信頼はまだない、光明はあるか?
朝日を浴びながら目を覚ます、今まで馬車で寝ていたけど
やっぱりきちんとしたベットは疲れた体を癒やすのに最適だ、こんなにも気持ちのいい目覚めは久しぶりだ
「ふわぁ~」
目が覚めて、上体を起こしベットから降りる
立ち上がって何となくラジオ体操をしてみる
以前に防衛線後に蜜巳さんと品子さんがやっていたし、毎朝のストレッチとして丁度いい……
と思っているけど、実を言うならうろ覚えである
第1とか第2とかあるけど違いが分からない、多分俺のやっている奴は混じっている
今はマナのおかげで異世界に来てから目覚めが結構いいけど、現実の俺は大体2度寝か横になったままスマホをいじっている
健康を考えてはいるけど、まあ…考えているだけである
「おはよッス、その動きはなんッスか?」
「おはようー、これはこっちの世界にある体操のような動きです」
「健康になりそうッスね」
世界中を回っているタスメさんに見られたけど、もしかしたらこれも流行るかもしれない
ドッチボールが王都の教会で流行った時のように…
ふと窓を見てみるけど…懸念していた割られている様子はない、両開きタイプの様で鍵を開ければ開くことができて、窓から外の壁を見てみたけど何の被害もない……良かった、重い展開が起きることはなさそうだ
「今度はどうしたッスか?」
「いえ、昨日言っていたことの心配をして……とりあえず宿への被害は無くてよかった」
「懸念で済んでよかったッスね?」
「ふぃ~~~リフレッシュリキッド」
深呼吸して魔法で飲み水を出して一杯飲む
軽い詠唱もしたし取り合えずこれで落ち着いた
飲み水を出すぐらいの力量の調整はとっくに習得している
干していた服も乾いていたことを確認して、寝間着から普段着に着がえて鎧に着替える
気が付くとタスメさんも着替え終わったようだ
「準備は終わったッスか?」
「終わったぞ」
「じゃあ、廊下に出るッスよ」
そう言って部屋をある程度片付けて寝室の扉を出た
廊下には……まだ誰もいない?
他の部屋に客がいるのか分からないけど品子さんと蜜巳さんの姿が見えない
「2人はまだ寝ているッスかね?」
「どうだろう?いつもだったら俺が起きた時に2人とも起きていたし早起きな印象がしているんだよな」
「確かに馬車内でもそうだったッスね、馬車を発進する前に2人は起きていたッスし」
「ちょっと、念のためにノックしてみる」
「了解ッス」
そういって数回ほどノックしてみる、中からは……
「あっ!はーい!ちょっと待って!」
「……………くだ…………い」
中から品子さんの声が聞こえた、蜜巳さんの声も聞こえたけどドア越しだからあまり聞こえない
そうか、起きるのは早くても女性だから準備が大変なんだ…
「いや、ゆっくりでいいよ!
タスメさんと雑談しているから」
「分かったー!」
「………おまち………さい」
少し廊下で待つことにした
けど、少しソワソワしてしまう
「………」
「どうしたッスか?早く行きたいッスか?」
「ちょっとそんな感じだな」
「そんなにセッカチだったっすか?
ホシミレイカという彼女さんとかを待つとかも無いッスっか?」
「いや、そう言ったわけではなくな……あの」
と話していると扉が開かれた、正面の品子さんと蜜巳さんのいる部屋ではなく隣の部屋が
……ちょっとヤバいか?
