ペットはいる、依頼人は懇願する
昼食を終えて、依頼人の元へ向かう
どういった動物がいるか分からないけど受付嬢がああいった反応をしていたのを見ると……多分大丈夫かもしれない
そう思いたい
歩いているとその場所にたどり着いた
3階建ての白い石レンガに木組みの建物、ここからでは見えないけど屋根は緑色だろう
「この家であっているか?」
「えっと、そうッスね」
「初めての依頼…………………緊張します」
「だったら早速行こうよ!」
そう言って品子さんはドアをノックする
「すいませーん!ギルド風のたまり場の冒険者でーす!
依頼を聞いて駆けつけて来ましたー!」
ここで1つ心配が、一応冒険者ではあるけど勇者と思って驚かないかどうか
断られる事はないと思いたいが…
品子さんがノックをしたのちに、すぐ向こうからドタドタドタ!と急いでいるような音が聞こえて来た
急いでいるのかな?
「あたしのリンちゃん!キィちゃん!ミウちゃん!
どこ行ったの!?」
「うわぁ!?びっくりした!?」
品子さんは足音が聞こえて一歩下がっていたから、突然開いた扉にぶつからなかったけどそれほど勢いが強かった
なんだか、今回の依頼人は慌ただしく危なかしい雰囲気がしていてちょっと怖さを感じた
ちょっと初老の女性っぽいけど、ペットが逃げられているのか手が震えている
「あっ…冒険者の人達、アレ!?勇者達ですか!?」
「そうですよ!でも落ちついて!」
一瞬で勇者だと気が付いた!?
「お、おおおおおおおお落ち着ているわよ!」
「うん!落ち着いているね!」
…どう見ても落ち着いていない、でも品子さんは話を合わせている
「えっと…えっと、ほらこれ!ギルド証だよ」
「俺達も持っています、本日はよろしくお願いします」
「こっ……こちら……………です!」
「どうぞッス」
それぞれギルド証を見せた、これで依頼人さんは落ち着いてくれれば…
「あ…ああ、なんだか優しい人
そうゆう勇者もいるのかな?
いやそれよりも!勇者でもなんでもいいから私のペットを助けて欲しいの!」
一応大事なことである「勇者」の事を置いとかれた!?
いやまあ、現在は話がスムーズに進みそうで大丈夫そうだし、依頼人以外にも周囲の人達からの印象が変わればいいと思う
「最近依頼しても誰も助けてくれなくて、ううう……」
「泣かないでください!私達が見つけますから!」
「取り合えずッスけど、動物の特徴やおびき寄せるためにペットたちの好きなモノを教えていただきたいッス
嘆いているだけでは、事態が進まないッスし」
「はぁ…ハァ…ごめんね、ペットがいなくなって不安になってつい」
「落ち着いたならそれでよかったッス」
品子さんのコミュ力の強さは本当に助かっている、タスメさんも話に入ってきて何とか落ち着いてきたらしい
「えっと、さっき言っていましたがタスメさん以外の俺たちは勇者でこの世界の人ではありません
ペットと言うか…動物の姿の特徴とかを教えていただきませんか?」
「それに………………ペットがよく遊ぶオモチャとかを…………………貸して欲しいです」
俺も蜜巳さんも落ち着いたのを見て話に入った
「ペットはね…この外見しているの!」
見せられたのは黒板…なんかすごく装飾が掛かっている?
宝石のような物や綺麗な石が周囲に貼られていた
額縁に飾っていたのを持ってきたのかな?
書かれていたのは…猫と犬と兎??
「動物は猫と犬と兎よ
リンちゃんとキィちゃんとミウちゃんよ」
そういえば、翻訳魔法越しでも似たようなものはこっちの世界でも同じ言葉に訳されるんだっけな?
タスメさんの扱っている“馬”やゴッルさんの扱う“リンゴ”と同じように
でも猫は一つ目で、犬は口は犬だけど耳は猫みたいで、兎に至っては足が非常に長かった…何か「コレジャナイ画像」的なのでホッキョクウサギの足が長いのを見たことあったけどそれよりも長かった
犬は前に蜜巳さんから聞いたことある気がするような?防衛線後の時だったか?
