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勇者はいる、主人公はいない  作者: 虹鳥
第1章・のどかな草原トラストリン

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交流はある、自己紹介はほどほどに

王都セカンドルトから去り、3人の見えなくなると同時に泣いてしまった

俺だけ泣いてカッコ悪いと思っていたら、品子さんも蜜巳さんも涙を流していた

泣いて泣いて、タスメさんも気を使っているのかクールな性格なのか俺たちの様子を気にすることなく馬車を動かし続けた

俺たち3人で泣いて、泣き終わった後、少し笑う

王都セカンドルトを去る前に勇敢…と言うよりかは元気いっぱいだったはずの笑顔がちょっとクシャクシャだ


「…は、恥じい」

「……………ゴメン……あんま見ないで…………恥ずかしい」

「えへへへ、私も恥ずかしい」


その後は、大きな声で笑い合った

水魔法を使って馬車を汚さないように顔を洗った


「『笑顔で!』なんて言ったけど、ちょっと耐えられなかったな」

「いえ………………十分に耐えられたと……………思いますよ」

「うん、もしかしたら、三人共泣いているかもね」


ナリアン神父、カイザムさんは本当に泣いている予感がする

でもガリウス兵隊長は意外と気にしていないか、もしくは2人より大きく泣いているのかもしれない


「戻ってきたらね、絶対に笑顔のままでいようよ!」

「もちろんだ、アミルクリスタルと言うお土産と共にな」

「はい…………頑張り…………ましょう!」


お互いに、感情を出し尽くした後は落ち着くまで少しだけのんびりをした

蜜巳さんは少し疲れたのか、品子さんに身を預けるように体を傾け

そして品子さんは蜜巳さんを支えるように体をまっすぐにしたままだった


「ちょっと……………こうしていいかな?」

「いいよ、疲れちゃった?寝てもいいよ?」

「寝るのは………大丈夫かな?」

「じゃあゆっくりしててね?」

「うん…………」


……尊い、俺は2人の邪魔をしないようにちょっと隅の方に行こうかな


「ねえ千斗?」

「んあっ?どうした?」

「なんか1人になっててどうしたの?」

「いや、蜜巳さんが寝るかと思って静かにしようと

それに、ちょっとタスメさんと会話もしたくて」

「わ………私の事は気にしなくて…………もいいですよ」

「うん、私もここにいるから気にしなくていいよ!」

「ああ、じゃあ失礼して」


座席を一旦立って、前方へ向かって行く

馬車の御者席の方へ行き、馬車のカーテン、それとものれんかな?そこを開けて見る

視界が開けて太陽光が入り少しまぶしい、目をこすりながら慣れていき目の前にあったのは

コモンドール?確かそんな名前の犬種がいた、まるでモップみたいで毛の1本1本の毛がまとまっており太い、モップの中からマズルが伸びていてメカクレをしているような外見で


「可愛いな…」


そういえば、出発前は足元しか見ていなくて馬車の中から見たのは初めてだ

馬は元の世界でも見たことない、あるのはテレビ越しだけだ

おおよそ2.5mはあるって聞いたことある

毛の糸は明るい茶色、もしくは栗色かな?

昨日の仕上げの時のように、蜜巳さんの召喚獣を見た兵隊長は怯えていたし

人間って自分とは違った存在を見ると恐怖を感じるらしい、実際に俺も魔物の姿を見たら恐怖心も不快感も感じた。

でも動物は違う、確かに現世の生き物とは違うけど恐怖心とか感じない


「どうしたッス?」

「あ、いや、俺のいた世界にいた馬とは違ってて、興味深く見ていました」

「そうか…見るのはいくらでも構わないけど、触るのは控えて欲しいッス

結構神経質だからッス」

「分かりました」


実を言うなら、撫でてしまいそうだったから危なかった


「あの……タスメさん」

「どうしたッスか?」


本当だったらここで自己紹介をしたいところではあったけど、その前に気になることがある


「タスメさんは俺たちの事に怯えていないんですよね?そうカイザムさんから聞きましたが…」

「大丈夫ッス、王都セカンドルトを守ってありがとうッス」

「どういたしまして」

「どういたしまして!」

「どう………いたししまして……」

「それで、この世界の人達は俺たちに怯えている様子がずっとありまして

でもそれを聞こうにも王の命令と言われまして話されませんでした

でも、カイザムさんから『国の外では命令が届いていない』と言われまして、もし話せるならその真相を聞きたいのですが」

「すまない、俺から『は』話せないッス

この先のトランスリンで聞けるならそっちで聞いて欲しいッス」

「ああ、そうでしたか…分かりました」


「俺から『は』」って強調して言っていた、もしかするとカイザムさんが言っていた王の命令に背いて行っていた事

タスメさんもそれを聞いているのかもしれないな?


