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勇者はいる、主人公はいない  作者: 虹鳥
第1章・のどかな草原トラストリン

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安全策ある、最善策ではない

不信感を思いながら国境を越えて、トランスリンの様子を見て見る

とは言っても王都セカンドルトの延長線上で風景にあまり違いはない

国境の門を越えた先は、どこまでも広い

ある程度森とか見えており、山とかも見えている


「勇者達……言っておきたいことがあるッス」

「言っておきたいこと?」

「これからの予定の事ッスけど

軽く説明するなら、この先のヒューラルエクジトと言う町で補給するッス」

「ヒューラル……………エクジト?」

「中継地点みたいなものッス、それ以降はそのヒューラルエクジトで説明するッスが

そのヒューラルエクジトで色々と補給するッス、勇者達や俺や馬の為の食べ物や馬車のメンテナンスを行ったりと色々とやるッス」


そう考えて見れば、RPGの主人公達って食料ゲージ的なのをあまり見たことないけど

実際に異世界でも現世でも生きていくうえで食べ物は必要だ

馬車に載せられる分の食べ物は限度があるし……

水に関しては俺の水魔法でも作りだせるし、タスメさんは攻撃ではなく飲料水としての水魔法をだせるしそれを飲んでいる、味はどっちも水道水みたいで「こんなもんか」って思ったが


「そのヒューラルエクジトまではどれぐらいあるんですか?」

「数日かかる、それに関しても話すッス

もちろん、馬たちも休みたいと思うッスし、夜になったら馬車を止めて寝ることになるッス」


となると……アレをすることになるんだな


「なるほど、となりますと寝るときに交代で起きて見張りをするという事ですね」

「え?

そうなの………ですか?」

「ああ、人間はこっちの世界の時間で言う所の20時間起きていると正確な判断ができなくなるから絶対に睡眠は必要なんだ」

「ストレスを無くすのに休むの大切って千斗言っていたよね!」


防衛戦前の時に言ったアレか


「ああ、だけど寝ている時は無防備になってしまう

いままで王城で過ごしていた時は安全な建物の中で過ごしていたけど

俺の世界にあったライトノベルとかでは、寝ている最中に魔物に襲われたり盗賊に荷物を盗まれたりすることがあるんだ

だから……高校生にはちょっと毒だけど……例えば俺が今寝て、2人は今起きる

そして夜になったら俺が起きて2人は寝る、そんな感じに交代で見張りをする

警戒を怠らないように常に起きている時間があるように……」

「あー盛り上がっている所申し訳ないッスが、その心配はしなくてもいいッス」

「えっ?」


心配しなくていい?一体どうゆうことだ?


「こっちの世界には安全に休めるための魔道具があるッス

消耗品ッスけど使えば一定の空間を守ってくれるッス

安くてどこでも売っているッスから、お手軽に使えるッス」

「ベ、便利だなー魔道具って」


そういえば、ラノベでは魔道具って便利だけど貴重品扱いを受けているのが多かったけど、この世界ではけっこう簡単に扱えるんだったな

一定の空間を守ってくれる魔道具…使いどころによっては敵の攻撃を守るのにも使えそうな気がする


「使い方次第で色々と使い方が変わるッスけど、ここにあるのは野営用の魔道具ッス」


対敵の攻撃用ではなさそう、強度とか違うのかな?

そう言いながら、器用に馬車を扱いながら1つの道具を出した

形は何かアミルクリスタルのようにダイヤのクリスタル型ではあるけど、緑色で周囲に円盤型の装飾が付いている

一目でアミルクリスタルと違う外見なのが分かる、それが箱の中にいくつも入っていた


「他の魔道具を使ったことあるなら、それと同じッスが魔力を込めれば防御壁が広がるッス

中に入れば一晩は外からの生き物は誰も入って来れなくなるッス、魔物でも悪党でもッス」

「それは……便利ですね!」

「内側からは出れないの!?」

「出れるけど、出たら戻れなくなるから注意は必要ッス

破壊力のデカイ魔物になると破られるッスけど、その時は派手な割れる音が鳴って寝ている人も起きると思うッス、この周囲にはそんな魔物はいないと思うッスけどね」


緊急のアラームにもなるってことか!

