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勇者はいる、主人公はいない  作者: 虹鳥
第1章・のどかな草原トラストリン

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首都はある、懸念に実態がある

ヒューラルエクジトから出て数日間、あれから魔物と戦って

時々現れる盗賊を捕まえたりと、そのような事を繰り返しながら進んで行く

国に入った時に感じていた爽やかな風がさらに強く感じて来た

けれども、戦闘には支障はない

蜜巳さんの弓に関しては、元から狙いが結構正確だったこともあって風の影響をそんなに受けなかった

品子さんやタスメさんが大丈夫か聞いてみても


「大丈夫………………不安定な風じゃないら……戦いやすい…

…………それにゆっくりと強くなってきているから………………狙いを合わせやすい」

「それなら良かったよ!」


と、本当に平気そうだ

実際に弓矢はほとんど百発百中で助かっている、使った矢を抜いて使い回しているから矢の消費はほとんどない

首都ヒューラルへ向かっている最中、気が付くと周囲の光景が変わって行った。

今まで草原な道になって周囲が良く見えていたけど、段々と木々が生い茂って行った

風の吹く国だからこそ、木々のざわざわした音が大きくなっていく

でもこの音も、俺たちの話し声に影響が出るほどではなかった

まるで道中や戦闘中のBGMのようで盛り上がっていく…気がした

魔物の中にもサルのように木の上からも来る奴もいたけど……降りて襲いかかってくる前に「キィィィィィィイイイ!!」とか咆えるから対応は簡単だった


そうして、木々が森になって行った時に


「勇者達、そろそろッス

ヒューラルが見えてきたッス」


馬車の中で談笑中、その言葉を聞いて3人で馬車の正面から覗き込む

そこにはトランスリンの首都、ヒューラルが見えてきた

王都セカンドルトよりは狭く、けれどもこの前見たヒューラルエクジトよりは広く……やっぱり城壁に囲まれていた、けど違う所があって


「なんか、結構高いね!」

「そうッスね、自然に申し訳ないッスが周囲の木を伐採して魔物が木を使って城壁を越えてこないようにしているッス

時々戦っているサルみたいな魔物は木が近くにあると入ってくるからッス

それと一緒に城壁も高めになっているッス」

「早く行こうよ!ずっとシャワーを浴びれなかったし宿屋とかに寄って入りたいよ!」

「……私も……………鎧は外して洗ってますけど……………服も体も早く洗いたいです」

「そうッスね、今更ッスけど一度ヒューラルエクジトで寄っても良かったかもしれないッスね」

「大丈夫だよ!」「問題………ありません」


2人とも優しいな…女性の気持ちは彼女がいても分からないモノだけど常に清潔にしたい気持ちは強く持っているモノなんじゃないかと思っている、現実時間で二週間近くは馬車に乗っていたけど、それでも我慢できるのは凄い事だと思っている

それにしても、秋原さんが言っていた通り城壁は結構高かった

比べて見ないと分からないけど、下手すれば王都セカンドルトのよりも高いんじゃないか?

中の建物は本当に一切見えてない

………だからこそ、なんだか物々しい雰囲気を感じていた


ヒューラルエクジトでは大丈夫だったけど

今まで聞いていた、拒絶とかで不安になっているのかもしれない

それとも、なにかしらヒューラルエクジトや王都の出来事が風の噂でここにたどり着いてくれていたらいいんだけど

ここを拠点にしてアミルクリスタルを探すことになっているけど、拠点として受け入れられるだろうか?


「勇者達、それじゃあ入っていくッスよ」

「いいよ!」

「う………うん!」

「……………」

「ソラアミセント?大丈夫ッスか?」

「ん?えっ?ああ?悪い、高い城壁に見とれてた

準備はできているから、行こう!」

「分かったッス、ソラアミセントは好奇心は高いッスね」


咄嗟のごかまかしで何とかなった、本当は考え事をしていたけど

ヒューラルエクジトと同じ、中に入ってから考え事をしよう

近寄って行くと門が見えてきた、ここも跳ね橋と門の二重扉

開かれており、ヒューラルエクジトとは違って誰も並んでいなかった

特に待つこともなく門をくぐっていく、門番らしき人がこちらを見た


「少し待て、君たちは誰でここに何の用事でやって来た?」

「こういう物ッス」

「……なっ?!?!?えあっ!?あっ……!?どうぞ」

「えっと、こんにちは!」

「こんに………………ちは!」

「こんにちは」

「くっひいいいいいいいいいいいいいいい!?!!?」

「あっ!ごめんね!」

「ご………ごめんなさぃ……………」

「すいません!!」


思った以上にビビらせてしまった、塩対応にしどろもどろに本気ビビり

何でこんなにも反応の種類が豊かのだろうか?

