる
逆に動物や魔物は「言葉の概念」が無いから意思も無く、発言をしていないってことだろうか?
そう結論づけることにした
さて、トマトスープ美味しかったしカウンターに食器も返してお金も払って
「ありがとうございました、美味しかったです」
「どういたしまして」
そう言いながら酒場を出て行こうとし……
「よーそこのアンタ!」
って声をかけられた、夕方前なのに飲んでいて……正直申し訳ないが話しかけてなかったんだけど
「色々とみんなに聞いていたけど、俺には何か聞かないのか?」
「あ、いえ、俺の知りたかったことはもう分かったので」
「それ以外に何か聞きたいことは無いのか?おにーさんが色々と教えてやるよ!若い勇者さん!
なんなら、いっぱいおごるぞ!」
「いえ!まだ酒飲めない年齢なので!」
正確には、この異世界での年齢では酒を飲めるけど地球での俺はまだ学生だ!
成人したとしても飲む気はない!ずっと前に成人年齢について知った時も思ったが、こういった時に学生なのに異世界行って「ヤッターお酒だーグビグビ」ってよく見かけるけど余裕でアウトだからな!ネット小説で書かれていても書籍で「酒のような物にされる」か「主人公の年齢を変えられる」か「飲酒シーンが消される」のどれかだ!
これは意志を強くして断らせてもらおう、もう質問することはないし
「あーそれじゃあ、飲めないかー残念」
「はい、ではこれで…」
「あーじゃあこれだけ、これだけは言わせてくれ!」
「………じゃあ聞きます」
これだけ…これだけで済むのだろうか?
「勇者さん、この街に来た時大変だったらしいな」
「え?はい」
「石を投げられたって聞いたけど、あの子供の事は悪く言わないでくれ」
「………うぇ!?」
え?なんで?なんでここであの石を投げられたことについて言われたんだ!?
思わないことを聞かされて声が上ずってしまった
「え?あの?急にどうしたんですか?」
「いや、本当は勇者って聞いて、子供が石を投げたって聞いてスカッとしたと思ったけど
前とは違ってアンタらは優しいみたいだからな」
またも、俺らと比べられている『何か』の事だろう
俺の中では結構明瞭化されてきているけど
「それでねぇ、あの子は理由があるから厳しいことはしないでほしんだー
セメリくんとシキギちゃんは大変だったって聞いたしよー
そんな話がヒューラル中に広がっているからな」
「………」
あの時に大騒ぎしていたから名前は一瞬しか聞いておらず覚えてなかったけど、「セメリ」さんと「シキギ」さんという名前なんだ、くん付けとちゃん付けでどっちがどっちかすぐにわかった
本当は目の前にいる酔っぱらった方に今すぐにでも何があったかを聞きたかった
でも、聞くなら本人か…もしくはその親とかに聞きたいと思った
劇場で見かけた時は見逃してしまったけど、本当は会って話がしたい
もちろん説教ではなく、誤解とを解くとかそんな意味で
だけど自分から近づいて行くのは悪手の可能性がある、品子さんが言っていた通り俺たち……と言うよりも「勇者に」怯えていたら相当怖い思いをしてしまう、子供の内から怖い思いなんてさせたくないからな
……もしかすると手遅れな可能性があるかもしれないけど
「すぅーーーーふぃーーーーー」
「……どうした、勇者さん?」
「ちょっと、頭の中を整理するために深呼吸しました
かなり有意義な情報…ありがとうございます」
「あー、何かすごいこと話したっけ?俺?」
「俺からして見たら本当に凄い情報でした、ありがとうございます」
「オーそうか!それならやっぱり一杯……」
「それでは失礼します!!!!」
「あっ!ちょ……」
いい情報は本当にありがとう、けど、未成年者飲酒の事は別だ
失礼ではあるがこれ以上は話を長引かせたくないから去ることにした
酒場を去って1階に降りると、タスメさんだけでなく品子さんも蜜巳さんもそこにいた
どうやら女性陣たちも依頼が終わったらしい
「おかえりー千斗!」
「おかえり…………なさい」
「おかえりッス、有意義に聞けたッスか?」
「ああ、結構有意義に過ごせた」
「ねーねー千斗?どうだったの?タスメから何しに行ったか聞いたけど魔物とかって話せるの?」
「ああ、それは……」
俺は本日に聞いた動物や魔物が喋るかどうかの話を3人とした、自分の中でできた結論も含めてだ
それと共有したいこと話す
「まだ俺たちは会ってないけど、オウムとかインコみたいに俺たちの声をマネして、混乱させるような魔物もいるらしい、喋るとは違うけどもし出会ったら気をつけよう」
「そうゆうのも…………いるんですね」
「ああ、それからこれは喋るとは違う話だけど……」
