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勇者はいる、主人公はいない  作者: 虹鳥
第1章・のどかな草原トラストリン

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冒険者には責任と全力がある

今回と次回は、ちょっと自由にさせていただきます

あれから数日が経った、時折休む日を設けることがあっても結構積極的に仕事をこなしていった

俺は最初にやったペット捜索以降、その次にやった門の修理を数日ずっとやっていたが……まさかの「ガーゴイルを作って欲しい!」と指名で依頼されることもあった


「凄いね千斗!人気者だね!」

「………」

「すごい………私たちは……………食べ物屋さんやお菓子屋さんの……………手伝いをしていましたが」

「勇者ソラアミセント?何をしたッスか」


……こうゆう時って「え?俺はただ○○しただけだが?」とイキる様子を物語とかで見たことがあるけど、そういった物には憧れてない、それに品子さんとタスメさんには冗談で言っても通じないと思うし、蜜巳さんには引かれる予感しかしない、友達がやったとしたら俺もドン引きするぐらいだ

カッコいいものと勘違いしているモノの一つだな


「門の石柱を作ったんだけど、俺のお気に入りのデザインにしたら結構喜ばれて」

「へぇー何を作ったの?」

「ガーゴイル、何か言われる前に言うけど俺のもう1つの名前である『アルティマ・ザン・ガーゴイル』の元となった入り口の悪魔の石像で、カッコイイからつけてみたんだ

『デザインは任せる』って言われてな」

「後で…………見てみたいです」

「指名を受けたなら、アッチコッチでやって来るよ

もしかすると見れるかもな」

「楽しみにしているッス」


そう言って、ちょっと創作魔法時に使うマナが心配だからそれを回復する薬を持って行くことにした

そんな日々が続いて行きようやく指名が一旦無くなった頃、何か別の依頼もやってみることにした

集合と宿に泊まる時以外ほとんど別行動をしていて、3人はすでに別行動をしていた

……正確には本日は3人とも休むらしくて街を散策するみたいだけど、俺は自分の意思で働くことにした。

正直…楽しいし

今回手に取った依頼は、先に取られたりガーゴイル依頼を優先して見送りをしていたけど実は気になっていて、やってみたかった依頼の1つ


「『演劇の手伝い』か……」


演劇……俺自身はアルティマ・ザン・ガーゴイルのロールプレイをしているけど、現世ではそれを人に見てもらうようにした事はない、恥ずかしいから

でも、この世界に来て…特に蜜巳さんと品子さんに見られてから何か俺の中で吹っ切れたらしく、結構人前でも普通にやっている

勇者への偏見を無くし、街の皆から信頼されたいという気持ちはあるけど

今回は遊びたく…空網千斗としてでなく『アルティマ・ザン・ガーゴイルを見て欲しい』気持ちになった

だから、ちょっと今回は3人に内緒気味に行くことにした

………いやまあ、現実的な話をするけど裏手の仕事だけになりそうだけど

それでも興味本位で近場で見てみたい気持ちもある

そう思いながら目的地へ向かって行った


……

……


「えっと?あれ?」


向かって行った際中、「周囲の建物と雰囲気が違って広い建物あるなー」って思っていたらそこが目的地だった……え?これって劇場か?

てっきり外で演劇すると思ったら壮大なステージで行うのか!?

いや、落ち着け俺、何も舞台に出るわけじゃない

本当は出たいけど緊張とか恐れ多い気持ちがあるし

一度深呼吸して、自分を落ち着かせる

周囲の人達は、1人で盛り上がっていた俺に何か心配の目をしていたけどそのまま通り過ぎていた

変に目立たないように表……ではなく裏手の方から入って行った

依頼人は演劇の人で表は客の入り口なので俺は本日職員なので裏から行くことに


大きな入り口と違って裏手は静かな雰囲気をしていて、ノックをしたあと室内から「はーい」と聞こえた

扉が開かれると共に、今回は腰を90度に曲げて名詞のようにギルド証を差し出して一礼する


「はじめまして、ギルド風のたまり場から参りました異世界から来た勇者空網千斗です

本日は『演劇の手伝い』と聞いて依頼を受けてきました、よろしくお願いします」

「え?あ!?え?勇者でしたか!?」

「もし不快でしたら引き返します!」

「いえ!それは大丈夫ですよ!

まさか噂以上に丁寧な方とは…」


……思ったけど、以前の初めてガーゴイルを造った日、依頼人から「思った以上に丁寧」と言われたし

更に前の日にギルドマスタースイトとの戦闘の後、大きな声で俺たちに殺意がないことを伝えていたけど

そこから大きく影響を受けたのかな?