でも否定的なのは変わらない

ペコペコと頭を下げながら街中へ進んで行った


街に入り周囲を見ている、今まで赤い瓦屋根であったけど少し違っていて

木組みと白い石造りの建物はそのままだけど屋根は瓦に塗装されているのか周囲の木々に溶け込むように緑色になっていた、街の中にいるのに森の中にいる気分になっている

そして建物の種類は首都のように豊富で人々が住みそうな家々が見えている、城壁の高さを利用しているのか、窓の数的に二階建てどころか三階建てが多い

現世で住んでいる地域では二階建ての一軒家ばっかりで俺の住んでいる家もそうだ

周囲の城壁が高く、結構な圧迫感も感じてしまうけど人々も多くにぎやかそうだ

人々の格好はヒューラルエクジトの近くで見かけたようなポンチョのような物を羽織った人よりも着こんでいて、温かそうである

…………温かそうだけど、その代わり


目線は冷たい


「……………」

「…………」


この街にいる人々は、何か睨んでいる雰囲気がする

今までは怯えているように震えている感じだったけど、目つきが鋭くて警戒しているような

肘膝にプロテクターや自分達と同じように鎧をまとっている冒険者のような人は武器を構えている、武器を持っていない子供などの非戦闘員の前に立っている、歩道で車道側に男性が立つみたいな守っている感じで

それに気になることは


「なんだ?壊れている所がいくらかある?」

「そうッスね?以前に来た時はこんなの見かけなかったッスけど」

「魔物でも入られたりしたのか?」

「いや、魔物ごときだとここまで被害は大きくないはずッス」


軽く見ただけでも、何箇所か破壊されている形跡があった

家の壁が崩れて、木で補強していたり

その場所で土木工事らしき人が魔法で石材を浮かせて組み立てようとしていた

普通に見える家も、ちょっと突貫気味なのか直したばっかりのように白い石の組み立て方が一部分のみ乱雑になっていたりと…何かあったという気配は感じた

けど、タスメさんはこうなってからは始めて来たみたいだし周囲の人に聞こうとも警戒されていて聞けない


「しーちゃん………………ちょっと挨拶待った方が…………いいかも」

「そうなの?」

「さっきの………………人みたいに………怖がっちゃうかも………」

「分かった、それなら!」


そう言うと、馬車から上半身を飛び出して品子さんは手を振った、笑顔で

………無言で手を振っていると逆に圧がありそうだけど


「タスメさん」

「どうしたッスか?」

「ここを拠点に…と言ってたけどやはり馬車をまずは止めるのか?」

「そうッスね、アミルクリスタルもどこにあるか分からないッスし

馬車を止めた後はこの街にいる領主と挨拶するッス

あ、領主と言うのはトランスリンで一番偉い人ッスよ」

「普通に会えそうか?」

「そうッスね、結構気軽に会えると思うッス」


普通の世界であったら国ごとに王様がいるけど、この世界では王都のみで世界を司っている王様がいる

某科学アニメで聞いたダンバー数的には圧倒的に数が超えているけどそれでも忠誠心や信頼されているのは凄い才能だろう

この世界にとっての「国王」は「領主」か、翻訳魔法の解釈的にはそう扱うらしい


「いったん、あの魔道具を使ってもいいか?アミルクリスタルを探す道具あのアレなんだけど?」

「いいッスよ」


懐から久しぶりに出して周囲をグルリと確認してみる

いろいろな色は遠くにあったが、唯一1つだけ近い位置にある色があった

青色の光が大きく見える、その位置は俺たちは入って来た所とは逆…と言うよりかは進行方向にある

一見街の真ん中?と思っていたけどそれにしては地面より下にあるような?

この先って下り坂なのだろうか?


「何処にあるッスか?」

「えっと、1番近いのはこの真っすぐ先の……下?」

「下?」

「地面より深いような感じだ、この先って下り坂だったりしているのか?」

「え?そんな事はないッスけど?」

「え?それじゃ一体………」


そう言いながら悩んでいたけど、その時にある物が視界に入った

風が城壁に囲まれたヒューラルで街外の風の音がやけに静かな雰囲気を感じていた

そして、俺たちを見ている人たちはヒソヒソと不安げな会話を広げていた時、ガサリと音が聞こえた

風が木を揺らしている音ではなく、それは軽い音だったからこそやけに目立った

草を踏む音が


何気ない歩いている音だったら気にしなかったけど、この歩き方は何か変だ

こっちに向かって走って来る、それも意図した感じに

何か胸騒ぎがする


「ん?どうしたッスか?ソラアミセント?」

「…………嫌な予感がする、ちょっとマクスラスを構えていいか?」

「え?街中には魔物はいないッスし、この大通りにでてくるような悪人なんていないはずッ…………」

「このっ……ばけもの!!」


聞こえて来た声、それと一緒に飛び出してきた何かが馬車の横にいた

タスメさんが「必要ない」的な事を言っている最中にすでに構えていた俺は臨戦態勢になる


「みんな!伏せて!」

「危ない!」


俺は馬を刺激しないように前方から身を乗り出す、飛び出してきた者から何か飛んでくるモノがあった、投擲物か?!