「ん?随分と真剣な顔をしてどうしたッスか?」
「ああ、俺達がヒューラルに来た時……石を投げてきた子供…セメリさんとそれを止めたシキギさんの事を話していた人が酒場にいたんだ」
「え?!」「……え?」「マジっすか?」
正確には向こうから話しかけられたんだけどね
「酔っぱらっていた人だったし詳しくは聞いていないんだけど
勇者って前の奴らと思ったから抵抗している様子をみてスカッとした、けれども前と違って俺たちは優しい、だからこそあの子供の事を悪く行ったり思わないで欲しい
ってことを言われたんだ」
「前の………奴ら……………」
「ねー千斗?前の奴らって?」
「……まだ俺の中ではまとめ切れてないから確証を話せないな」
「……」
タスメさんは無言になっている、いつも比べられている『何か』の話しを品子さんと蜜巳さんと会話中はいつもこうなっている、本当は話したいけど『王の命令』によって何も言えないんだろう
俺たちが真相にたどり着かないと話せなくてしんどそうだ……すまない、早めに信頼されて早く情報を聞くことにするから
「まあ、前の奴らに関しては多分ギルドマスタースイトさんか領主ツキウス様から聞けると思うけど
それでその後に聞いたのは、その2人に何かあったらしくて…具体的に何があったか知らないけど『大変だったこと』自体の話がヒューラル中に話が広がっているらしい
……本人に聞くべきか、もしくは人伝手に聞くか迷っているんだけど」
「千斗はさー話し合いをしたいんでしょ??
劇場で見かけた時にそう言っていたし」
「ああ、やっぱり本人かその親に聞いた方がいいのかな?」
「そうしたほうが………いいと思います
しーちゃんも言ってますし」
「そうだね!だからどこに住んでいるか分かったらちょっと訪問する?」
「まあ、それも難しいんだよな、もしそのセメリさんが『勇者に』怯えてあの行動をしたんだったら
俺たちも同じようなモノと思っているし
今までの冒険者としての行動で考えを改めたかもしれないし、どっちなのか?と葛藤しているかもしれないし」
「うーーーん」
結局三人で悩んだけど結論は出なかった、最終的には自分達から訪問していくのが一番いいのかな?
でも見かけたのを追跡や尾行するのは怖がらせそうだしどうしたら
なんて結構悩んでいると……
「勇者達、悩んでいるところ悪いッスけど一旦受付の方に行かないッスか?勇者パーティーが揃ったら行くように言われていたッスけど?」
「あ!そうだ!千斗が戻ってきたら行くように言われていたの忘れてた!」
「そうだ!急がないと!!」
「夕方になると……………人がいっぱい来て………………大変になっちゃう!」
考えるの後にして、受付の方に向かって行った
まだ結論が見つからないだろうし、悩んでいても気にしないな
「あ、お待ちしておりました勇者様方……じゃなくて、ソラアミセントさんアキハラシナコさんコヌマミツミさんタスメさん」
「待たせてすいません!」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
「どのような用事なの?」
「ええ、皆様おめでとうございます」
え?おめでとうございます?もしかして……
「皆様の働きが認められまして、ランク5からランク4に昇格いたしました
これで街の外でも依頼がこなせるようになります」
「やった…………」
「ありがとうッス」
ランクの昇格だ!
キチンと認められるのも分かって本当に嬉しい気持ちになる
ついついガッツポーズををしてしまったし、品子さんと蜜巳さんはハイタッチを…ちゃんと身長に合わせてしている……尊い
タスメさんも嬉しそうに目を細めながらウンウンと頷いていた
見てきた作品だと「昇格テスト」とかがあったりするけど、こちらではなくて助かった
「なのでランク昇格を手続きをしますのでギルド証を一旦貸していただきませんか?」
「え?ああ、分かりました、どうぞ」
俺たちはギルド証を渡した、すると「ランク5」と書かれている場所をなぞって消したと思ったら「ランク4」に魔法で書き換えていた、こうやって変わっていくんだな…
「はい、これで皆様は正真正銘のランク4です!」
「ありがとうございます!!」
「ありがとう!」
「ありがとう………ございます」
「ありがとうッス」
「いえいえ、これからギルドでの精進を期待しております」
これからランク4か、外での依頼もやってみたいし
その時は皆で行動をして協力とかもして見たいし、ヒューラルの人達から更なる信頼も欲しい
この信頼とかでセメリさんも分かっていただけたらいいな




