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勇者はいる、主人公はいない  作者: 虹鳥
第1章・のどかな草原トラストリン

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家畜はいる、感謝はある

今回は食事中の視聴がお控えください

冒険者ギルドでの報告も済んで、あの子供がいないか探したけど結局は見つからなった

そう思いながら、ギルドの前で佇んでいると前から馬車がやって来る


「あっ千斗ー!」

「待たせて悪かったッス」

「大丈夫、さっきギルドの報告が済んだところだからー」

「…………」


品子さんとタスメさんは大きな声で呼んだけど、蜜巳さんだけ無言だ

……何を言われるんだろうか


「あの…………千斗さん」

「あー蜜巳さん、俺は覚悟はできている

だから何を言ってもいい」

「じゃあ…………言いますけど」


俺はゴクリと唾を飲んだ、何を言われてもいい覚悟をする


「凄かったですね…………今回の舞台……………あんなに楽しかったのはひさしぶりです。ちょい役だとしても……………見せていただき………ありがとうございます」

「んん~~~~~!!」


急に恥ずかしさがこみ上がって、声にならないうめき声のような音が口から漏れる

本当のに顔から火が出ているんじゃないかってぐらい熱くなってきた

他の観客は一期一会で俺の演技を見られても二度と会う事はないと思ったから、思いっきり演じれた

でも、目の前にいる3人はそうはいかない

だからこそ非常に恥ずかしい


「覚悟しているって…………言いませんでしたか?」

「ゴメン蜜巳さん、なんか急に恥ずかしくなってきた。

アルティマ・ザン・ガーゴイルとも違っている演技をしたわけだし」

「でも千斗の演じた盗賊団すごかったよ!全く千斗らしくなかったけど!」

「らしくなくても演じられているのは才能だと思うッス」

「そ……そうか、ありがとうな

にしても、今日の休憩がたまたま劇場だったのか?

凄い偶然だと思ったんだけど」

「その事ッスけど、普通に噂を聞いて行ったッス」

「え?ウワサ?」

「千斗さん…………あの舞台の近くにいた情報が広がっていて……………舞台に勇者が出るんじゃないか?とあったんです」

「それで私たち行ってみたら、演じていてすっごく良かったよ!」

「ああ、そういう事だったのか…」

「そう言えばなんで演技したの?出かける前にギルド依頼って言っていたけどその1つなの?」


噂か、劇場の近くをちょっと見ていたけどそれだけで判断されたのだろう


「まーその、ずっと前から目星をしていた依頼があって、単純な好みでやってみたかったというのが理由だ」

「千斗も実質有意義に休んだみたいッスね」

「ああ、本当に楽しかった

そういえば話が変わるけどいいか?」

「ん?」「どうしたッスか?」「どうし…………たの?」


こういった、ちょっとした情報であっても仲間なら情報共有しておくべきと思っている

信頼しているつもりで信頼していない、自身の能力も敵の情報も仲間に話さないような心も体も魔物に汚染されたような人にはなりたくないし


「あの前の時さ?俺たちがヒューラルに来たときに石を投げて来た金髪の子供いたでしょ?」

「うん、いたよね!」

「実は劇場から観客席を見た時に見かけたんだけど………3人は見てない?