そう思った時にはマクスラスを伸ばして叩き落していた

これは……石?こんなもんが当たったら下手すれば死ぬ!戦闘訓練を受けていて反応できてよかった


「あぶねー」

「よっと!千斗大丈夫!?」

「え?コッチは大丈夫だけど品子さんの方も来てたのか?!」

「うん!2個も石が飛んできてたよ、馬車の前と後ろに!」


2人もいたのか?そう思って周囲を見渡してみたけど、飛び出してきたのは1人だけ

それに、男の子供だ

2個も投げてきたんだろうか?


「ハァっ………くそっ!」

「ちょっと、あの子を止めて!」


男の子が石を投げたのを同時に周囲はざわついてくる

大人の人がその石を投げた子供に指を指しながら言うと、別の大人がしがみ付いた

突然の事だったけど、タスメさんは落ち着いて馬車を止めて

蜜巳さんも弓を手に取った


「と………飛んで来たら………落とすよ!」

「みーちゃん、攻撃はしないでね!多分人を狙うのもダメだと思う!」

「わ…………わかった!」

「落ち着くッス…落ち着くッス」


タスメさんは少し興奮している馬をなだめているようだ

しかし、こういった時はどうしたらいい?一体なんて言ったらいいんだろうか…


「あの!落ち着いてください!俺たちは大丈夫です!」


咄嗟にそのような言葉が出てしまった、別に石を投げた子供に腹が立ってはない

驚きの方が多いし、以前のこの世界に来た時ばっかりの時に思った「石を投げられるかもしれない」という懸念が実態になって「本当に起こるとは……」っと思っている


「なっ…!離せよ!邪魔するな!」

「ゆっ…………ゆゆゆゆゆ勇者さま!お願いします!許してください!殺さないでください!」


殺っ……!?そんな子供を殺すような事なんかするわけない!

親らしき人が庇って両腕を広げながら前に出たけど

俺たちが悪人みたいで罪悪感が湧いてしまう


「殺さないよ!落ち着いて!気にしてないから!」

「そうです!怪我とか受けてないから!」

「俺は知ってんだよ!堀の川が汚れて魔法で綺麗にしなきゃいけなくなったのはお前ら勇者のせいだ!

水魔法で作るのもめんどくさいんだぞ!」


……何の話だ?堀の川が汚れたのは勇者のせい?偽物勇者がいて何かしたのか?

それにしては早すぎる気が

そうじゃないとしたらもしかして………比べられている『何か』なのか?


「川?何のことなの!?私たちはこの国に来たばっかりだけど!?」

「落ち…………ついて……………っ!」

「セメリ!」


セメリ?石を投げてきた金髪の少年の名前か?

その名前を叫んだ女の子、赤い髪の少女は転びそうになりながらもセメリと呼ばれた少年に駆け寄ってきた


「セメリやめて!」

「シキギ!ここから離れて!こいつらはやっつけるから!」

「もう無理しないで!!」


シキギ?とセメリ?の2人組は言い争い?というか自己犠牲みたいな行動を取っていた、そう観察しているとタスメさんから声が


「勇者たち!馬たちが落ち着いたッス、ここから離れて先へ行くッスか?」

「そうしたほうがいい、多分俺たちが離れないとこの場は収まらないらから!」

「分かったッス!」


そう言って、タスメさんは馬を走らせた

街中だから、速足で行く感じに

ざわざわしているこの場から退散していく


「はぁ………はぁ……………こ…怖かった」

「蜜巳さん大丈夫か?」

「怪我はないよ………………心は、少し………………時間を置けば大丈夫だと思う」

「ねえそこの人達ー!」

「え!?」

「っ!?」


蜜巳さんの様子を確認した後に品子さんの様子を確認しようとしたら、馬車の後ろから突然大声で呼びかけ始めた!?

品子さん!?一体何をする気だ!?


「何があったか分からないけど、迷惑かけていたらごめんなさいー!!

けど、私たちはここを助けに来ました!

怖いかもしれないけど、怖いことは絶対にしないよ!!

それと、子供のしたことは多分怖がっていただけだと思うし絶対に、絶っっっ対に責めないで!」

「俺は怖がってねー!」


遠くから、セメリらしき強気な声が後ろから聞こえながら馬車に乗って去って行った


「これで大丈夫かな…」

「しーちゃん!?何して………んの?!」

「だって!石は何とかしたけど多分このままだとあの子供が怒られちゃうから言いたくて…」

「しーちゃん………」

「いい呼びかけだと思うよ、品子さん」

「でしょ!千斗も分かるでしょ!」


品子さんの言った通り、あのセメリという少年は勝手な事をしたから大人たちから怒られてしまうだろう

ああ言ったから、それは緩和されてくれたらいいな

あの少年からは憎しみとかを感じた、でも結果としては悪意はないからセメリさんは決して悪くない

そう思いながら領主の所へ向かって行った


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