黒板に名前が書いてあって猫の所に「リン」、犬の所に「キィ」、兎の所に「ミウ」って書かれている
失礼だけど軽く家を確認してみると、結構綺麗であったけど家具や壁や手すりの足元近くの部分に布が巻かれていて…頭とかをぶつけないようにしているのかな?
「この子たちね!可愛いね!」
「当たり前でしょ~
人懐っこいけど、初めての人には怖がっちゃうかも……だから捕まえるのの頑張ってね!」
それからはペットたちの特徴を聞いた、動物としては自分のいた世界にいる犬と猫と兎とそんなに変わらなかった
蜜巳さんと品子さん…特に蜜巳さんは動物に結構な興味があるらしく身を乗り出して聞いている様子があった、動物が好きと言っていたな…
姿がちょっと違っていても、隔てなく好いていてよかった
俺もちょっと姿に驚いた所はあったけど、自分のいた世界と同じと思うと可愛らしさをすぐに感じた
「それでね!好きな食べ物はいつも食べているこの餌よ!」
「草食動物用と肉食動物用の餌ッスね
草食用のは俺も馬によく与えているッス」
「大まかには草食と肉食ってこっちの世界もそうだけど
動物ごとに分けているのか?」
「もちろんッス、草よりも果物が好きとか好みもあるッス」
「オモチャとか具体的なのは無いけど…でも、このタオルとかに包まれて寝ているから自分のニオイがしたら落ち着くと思うよ!」
「あっ……………そっ、それ助かりますから…………貸していただけませんか?」
「役に立てて!これでみんなが見つかるならいくらでも貸すよ!」
「ありがとう…………ございます」
「じゃあ、本当にお願いします!!お願いします!
何処に逃げたか場所が分からないので後はよろしくお願いします」
そういって何度も依頼者はペコペコと頭を下げて、扉が閉められた
依頼の始まりだ
「場所が分からないか…てっきり、いつも逃げられていると受付嬢の方が言っていたし、おおよその方面は分かると思ったけど」
「どうするッスか?周囲に聞くッスか?『いつも』って言っていたッスし、誰か分かると思うッス」
「そーだね、所でみーちゃん?」
「どうしたの………………………しーちゃん?」
「なんでオモチャ、と言うよりタオルをどうして借りたの?」
「ちょっと………………このやり方が…………役に立つと思って」
そう言うと召喚獣の狼を出した
乗る用ではなく、小柄の2匹……そういえば
「そういえば、名前ってあるのか?結構大事にしているみたいだけど」
「あるよ…………………こっちがインで……こっちがヨウ
対になっている……………………名前にしたくて…………陰陽から付けたの」
「いい名前だね、よく乗っている大きめのも名前ある?」
「もちろん……アルジって名前…………………インとヨウの主という事だから」
「随分とセンスがある、本当にいい名前だ」
「………そ、そうですか?
千斗さんも結構なセンスと………………思いますけど」
「ああ、ありがとうな」
…………結構なセンスと言われてちょっと嬉しかった
でも、ちょっと蜜巳さんに申し訳ないけど
インとヨウ…どっちがどっちか分からない
「それに実は…………防衛の時…………方向はカイザムさんに教えて…………頂いたんだけど
町を出てからは……………他に兵隊たちもいて…………………2人がどこにいたか分からなかったから………………匂いを追って真っすぐ行ったよ」
「あの時は本当にありがとうね!」
「ほんと、あの時は本当に主人公で助かった」
「どう…………いたしまして…………」
本当にあの時は遠距離攻撃が無かったから本当に助かった
感動で泣いてしまったぐらいだし
両方に匂いをかがせると、家の裏の方に顔を向けた
「それにしても、戦闘で見ているからしっかり見たことなかったッスけど、そっちの世界の………犬ッスか?耳がしっかりしているッスね」
「狼……です」
「狼ッスか、匂いを追うのも同じッスか?」
「うん………同じだよ」
「それなら、すぐに見つかるッスね!」
「よかった!これで飼い主も安心だね!」
「よし、じゃあ見つけよう」
そう言って、地面で匂いを嗅ぎながらどこかへ向かっているインとヨウの後を着いて行った
歩いている最中、周囲の人が俺たちの様子をみて驚いている様子があった
勇者だからというのもあるけど、俺達よりも蜜巳さんの狼を注目している人が多かった
俺たちのいた世界の狼、もとい犬と耳の大きさが違うのではあったけど
やっぱりそういったフォルムの違いは注目を浴びやすいだろう
魔物と間違えられて武器を構えられる…ってことは無かったけど、怯えているとかのネガティブな反応だけでなく
「かわいい~触りたいけど……うーん」
「あ………あの」
「ひっ!見ていてごめんなさい!」
「そ………そうじゃないです!!