睨んでいたから、もし見かけたなら話し合いたいんだけど」

「見てない…」「見かけ……無かったです」「見て無いッスね」

「あー分かった、またの機会で見かけたらにするよ」


その日は結局あの少年に関する情報は無く、宿に泊まって一晩経過した

そして次の日、今度する依頼は……


「今日は一緒でいいッスか?」

「ああ、ずっと楽しみにしていた

先輩、よろしくお願いします…なんてな」

「勇者に言われるのは、なんだか照れくさいッス」


タスメさんと一緒の依頼をすることになった、ずっと待っていた事だけど

ずっと興味のあった「畜産」の仕事ができる

この世界の生き物についての事も知りたい


「でも大丈夫ッスか?勇者達のいた地球の人達ってこのグラーフィアと比べたら潔癖と聞いたことがあるッス」

「そうなのか?でも、それは100も承知で受けるつもりだ」


実際に畜産の仕事…と言うよりもそういった畜産をしている場所を親の車に乗って通るとかぐわしい匂いがするし、そういった物を扱うって事はなんとなく予想が付く

農業学校のアニメを見たこともあるからある程度の覚悟は予想してた


……そう、予想をしていたんだが


「こひゅー……こひゅー……」

「大丈夫ッスか?」

「なんとか」


意気込んでその場所に向かい、ギルド証を依頼人に見せて手伝いをした

ハッキリ言ってしまえば、家畜の世話の仕事……糞尿の処理をしていた

スコップで拾い、得意の場所に集めていく

肥溜めをする文化はこの世界にもあるらしく、それを発酵させて畑に掛ける

あの湖よりはマシではあったけどマスクを着けていてもその匂いは随分と漂ってきていた

これは……いっそのこと、ホテルに入る前にどこかで風呂に入りたい

そうじゃないと女性陣たちにドン引かれる

タスメさんは、毎回この仕事をしているけど体から匂った事はない

どこかで、風呂に入っているのだろうか?


「……でも、なんだか

随分と気持ちよく働いている気持ちにはなってくる

…………毎日は勘弁ですが、働いている人に感謝だ」

「珍しい感想ッスね、こういった臭いで嫌煙する人も結構いるッスけど」

「人の為になるって思うと、結構楽しいとも思えるよ」


そう話している内に糞尿の処理が終わった、作業服を着てマスクを着けていても結構ニオイが全身にこびりついたけど、依頼人から風呂場を借りることができた

未だに川の水が汚れているはずと思っていたけど、依頼人の魔法でお湯を張ることができて

2人して入ってスッキリした


「ひと仕事終えた後の風呂は本当に助かるなー

風呂の無い異世界の可能性もあったしなー」

「え?そうなんッスか?ソラアミセントのいた世界では風呂の無い異世界の物語とかあるッスか?」

「そんな物語もある、綺麗な水そのものが貴重で衛生管理が結構やばくて疫病とかが流行ったりして平均寿命が20前後しか無かったりと……」

「それは…やばいッスね」

「俺のいる世界、地球でも俺のいる日本では普通に水が飲めるが国によってはマトモに飲めない所もあるんだよな、水の魔法も無いのでそこも衛生が…」

「そんな事情もあるッスね……」


と、こちらの世界の事を話しながら風呂をでると、時間帯は昼

依頼人がお昼ご飯を用意していただいた…え?こんなにも至れり尽くせりでいいのか!?


「あの、大丈夫ですか?」

「よいよい、冒険者のおかげで助かっているからなー」


依頼人の方は見た所結構、歳を重ねている様子……今回の仕事はニオイ関係なしに結構な重労働だったし、年齢的にも結構厳しいんだろうな…

そう思いながらも、依頼人と俺とタスメさんで昼ごはんになった

いつものように味が濃くて美味しく黙々と食べていたけど……そういえば1つ疑問が思い浮かんできた


「あのーすいません」

「ん?どうした?」

「俺は異世界の人なんですけど、この世界グラーフィアにあるマナで言葉が通じています

疑問なんですけど、動物の言葉て翻訳されないのですか?」

「ん?どうゆう事じゃ?」

「えっと……」


この世界では当たり前すぎて、説明が難しいことは理解している

だからこそこの質問は申し訳ない気持ちになってしまう

王様からマナのおかげで翻訳されている…って言われているけど、それで思ったのは動物とか言葉で分かったりしないんだろうか?って疑問だ

翻訳魔法って最初にその設定が出るだけ…っていうご都合主義が多かったりする作品もあって、なぜか海外に言ったら通じなかったり、辺境の村での言葉通じなくて「翻訳魔法があったんじゃなかったのか?」って思うガバ設定も見たことがある

それはまあいいとして、グラーフィアはペットを飼っている人もいて動物と共に暮らしている人もいるけど()()()コミュニケーションを取っている様子は見えなかった、だからこそ動物に詳しそうな畜産をしていたりしている人に聞いてみたくなった