眠りはの深さ普通ぐらいだから起きれそうだ


「でも、ごめんねだけど

硬い床で寝れるかな?」

「それも心配しなくていいッス、馬車の中で寝れるように布団も用意しているッス

カーテン1枚だけど男女で分かれることもできるッスよ」

「すごい!この広さなら4人で寝れるね!」


本当に便利だな!?異世界作品で「現代に生きていた学生が中世の不衛生環境と不便な環境で生きて行けるわけない」なんて言ってくる人っているけど、俺は「魔法があるからまだ平気だろ…」なんて思っていたらこんなにも便利な世界とは思わなかったよ!


「すごいですね、寝る前にここにある便利な魔道具について色々と聞きたいのですが」

「ああ、いいッスよ

馬車を運転中だけど、気にしなくていいッスよ」


そう言いながら器用に紹介していく

聞けば聞くほど本当に便利な物がとても多くて、この世界で生きていくのは何の不自由もなさそうに感じた

強いて言うなら機械や通信がないから娯楽に関しては現代と比べたら退屈に感じる……なんて異世界作品を読んでいる時は良く思っていたけど、魔法に魔道具、魔物との戦闘と小説でしか見たことのない物を見ていると本当に楽しいことが多い

読んでいたライトノベルの続きが見れないのは不満ではあるけど…それは帰った後に見る


「この…………箱は?」

「トイレっすね、匂いを防いで一緒に埋めれば地面になくなっていくッス」

「うーん、ちょっと外でするのは……」

「カーテンとかで囲う事もできるッスよ」

「分かった!そういえば風呂…はやっぱりいいや!

外でするの恥ずかしいから!」

「それに関しては町まで我慢して欲しいッス」


水回りについても道中で苦労することはなさそうだ

シャワーは流石に我慢したほうがいいけど


「そういえばッスが……」

「ん?どうしたの?敵?」

「そうッス、頼んだッス」

「わっ…わかりました!」

「え、ああ!?分かった!」


ちょっと3人の聞いてボーっとしていたからちょっと焦ってしまった

とはいえ、国境を抜けてある程度の距離を取っただで出てくる魔物の強さはそんなに変りない

なんだかダチョウのように首が長く小さなっている……フラスコだっけか?そんな形の生き物、なんて観察している内に戦闘が終わってしまった


「ありがとう、お疲れッス

じゃあ解体は任せて欲しいッス」

「じゃあよろしくお願いしまーす!」

「よ………よろしく……………おねがいします」


そして俺は…今回も残って手伝いと観察するとこに


「あータスメさん」

「ん?どうしたっすか?」

「そういえば1つ疑問に思いましたが」

「何でも聞いて欲しいッス」

「魔物って“魔物”って名前以外ついていないんですか?

何か個体名とかそういった物は」


そういえば実戦訓練をしていた時もガリウス兵隊長を筆頭に誰も“魔物”ってしか言ってない

翻訳魔法でまとめてそう聞こえる影響なのだろうか?


「あーこの世界に魔王城がでて魔物が出てきた時は、分かりやすくするように個体ごとに名前を付けられたッスが………種類が多く、キリがなかったッス

それに、同じ魔物でも、国によって…いや地域によって名前が違う事も起こって大混乱だったッス

魔物の名前が統一されないのは戦いで致命的と聞いたことがあるッス」

「認識の違いで、判断が遅れそうでですね」

「そんな感じッスかね、だから王様の命令でほとんどの魔物は“魔物”と言う名前に統一されたッス」

「ん?ほとんど?」


なるほど……一応国によって環境が違うらしいから、いる魔物も違いがありそうではあるけど、どんな国でも共通する魔物もいそうだ

例えばだけど、飛んでいる魔物がいたとしてニーズヘッグ、ワイバーン、グリフォン……表記が揺れ揺れになってしまうと誰もが混乱してしまう

ところで“ほとんど”とは?


「ほとんどに含まれてない魔物の事が気になるッスか?」

「はい、どんな違いがあるのかと思いまして」

「まあ、簡単に言えばめっちゃ強いという違いッス

余りに強い魔物はちゃんと違いを付けるために、何かしらの名前を付けて判別しやすいようにしているッス」


言わば……ネームドというモノか!?!?