「ふぁー、あ?おはようございます」
「おはようッス」
「おはようございます」
冒険者みたいな恰好をした人はちょっと挨拶をして、そのまま通り過ぎて行った
……よかった、ちょっと懸念したことあったけどが大丈夫だったか
「んで?何をソワソワしているッスか?」
「その、さっきの人は大丈夫だったけど
他のお客さんに姿を見られたら、また怯えられるんじゃないかと思ってな」
「あーそうゆう事ッスか、さっきの人は気づかなかったっぽいッスね」
「ああ、別の人は気づく可能性もあるから早めに宿を後にしたくてね」
「まあ、あまり警戒しすぎると疲れるから
ちょっと肩の力を抜いてもいいと思うッスよ」
「ああ、そうだな…昨日の石投げがあってからずっと警戒していたのかもしれない」
「まあ、俺は戦えないッスけど
それ以外の事なら任せて欲しいッス、説得とかも頑張るッスから」
「ああ、よろしくな
戦闘以外は任せたいよ」
「了解ッス」
と話し合っていると目の前の扉が開いた
どうやら女性陣の準備が終わったらしい
「おまたせ!ちょっと朝にまたお風呂入ってて」
「それなら仕方ないッスね」
「遅れてしまい……………申し訳…………ございません」
「そんなに謝らなくていいよ」
今までが今まで風呂に入れなかったし追加で風呂に入りたくなるのは仕方ない事なんだろう、それに1日に複数回風呂に入る人だっているし
久しぶりにシャワーを浴びて清潔なり、室内で寝たからなのか、より一層元気な様子に見えた
「忘れ物は無いッスね?それなら出かけるッス」
「はい」「はい!」「はい……………」
そういってこの宿を後にすることにした、いや宿を出る前にやりたいことをしよう
宿の部屋がある部屋を出て、タスメさんが店主の所に行き支払いをする
「じゃあ、この枚数の銀貨でいいっすか?」
「はい……はい……ちょうどいただきました……………ありがとうございました………」
「では、失礼するッス」
「はい、ありがとうございました」
「あの、すいません」
「はいっ!?」
会話が終わると同時にカウンターの男性に声をかける
「驚かせてすまない、お伝えしたいことがありまして」
「な…な…なんでそしょうか?」
相当身構えているのか、少し噛んでしまっている
「身構えなくて大丈夫ですよ!感謝を伝えたくて
長旅で結構疲れていましたが、こちらの宿のおかげで助かりました
自分達に思われていることはよく分かっていますので勇者としてあまり迷惑をかけたくないから一晩のみ泊まることにしました、ベットもフカフカで体にたまっていた疲れも取れましたし、しばらく風呂にも入れなかったから全身を綺麗に出来ました!
近くの湖が汚染されたせいで水を作るのが面倒だと…このヒューラルに入って来た時に聞きました…そんな中で提供していただきありがとうございます!
俺たち勇者の目的は世界中に散らばったアミルクリスタルを回収することですが
あの湖の汚染を必ず直して、普段通りの生活できるようにします!」
長期滞在していたら昨日言っていた懸念が起こる可能性もある、でも1日で出る…なんて言ったら「宿が気に食わなかった?」と思われてしまうだろう
それなら、全力で「いい宿でした、ありがとうございます!」と伝えることにする、
コンビニでもファミレスでもお店を利用した時は必ず「ありがとうございました」と言って店を出ている、彼女の玲香もそうだ
それと……最期に言った「湖を元通りにする」それは本当に本気だ
「あ……ありがとうございます!!!ありがとうございます!!!」
「いい宿ありがとう!」
「本当に……………ありがとうご………ざいました」
「本当にありがとうッス」
ペコペコとカウンターの男性は頭を下げている様子を見て俺たちは出て行った
「随分と丁寧だったッスね?元の世界でもそうしていたッスか?」
「いや、普段出るときは『ありがとうございました』と言って出ている、今回は勇者の立場とか考えてちょっと多めに言ったって感じだ」
「ちょっと多め……ッスか?」
「いつも挨拶しているの?!偉いね!」
「凄いです……………私はなかなか…………言えなくて………」
「これからも意識すればいいと思うよ」
「そうッスね、それで昨日の続きッスけど…どうやって信頼を得るッスか?