「えっと、そういえば馬車に乗る時はよろしくしか言っていませんでしたね

改めて自己紹介をします

俺の名前は空網千斗、勇者の1人で3人の中では唯一の男性

武器はマクスラスもとい斧槍を使い、魔法は水をメインに6大元素の攻撃魔法を使います」


たまに作品によっては信頼している相手でさえも「自分の手の内を明かさない」っていうモノがあるが、現在は疑う意味は無いしあまり好きではない

秘密のあるけど仲のいい関係は好きではあるけど、戦いだけでなくても共に旅をするならちゃんと信頼して手の内を明かして欲しい、そしてお互いの能力を分かち合って最高の協力が見たい

サンサン大海原先生の描く仲間関係、とか本当に好きで………そういえば最終巻の「不可視の一撃を乗り越えて」はまだ見ていないんだよな、この世界から帰ってきたら見よう

ともかく、サンサン大海原先生のような信頼し合って、最初は声掛けを多めにし最終的には声掛けしなくてもお互いの事をよく理解していくような関係、そのようなものが見てみたい


「私は秋原品子!勇者の中で1番戦うよ!

武器はいろんな剣を使うし大きな盾を使うよ!魔法は補助魔法と回復使うから頼ってね!」

「わっ……私は…………小沼…………蜜巳

武器は弓を使って………………召喚獣を使って………………頑張ります!」

「ああ、改めてよろしくッス

勇者たちの事はカイザムを筆頭に聞いている

俺はタスメ、王都セカンドルトから馬車の御者を任された者ッス

戦いは出来ないけど、それ以外の事なら何でも聞いて欲しいッス

勇者たちはこの世界に来てまだ分からないことが多いッスよね?そういったグラーフィアの事なら気軽に聞いて欲しいッス」

「分かりました」

「分かったよ!」

「分かり…………ました」

「例えば武器の手入れ道具の使い方や魔物の処理の仕方

解体した物の中で何が食えるか何が使えるか見ればわかるッス

逆に言えば戦闘は本当にができないから、魔物が出たときはよろしくお願いしまッス」

「頼りにしています、これからの道中質問が多くなりますが

よろしくお願いします」

「……前もって聞いていたけど、丁寧で良かったッス」


今までの勇者に怯えている人達の様子を見て考察していることがある

取り合えずいえることは「以前の何か」と比べられているのはあるだろうな?


「取り合えず道中は長くて数日はかかる、馬車の中でゆっくりしてもいいッス」

「分かりました、ありがとうございます」


そう言いながら、馬車の中に戻って行った

外を見た感じ結構な速度が出ているはずなのに馬車の心地よさを感じながら座る、行儀悪いけど座席にこのまま横になったら寝そうな感じがする

馬車の上を見るように上体を倒し、両手を頭の上に


「千斗も寝る?ゆっくりしてていいよー」

「あーいや寝ずにゆっくりしようかな?」

「雑談を……しますか?」

「ああ、そうしようかな?」


そういえば、ちょっと踏み込んだ話をしてもいいかもしれない

異世界に召喚されてから結構日にちが経ったから


「2つ気になっている事があるんだけど」

「ん?」

「どう…………したの?」

「品子さんと蜜巳さんって幼馴染だけど、いつからだ?

要は、2人が出会ったのっでいくつぐらいの歳の時だ?」


現世で読んでいた作品では、幼馴染の形は色々とあるけど

決して自分の趣味を相手に押し付けないが、決っして!自分の趣味を相手に押し付けないが!

俺は小学生以下で出会ってからじゃないと幼馴染と認めてない所もある

「幼」い時の「馴染」みって書くし、俺にとって幼いと感じるのは小学生までだ

まあ、だとしても中学生からだったとしてもこれまで通り、接して2人の関係を守っていくつもりだ

決して自分の趣味を相手に押し付けないから、大事な事だから3回も自分に言い聞かせた


「幼稚園からだよ!」

「3歳の時から…………でしたね…………」


………13年か、ありがとう


「ずっと仲良しなのステキだな……

そしてもう1つは、蜜巳さんって品子さんに対しても敬語なんだよな?