本当にありがとうございます


「ともかく、本日は本当によろしくお願いします」

「よろしくお願いします、本日はどのような事をしたらよろしいのですか?」


腰を上げて正面を見てみると、何かガーゴイル工事の時に着たような作業着の格好をしている女性がいた

舞台に立つ人ではなく、裏手の方のように見える


「はい、舞台に立ってください」

「え?」

「舞台に立ってくださ……何かと思いましたか?」

「いえ、舞台俳優とかではなく裏手の仕事と思いました

そこら辺にいる人が舞台人立てると思いませんし」

「不安ですか?」

「ま、まあ、その

舞台に立ってみたいなと言う気持ちと恐れ多さと緊張がありましてドキドキと……」

「大丈夫ですよ、逃げ惑う人とか一般人とかそういった、人数の多いちょっとした役を冒険者の方々に演じていただきますので

裏手は魔法での演出とか何か背景になるモノを作るとか…結構大事な物を使うことが多いので逆に専門の知識とかが無いとできません」


そうゆう「異世界の常識」なのかな?

依頼板には「演劇の手伝い」と書かれていたから俺は普通に裏手と考えていたが

この劇場の方々では「舞台のチョイ役になってもらう」と言うつもりで書いていたんだろう

ちょっとした行き違いだったけど、でもチョイ役でもモブでも舞台に立てるという形になって……すさまじくワクワクしている


「恐れ多くなくていいですよ!キチンと演じれば大歓迎ですし緊張は皆します!

そして舞台に立ちたいというヤル気があるなら…ちょっとセリフとか欲しいですか?」

「えっ…ええ!?

いいんですか!?元の世界でもそういった演じる経験はしたことないですが」


ちゃんとした演じることは、学校の行事以外ではしたことない

ロールプレイと人に見せるのは違うと思っているし、でもやってみたい


「構いません、ある程度の進行は決まっていますが

結構アドリブ劇な所もありますし」


アドリブ劇?そんなTRPGみたいなのするのか

と言うよりも演劇ってそんなアドリブ劇でいいものなのか!?

異世界のやり方というよりもこの劇場のやり方に見えるな……?


「でしたら、本日はよろしくお願いします」

「はい、ではこちらへ」


その後、奥の方に案内された

1度舞台で主演の人たちに挨拶をして…

1回驚かれたけど俺たち勇者の噂を聞いていたらしく、普通に「よろしくね」と挨拶をされた

受けている印象としてはこの調子だな…

その後、控え室に案内されていくと、もう1人の冒険者らしき人がいた

他に依頼を受けたギルドの人かな?


「あっ…よろしくお願いします

冒険者の空網千斗です」

「へっあ?ソラアミセントって勇者!?」

「はい、勇者ですが本日は冒険者としてお願いします」

「あ、よろしくお願いします俺の名前はナイヴォ

いつもはパーティで行動しているけど、今回は気分転換に舞台に立つこの依頼を受けて来た、他のメンバーはいなくて今は俺1人

………ギルドマスターが言っていた通り結構丁寧なんだな」


ナイヴォさんははボソッとそう言っていたけど、順調に広がっているらしい

今のボソッとした言葉は普通に聞こえていたけど、聞こえてなかったふりをした


「挨拶が済みました2人に相談したいことがありまして、今回のちょっとした役は平民と悪役の2つでそれぞれをやっていきたいです

なにか希望はありますか?」

「俺は特にどちらでも…………」

「悪役がいいです!

……あっ、すいません食い気味に」

「それなら、ソラアミセントさんが悪役なら俺は平民になるよ」

「はい分かりました!!」


つい食い気味に悪役の方を言ってしまったけど、これはナイヴォさんが悪役をやりたいかやりたくないか?基本的に悪役は酷い行いをする訳だから俺が代わりに…………っていう気を使ったような気持ちは一切なく「カッコイイから」で即答してしまった