名前を付けられた特別な存在、聞くだけでも憧れる、強敵になるのは確実だけどいつか会って見たいと思ってしまった

そう考えながら解体も埋葬も済んでまた出発した


出発した後はまた、雑談して魔物と戦いながら進めて行く

ヒューラルエクジトにたどり着くまでは数日かかるらしいから、この調子のまま行ければいいな

魔物との戦いは退屈しないと言ったが…もしかするとちょっと退屈な状況にもなるかもしれないけど

そんな、ある時にタスメさんが解体をしている時に思った事があった


「そういえば、魔物って個体名が基本的に無いですけど、解体で使える部位はどうやって分かるのですか?魔物ごとに誰かに教えてもらったりとか?」

「それは…実践を重ねて行けば、なんとなく分かって行くものッス」

「感覚というモノですか」

「それだけでなく、世界の市場状況とかでどこが使えるとか?を知った知識ッス

俺の感覚としては、硬かったり鋭かったりする所は大体素材として売れるというイメージッス

経験があれば内臓とか体内の毒とかも摂取できればや矢毒を使ったりとかもできるッス」

「矢毒とかもか…」


チラリと馬車の方に目を向ける、蜜巳さんの扱う矢とかに扱えそうだ


「もちろん、魔物を倒したのは自由に使っていいッスから

……でも矢毒の扱いは誰か矢の扱いが出来る人に聞いた方がいいッスね」

「トランスリンの方に誰か詳しい人がいれば聞けそうですね」

「……聞ければ…ッスね」

「え?どうゆう事ですか?」

「あーいや、まあ」


なんだか、タスメさんは聞きずらそうにしている、世界中に「勇者の怖さ」が広がっているんだろう

解体も埋葬も終わったけど、会話は続いて行った


「怖がっていることですね?でも王都セカンドルトでも城下町だけでなく王城にいた人たちも怖がっていました

けれど、品子さんを筆頭に積極的な挨拶を行っていき、そうして心を開いて行く人は……1人、また1人と増えていきました

その後には……偶然ではありましたが防衛線が起こりまして、それで王都セカンドルトを守って誰もが信頼を寄せるようになりました

なので、怖がられるのは分かっていますし、トランスリンでも地道に信頼を得て行けば…」

「いや、そうゆう事では無いッス」

「どうゆう事ですか?」


そうゆうことではない?

それ以外に要因があるのか…もしかして国境の人達の表情と関係あるのか?


「ああ、セカンドルトは王の命令……たぶんうんざりするほど王の命令と聞いたと思うッスが

逆に言えばその王の命令があって、抑制されいる所があったッス」

「抑制とは?」

「この世界と勇者たちの住む世界では、本能がどう違うか分からないッスが

怖いって強く思うと、攻撃する人もいるッス」

「防衛本能…ってやつですかね?」

「そっちの世界にもあるッスね」

「はい、防衛本能は色々とあって……えっと、うろ覚えですが

これ以上恐怖の感じないようにと気絶して情報を遮断したり、本能的に逃げようとしたり…

そして、恐怖の対象を何とかしようと攻撃してしまったりと」

「こっちの世界と同じッスね、でも王都にいるときに誰からか攻撃をされなかったッスね?

……そうッスね?」

「…たしかに、この魔道具を盗んでいた悪党がいたこと以外、悪意のある人はいませんでした」

「抑制のおがけで、王都セカンドルトでは怯えている人しかいなかったッス

ウンザリするほど聞いたと思う王の命令で守られていた所もあったッスが…」


王の命令があったから俺たちに対して、物理的にも精神的にも危害を加える人はいなかった

…でも、優しく接してくれたのは王都セカンドルト…いや、異世界グラーフィアの人達の本質なんだろうな、信頼を得て来た時の安心してきた人々の顔を見ればわかる


「カイザムさんが『国の外では命令が届いていない』って言っていたッスね?その命令が届いていないという事は、その抑制という守りが無いから…

下手すれば、何か石を投げられたり攻撃されることもあるかもッス

だから……逆に人と関わらずにアミルクリスタルを回収してこの国を出るまで

人前に出ずに馬車の中で過ごして欲し…………」

「それは嫌だよ!!」


突然背後から大きな声が聞こえた、振り返ってみると

馬車に戻ったはずの品子さんと蜜巳さんがその場にいた


「そんな、寂しいやり方をしたくないよ!