どうしてなんだ?」

「………分からない、これが落ち着くから……………かな?」

「落ち着く…?」


現世で読んでいた物語では関係が深まると、タメ口になったりとか…そうゆうの見て来たけど

仲のいい相手でもずっと敬語のままなのは初めて見たな


「そういえば、俺が話す口調を変えた時に品子さんは『それはみーちゃんなりに信用している』って言っていたけど、お互いの呼び方だけはちゃん付けなんだよな?それって…………」

「それは、私がお願いして練習したの!」

「うん………癖や性分は今の年齢になってもどうすることもできないんだけど………敬語だと距離感を感じるからせめて………としーちゃんは言っていました」

「そーなのよ!みーちゃん練習して頑張ったんだよ!!」


敬語でありながらも、呼び方は特別な幼馴染関係…………なんて尊いんだ

いつもが敬語だからこそ、特別な呼び方が何百倍何千倍…いや百億倍は尊さが倍増している

オタクは溢れる気持ちを『数』じゃなくて『桁数』で感情表現するからこういった感想になってしまう


「そうえいば千斗?」

「あ、お、ん?どうした?」

「千斗は彼女の玲香がいるんだよね?どうやって呼んでいるの?」

「ああ、それは普通に玲香って呼んでいる

俺がアルティマ・ザン・ガーゴイルの時は我…じゃなくて俺は冷華様って呼んでいる」

「様かぁ!とっても楽しそうだね!」

「ん?なんだか……………イントネーションが………違った気が?」

「普通の名前は、王へんに命令の令と書いて玲、香りとかいて玲香(れいか)

中二病モードの時は、冷たいの冷に(はな)と書いて冷華(れいか)

ちなみに玲香からは『我が召喚獣』って呼ばれているんだ」


まあ、まさか本当に召喚されるなんて思わなかったけど


「徹底した設定…………楽しそうですね……………」

「うん、一緒に遊んでいて楽しそうだね!」

「なら、もう1つ聞いていいか?」

「どうしたの?」

「何が………聞きたいのですか?」

「2人は一緒に楽しんでいる事って何かあるのか?

以前はお菓子作りが趣味って言っていたけど、それ以外に趣味とかあるのか?」

「料理も作ったことあるよ!」

「……お菓子と同じように……作った後に………一緒に食べたこともあります」


お菓子と料理って「食べるものを作る」に関しては同じだけど、作り方が全然違うと聞いたことある

でも具体的に何が違うかは分からない、料理の経験は家庭科の授業でしかやったことがないからだ


「よかったら千斗も食べる?」

「ああ、どこかそうゆう機会があったらまた頂いてみるよ」

「………絶対に……美味しいって思えますよ!」


……前でも思ったけど、2人の空間に男は入れたくない、当然俺もだ

けれども、こういった善意を無下にしたくない

2人の料理も食べれたら、味わってみたいな


「それに私はね、運動するのも楽しいよ!

体動かすの大好きだから!」

「私は…………小説を読んだり………人形で遊んだりする………こともあります

子どもっぽくて笑いますか?」

「いや?俺もフィギュアを集めることもあるし、人形やぬいぐるみを持つこともある」

「…………そ!?そうなんですか!」


ドールをかわいがる人は老若男女だれでもいる

それにキャラのぬいぐるみは本当に俺も持っている、学生だから意外と値段が高くたまにし買えないけど

大人になったら透明な棚と買って、フィギュアやぬいを飾ってみたいな


「それにしても……共通の趣味とそれぞれの趣味って両方あるんだな、俺と玲香は結構趣味が一致しているからちょっと斬新に感じる」

「素敵だと……思いますよ…………一致しているのも」

「ああ、ありがとうな」

「ねえ千斗!千斗は異世界の小説が1番好きって言っていたけど

玲香はどんな小説が好きなの?」

「いろんな種類の作品を読んでいる

玲香は恋愛系が好きだな、おススメされることもあるし」


だけどもドロドロ系は好きじゃないとはっきり言っていた

特に序盤純愛だったけど続編や後になってNTRになるモノは1番キレる


「学園ですか…?……それとも会社的な…………」

「どっちもだな?主人公とヒロインの2人組が仲良くしていて、それを周囲が応援するのが好みだ」


逆に主人公の周囲の人達がみんな惚れる複数人系は苦手と言っていた

最終的に「誰かを選ぶ」となり、その時に失恋した敗北ヒロインがいる状況がキツイと言っていた。その時点になる時は終盤、いろんなキャラの気持ちや考えや過去を聞いて感情移入しているからこそ「誰も負けて欲しくない」と思っている

何がとは言わないけど玲香も幼馴染関係が大好きではあるけど、あるラブコメで敗北しただけでなく結婚式のケーキを作らされたりと念入りな死体蹴りにキレた、俺もキレた

それ以降「不幸になる人が出てくるのは見たくない」と複数人系は安全だと保障されない限り見ることがほとんど無い

俺の読んでいる異世界作品とかでハーレムになる展開が多いけど、玲香は「複数人系読むよりそれを読みたい」と言うほどである


「周りが応援…とっても素敵じゃん!」

「ああ、スイートアイス先生の作品とかサンサン大海原先生の作品の中にいくつかあるし軽く紹介するか?」

「………私も、よく読んでいましたので…………しーちゃんに紹介できるかも………」

「いいねぇ!紹介して!」


元の世界に戻った時に、いい機会だから読んで欲しいな

そう思って俺と蜜巳さんで作品の紹介をすることにした

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