でも、特にナイヴォさんは決まってなかったらしくすぐに決まってよかった

後々考えてみれば、冒険者は本来「勇者のイメージ向上」の為に行動していたはずなのに悪役になるって……

いやまあ、完全にこの依頼自体も俺の好みで選んだから頑張らなきゃ


「では、役が決まりましたし

どのような事をして欲しいかを伝えて着替えてもらいます

演劇の流れがおかしくならなければ自由にやっていただいて構いません

この劇場の人達は、そういった事に慣れていますので!」


その後は、どのような役を演じればいいかの説明を聞いた

今回やる劇の全体的な流れを軽く説明を頂いて、自分達の役を聞いた

何でも、大きな話ではなく冒険者の日常を描いた内容らしい

依頼を受けて旅をして盗賊団と戦う内容

ナイヴォさんの訳は依頼をする村人役で俺は盗賊団の1人らしい

俺の動きとしては、鉄砲玉のようになって前進して戦うけど普通に倒されるらしい

回復魔法も蘇生魔法がある世界だから普通にケガをすると思っていたけど

怪我とかを負わないように役者たちが行うらしい

依頼人の方からの説明を聞いた後、作業があるからと一旦去って

ちょっとナイヴォさんと2人っきりで待機して軽く練習してる


「よっ…はっ……こうかな?」

「頼みます!あの盗賊団がいつ襲ってくるか分からなくて怖くて!!」


俺は動きの練習、そしてナイヴォさんは思った以上に演技に力が入って悲観した感情をしっかりと表現している


「ふぃ……ちょっと休憩」

「はぁ…あの勇者さん?」

「え?おれ?」

「はい、ちょっと質問があるんだがいいか?」

「ええ、構いません」

「勇者って聞いたけど、なんで冒険者をやっているんだ?

ギルドマスターの言っていた『丁寧』ってことは聞いたけど詳しい事情は分からなくて」


ここは…詳しい内容で噂を広げるためにある程度の事を伝えておくことにしよう

ギルドマスターからギルドメンバーに噂が広がっていけば…


「その話ですか?

この街に来て、結構不安がられまして…子供からも石を投げられたこともあって」

「石!?大丈夫だったんか!?」

「俺も仲間たちもケガを負わなかったです

けど、その子供だけでなく周囲の人達からの不安も感じましたし

領主ツキウス様に会っても直接の対面が出来ませんでしたし

元々の目的はアミルクリスタルを見つけることですが、それを回収してヒューラルを出たとしても人々達からの不安は残ってしまいますし、俺のいた世界での勇者はそんなものではありません

信頼されてこその勇者と思い、ヒューラルの人達に聞いて冒険者になるのがいいとおススメを受けまして

…………つまりは街の人達に信頼されたいから冒険者になりました」

「そ……そんなに事情があったんだ

でも俺もパーティメンバーも本当は最初不安だったんだよな…すまない」

「いえ、理解していただけたなら大丈夫です

その代わりと言ってはなんですが、パーティメンバーの人達にも

そして、仲のいい他のパーティの方がいましたら伝えといてください」

「ああ、もちろんだ約束しよう」


そこから広がっていけば、今以上にいい影響が広がってくれるだろうか?

やれることはともかくやってみよう

……それにしても


「そういえばナイヴォさん」

「ん?どうしたんだ?」

「結構演技に力が入っていますが、何か練習でもしていたのですか?」

「いや、今日の今初めてやった」

「今日の初めて!?随分としっかりやってましたが…」

「随分としっかり…そう見えるのか?」

「はい、本当にちゃんとやっているようで」

「俺からしてみたら、普通にしっかりとやっているつもりなんだよな」


そうなのか?


「なんてったって、冒険者が受ける依頼だから全力を出さないといけないと思っているからな」


そう言いながらナイヴォさんは自分のギルド証を見せて来た、ランクが……1だ!?

思った以上にナイヴォさんはベテラン!?


「この劇場に来ているお客さんは俺達のように臨時で冒険者が入っている事は分かっていると思う、だとしてもな、それがちょっとた役だとしてもしっかりと行いたい

その期待に答えるために、全力を出しているつもりだ

俺のパーティは基本的にのんびりと遊ぶことは多いけど仕事は常に真剣にしている

もちろん勇者さんは、演劇をするなら自由でしてもいいし強制をしない」


………これが冒険者ランク1の考えという物か、「演者として」を通り越して「冒険者として」の考えというの初めて聞いた気がする

創作内にあった冒険者って野蛮な人だと金の事しか考えてなかったりする者とかいたりしたけど

このように依頼者の事を本気で考えて行動するのが真の冒険者という物なんだろうか?

もちろん全員がそうじゃないことは分かってはいるけど、ランク1の人達は皆このような精神を持っていたらいいな


「……分かりました、ちょっとあなたの言葉で感動して泣きそうになりましたが演技に影響しそうなので我慢します」

「そんなに!?」

「ああ、元の世界での考えだとそう思っちゃうからです」

「そ……そうか、少し照れるな」

「動きの練習をしていましたが舞台での演劇、俺も今回限りだとしても全力で演じさせていただきます」

「ああ、よろしくな、それにその言葉は俺ではなくほかの俳優の方とかにも言っていいんじゃないか?」

「はい!」

「ソラアミセントさん!ナイヴォさん!

そろそろ始まります!よろしくお願いします!」

「では行きましょう」


扉の外から依頼人のそのような声が聞こえて武器や荷物などをしまいつつ衣装を着替え控え室の扉を開けた

舞台に立つか……冒険者としてもここは本当に全力を出さないと

もちろん演者としても

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