ヒューラルに来たばっかりッスけど、もし行きたい施設とか場所とかあったら言って欲しいッス
街の遠くだったら馬車に乗っていくッスよ?」
「うーん、それをどうすか…」
「千斗さん………………なにか、こういう信頼を………………得るのに必要な方法って……………ライトノベルとかでありませんか?」
「ちょっと待ってくれ、考えさて欲しい」
「分かり………ました」
手っ取り早い方法としては2つ
1つは、今このヒューラルを困らせている湖の汚染を治す方法、けれども今の俺達ではどうすることもできないから却下
もう1つはあの王都セカンドルトで戦った時に起きたような魔物達の襲撃があって防衛戦が起きるかどうか、でもこれは思いたくない
よくライトノベルでは信頼を得ようとして最初は警戒されるけど、都合よく大きな魔物とか大軍が襲い掛かって来て……それらを倒して信頼を得る……ってアリキタリな事があるけど、打算的な事は絶対にしたくない
起きた時は絶対に守るけど、不幸や災いを望んで利用しているようで嫌だ
そう思うと早く信頼を得る方法はなさそうだ
「地道かな、やっぱり
物語であるような都合のいい事は普通は起きないし
挨拶し続けて行って、困っている様子があったら助けに入って…とかしかないかな?
まあ、その助けが必要なことを望んじゃいけないけどな
……不幸を望んでいるみたいで」
「そう………ですか………」
「でも助けるのって大丈夫かな?私たちを怯えられているから、急に入ったら怖がっちゃう気がするよ」
「それもそうなんだよな……」
あのヒューラルエクジトでのリンゴ拾いの時は、咄嗟に入ったしあの馬車に乗っていたおじいさんは勇者関係なしに受け入れていただいたけど、他の人だったりすると逃げ出したりするかもしれないどうしたら……
「あれ?おーいお前達!」
「え?」
聞き覚えのある声が聞こえて振り返ると、出店をやっている人がいた
ええ?店の中にいるから誰だか分からないんだけど!?
「あ!お久しぶりです!!」
「本当だ……………久しぶりです」
「え?一体だれが?あ!ひさしぶりです!」
「え?え?誰ッスか?」
タスメさんが見憶えないのはしょうがない、丁度出会ってなかったから
そこにいたのは、さっき一瞬話に出たリンゴのおじいさんだったからだ
即席で作ったような露店にあのリンゴを並べていて売っている様子があった
……あの酸っぱさを思い出してしまったのか唾液が出てしまう
「お前達ここにいたんか!あれから勇者としてどうだ!?順調か!?」
「私たち、昨日丁度ここにたどり着きました!」
「おお!そうか!」
「順調かは………ちょっと詰まっている状態です……………」
「そうか…でもいい勇者って回りに言い続けるからな!」
「あーもしかしてヒューラルエクジトでリンゴ拾いの手伝いをした人ッスね?」
「ああ、その時の人だタスメさん」
言い続ける…それは本当にありがたい、それだったらしばらく待てば勇者に対する信頼も得られそうな気がする、けれども、もうちょっと早く信頼を得たいな…そうだ!
「あ、すいませんおじいさん」
「どうした!?ちなみにわしの名前はゴッルだ!」
「ではゴッルさん、変な話になりますが、人々から信頼を得る方法ってありますか」
「え?どうした?何か悩み事があるのか?
おにーさん達のように優しい人であったら普通にしていればいいんじゃないか?」
「いや、そういった事じゃなくて」
俺は勇者としての目的の話、怯えられていることについての話や湖の状態に浄化する目的
それらを解決するために信頼を得たい事について話した
「それで、まずあの城について聞きたいのですが分かりますか?」
「いや…気にしたことなくてなーわしにもよく分からんのじゃ!」
豪快な雰囲気があったけど、確かにそういった事は気にしないなら理由を知らないんだろうな…
「分かりました、その話をまとめると、湖の中のアミルクリスタルを取る手段や、あの城の事を周囲の人達に聞きたいけど…変に聞くだけで恐れられそうなので信頼を得たいというのです」
「そういう事だったのか…わしが思いつく手段としては2つあるのお」
「2つですか?」
「1つは商人をやってみることだ!