隠れてアミルクリスタルを回収するなんて…みんな怖いままじゃない!!」

「え?品子さんに蜜巳さん!?なぜここに?」

「解体の時間が長くて………………ちょっと2人の話を……聞いました」

「石を投げられても守るよ!私は盾を持っているし強いよ!」

「わ………私も……怖いけど……………弓矢を使えるから………………撃ち落とすっ!」

「む、無理をしなくてもいいッスよ?」

「タスメさん」


俺は、品子さんと蜜巳さんの方に立ってタスメさんと向き合う

こういった事は面と向かって話さなきゃいけないだろう


「俺も槍を扱えるから、石を投げられても平気です

保身的なやり方を扱うのは1つの手として、いいと思います。

けれども、俺たちは勇者です。

アミルクリスタルを集めて魔王を討伐することだけが勇者ではありません

俺たちのいた世界では物語の中でしか見ませんでしたが、魔王討伐だけでなく、行く先々で困っている人々の悩みを解決していきました、困らせている魔物を倒したり、足りない物品を手に入れて渡したり…」


当然……勇者を悪として書いている作品も見たことあるし、勇者らしくない主人公を見たこともある

けれど勇者の本質って、こういった事なんじゃないか?

という事を俺は、いや、俺たちはタスメさんに伝えていく

2人もそんな人々を率先して救うの勇者と思っているだろう


「勇者なのに怖いままなの嫌でしょ!!だったらセカンドルトと同じようにするよ!」

「…………………怖くても、卑怯に逃げたりしないって……………決めたから!」

「だから、積極的に俺たちは町の人地たちに声をかけます!」

「………そうか、本当にいい勇者達で良かったッス」


なにか、含みがありそうな言い方ではあったけど

これは王の命令で話せないことだと思うし聞かないでおこう

「怯えた要因である何か」と比べている感じはするし


「って、長話してすまないッス」

「いえ、俺も話し込んですいません」

「話すことは言いことだよ!」

「うん………会話は………大切だから」

「終わったし、先に進めるッス」


そう言いながらも…実をいえば俺の中では主人公らしくない、ちょっと優柔不断な考えが過っていた

積極的に話をして行きたい、そう言ったけど

物語内であるような、排他的な村だったらどうしようという考えもある…

悪意が何の感情移入もできない魔女狩りのような物だったら?とか

挨拶とかで何とかできるレベルなんだろうか?

………そんな考えは、街とかにたどり着いてからの方がいいかもな


そうやって話を終えた後、それからは戦闘は起こらずに時間帯は夜になった

積んであった野菜や肉の食料をタスメさんの手腕で煮込みを頂いた

好奇心があったけど王城で食べているのと変わらず味が濃い、でもずっと動いていたから塩っ気が身に染みるような気がする

その後は、野営の準備、馬車の固定や馬を寝かせる所、その辺りもタスメさんにお願いして

馬車の中では真ん中あたりにカーテンを引いて男女で分かれた、馬車の先頭からタスメさん、俺

カーテンを隔てて品子さんと蜜巳さんと言う順番で川の字に眠る

掛け布団も敷布団も共にあって野営なのに気持ちよく寝れそうかも

魔道具で守りを展開してランプに手を触れてタスメさんは問いかける


「準備はいいッスか?」

「問題ないです、おやすみなさい」

「おやすみー!」

「おやすみ……………なさい」

「おやすみッス」


そういうと、タスメさんは馬車の天井にあったランプに息を吹きかけて消す

辺りは真っ暗になり、風が草を撫でる音が聞こえる

キャンプとかしたことなかったし、外で寝るのも初めてだったから寝れるか不安だったけど

思った以上に快適で、そして疲れていたからか早めに眠りに入った……


ヒューラルエクジトだっけか?

あそこも、その先の町でも悪意のあることが起きなきゃいいな

そう思いながら睡魔に身を委ねて行った

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