あの…………触りますか?」
「え!?大丈夫ですか!?」
「うん………」
「あ…ちょっと硬めの毛
笑顔みたいな顔で可愛い
ありがとう、勇者さん!」
異世界の生き物でも「カワイイ」とポジティブな反応を取られこともあった
時折足を止めて、道行く人に撫でさせたり
子どもたちが喜んで抱きしめたりと……そのようにしていると、周囲の人達もなんだか安心してきた様子が見えた
「可愛い存在」というのって大切なんだな、出来の悪いアニメとかでも「主人公がクソだけどヒロインがかわいいから見続けられる」ってアニメの意見とかをTwitterで聞いたことある
……俺は正直主人公にちゃんと魅力を感じないと見れないけど
普通に優しいとか、でも悪に対しては容赦をしないとか、好奇心が旺盛とか、リアクションが良いとか、挨拶をちゃんとするとかの俺好み…ではなくちゃんとした魅力が欲しい
そう思いながら、裏路地とか大通りとかを通っていきインとヨウの後を行くと………頭を上げて動きを止めた
「見つけたの…………?イン………?ヨウ………?」
インとヨウは咆えたりせずに無言、ペットたちが逃げないように意識しているのかもしれない
「お疲れ様………ゆっくり休んでね」
どういって2匹を戻した、出している間はマナを消耗し続けるから
こまめに戻さないといけないんだっけな
「ずっと出してたけど、疲れてないみーちゃん?」
「ちょっと疲れたけど……………動けるから…………大丈夫」
「よかった!」
2匹が頭を上げていたその先を見てみると
なにか、壁があったけど地面の方に穴が出来ていた
他の所にある、壊れているような場所ではなく、普通に自然に出来たような壁の穴があった
匍匐前進とかではいずれば行けそうだけど、結構小さい
「この穴の先なのか?」
「…………そうみたい……………行けそう?」
「俺は入れそうだけど」
「私も…………行けそうだけど………」
チラリと、品子さんとタスメさんの様を見てみる
「私は無理っぽい、穴が小さいよ!」
「俺はギリ行けそうッスけど、詰まったらやばいッスね」
品子さんはたくまし過ぎるし、タスメさんも引き締まっていても俺よりかは体格が大きいから通れないかもしれない
小柄である蜜巳さんと…自分で言うのもアレだが、細身の俺しか先に行けないようだ
「じゃあ俺と蜜巳さんで行ってみるよ」
「頑張って…………行くね」
「気を付けてねー」
「行ってらっしゃいッス」
「そこから出てきた時は私たちが捕まえるから!」
俺が先に這いずっていき蜜巳さんがその後ろを通って行った
俺が先に進んだのは当たり前、街中であっても危険があるかもしれないから先を確認に行った事と、這いずっている女性を後ろから見るとかしてはいけないの2つだ
肌についた砂などを一緒に振り払いながら前を見てみると
そこは小さな塀で囲まれている広場になっていて目的のペット達がいた
この子たちが依頼されたペットたちかな?
さっきまで仲良く遊んでいた様子で、俺達に気が付いたようで今は不思議そうにこちらを見ている