「馬を扱っているから俺からも説明するッスけど、動物から言葉が聞こえたことなないッスね」

「わしも聞いた事ないの」

「ありがとうございます……やっぱり、聞こえないか」

「あの馬たちはずっと一緒ッスけど喋ったことは無いッスね」

「わしも何年も畜産をしているが、話した事はないのお

会話ができたら情が移って売りに出しにくそうだがの」

「そうですね……でも育てている内でも情が移りそうな気がしそうですね」

「最初の内はしんどかったぞ、親から『名前を付けるな』と言っても付けて売りに出す時に大泣きしたってよくおぼえているからのー」


漫画でそのエピソードを聞いたことある、異世界もこの世界も同じようで親近感が湧いてきた


「あーそういえばッスけど、召喚魔法で出てきた動物も喋ったりはしていなかったッスね

勇者コヌマミツミのインとヨウとアルジの3匹とも喋ってなかったッスし」

「つまり……動物ってそもそも本能で何かを鳴き声で言っているだけで言葉はないって事だろうな…

お答えいただきありがとうございます!!」


ってなると、もう1つ気になることができた

魔物の方はどうだ?という事だ

でもここは街中だし、タスメさんも魔物とよく合うことがあるとは思うけど

冒険者の方がよく色んな種類とであっているだろう…帰りにタスメさんに相談して冒険者ギルドで聞いてみようかな?

そう言ってお昼ご飯も終わって次の作業へ

それは牧草でのエサやりで、家畜の前にある半月状のエサ入れに満杯になるまで入れる

これがお終わったら本日の仕事は終わりだ

タスメさんはその間、知識を生かして家畜たちの健康を診るとのこと

そう思って俺は牧草用フォークを片手に牛舎入っていく


「そういえば、牛だな…」


午前中は糞尿の処理をしており、しっかりと見たことなかったけど

午後の仕事は向き直れてしっかりと見れる

世話をしている家畜は“牛”だ

図体は牛だけど、角は両サイドだけでなく一角獣のように正面にも生えている

農家エッセイ漫画で見たことがあったけど、ツノがあると牛同士で傷つける可能性があるから青年ぐらいの年齢の時にツノ斬りをするとか読んだことある

でもここにいるのはもう成熟している雰囲気

もしかすると、地球の牛よりも温厚なのかもな?


近くにあった牧草の山にフォークを突っこんで、いくらか牧草を取り出す

それをエサ入れに敷き詰めていく


「ぐもおおおおおおお」


現実で牛の声を普通に聞いた事ないけど、チューバみたいに非常に重低音の鳴き声が聞こえた

周囲にいる牛もそんな感じに鳴き声を出している

一切として喋っている様子はなかった


「……タスメさん?」

「どうしたッスか?」

「いままで、食肉を頂いたけど

それってこういった牛の肉もあったりしますか?」

「もちろんッスね、豚とか鶏もいるッス」

「なるほどな……」


そう言うと、一旦フォークを立てかけた後に

両手を合わせて祈った

いままで、そしてこれからも頂く感謝を込めて


「ごちそうさまでした」

「ぐもおおおおおおお」


俺の世界では「ごちそうさま」と言う意味、そしてこの世界では祈りの意味を合わせて感謝をした

どういたしましてと言わんばかりに牛は再び鳴き声をあげた


「感謝は大事ッスね」

「はい、ありがとう牛達

美味しくいただかせてもらっています」


チラリと牛舎の影を見ると、依頼人が優しげな眼でこちらを見ていた

これからも感謝を込めて食べよう

そう思って再びフォークを手に通り作業を続けていく


「そう言えばタスメさん」

「ん?今度はどうしたッスか?」

「以前に魔物は毒性があって食べたら危ない…って言ってたけど、具体的にはどのような調子の悪さになるんだ?」

「そうッスね、胃に入るッスからまずは腹痛はするッスし

あと魔物によって違ったりするッスけど頭痛とか吐き気とかもするッス」

「食中毒な雰囲気がするんだな…ありがとう」


そう言いながら作業を進めて行った

本日は早い時間に終わりそうだ

だったら、ギルドで聞く時間もできそうだ

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