今のワシのように物を売れば人と交流ができるし、高級とか安物とか関係なしに品質のいいものを売っていると信頼させるぞ!
…でも、それにはここで売る許可とか製品を作ったりしないといけないけどな!ハッハッハッハ!」
「流石に店のライバルになるわけにはいきませんね」
「そうじゃな!ハッハッハッハ!」
そうは言ったけど、正直この世界での価値とかは少しナリアン先生の教わっただけでしっかりと商人をやれる気がしない、現世から高品質な製品をもってきたりの商品アイディアとかを持って転売はしたくない、変に文明の開発とかに影響が出るのが怖いのもある。
核を作って地獄絵図を作った愚策とかあるし
それと「胡椒が良く売れる!」「砂糖菓子がよく売れる!」とかで大金を手に入れるとか結構見たことあるけどこの世界には胡椒も砂糖を使ったお菓子も普通にある
紙がこの世界で貴重とは言っていたけど、そんなに必要性が無いことがこの前の話しで聞いたし
貴重過ぎてもこの異世界で使い方が分からなくて価値が付かなかったり
…いや、そもそも初対面とかで信頼が少ない人たちが高級品を大量に並べていたら誰も警戒して買わない予感しかしないし
「それなら、もう1つは冒険者になる事だな」
「冒険者か!?」
「おお!?興味あるのか!?」
異世界と言ったら冒険者、冒険者ギルドに入って様々な依頼をこなしていく
そういえば、冒険者のような恰好をしている人は何人も見てきたけど
実際に「冒険者」と言う言葉を聞いたのが初めてだ
「あれですか?冒険者ギルドに入って誰かが助けを求めている依頼を解決していくという職業ですか!?」
「おおそうじゃ!詳しいな!商人と違って命がかかる所はあるけど、勇者に近い事ならそっちがいいかもな!見た感じ結構勇者って腕っぷし良さそうだしな!」
「それで、冒険者になって依頼を聞いてやっていけば周囲の人達から信頼を得れるという事ですか?」
「そうじゃ!ちゃんと依頼をこなしていけば分かり合えると思うぞ!」
「冒険者ッスか、それなら俺が案内できるッス」
「それなら付き添いの方にお願いするぞ!」
「ゴッルさんありがとうございます!じゃあ、このリンゴを1ついただきます」
「おう‼毎度アリ」
銅貨を数枚払って1ついただいて、その場で噛りつく
やっぱり酸っぱくて顔をしかめてしまう、けれども癖になってくる
「千斗!?もう1個食べるの!?」
「あ、んあ、癖になってな」
「酸っぱいの……………我慢しているんですか……………?」
「結構ありだなと思ってね」
「も……物好きですね」
女子2人は気が付いたら、ゴッルさんの馬の側にいた
撫でていたのだろうか?
「気に入ってもらって何よりだ!」
「ゴッルさん、また見かけましたら買います!」
「その時はまたよろしくな!」
「それで、タスメさん?冒険者ギルドってどこにあるんだ?」
「街の真ん中ッスね、割と領主ツキウス様の館が近いッスね」
「じゃあ、馬車を回収していきましょう!」
「そうッスね!」
「気を付けてなー!」
そう言って、馬車を回収したのちに街の真ん中へ向かって行った
昨日はあの汚染されている所にいたけど、馬たちの調子は問題なくて念のために回復魔法をかけたらしい、無事でよかったし本当にありがとうございます
ギルドか…勇者として召喚されたからやるとは思わなかった、勇者召喚されたら勇者をするから冒険者になる事はなかったったし……いや意外と多いんだよな、悪意のある異世界召喚作品だと行き場をなくして冒険者になるとか多いし………
でもそんな陰湿とは程遠い世界だからなれないと思っていたけど
勇者と同じぐらい憧れているから…正直楽しみな所がある
急に助けに入るわけではないから、相手が逃げる可能性も低くなるから順調に行けるかもしれない
冒険者になって依頼を達成していくのも地道な物ではあるけど、勇者のまま人助けよりは早く進展しそうだ




