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勇者はいる、主人公はいない  作者: 虹鳥
プロローグ・王都セカンドルト

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26/58

協力はある、援軍は無い

「おりゃーー!」


魔物が拳をあげた瞬間に品子さんは盾を持ってシールドバッシュをしてきた

大剣を置いて小型剣でのシールドバッシュだから目で追えないほど……いや!?いくらなんでも早すぎないか!?あの速度を俺は喰らっていたのか?!もはや車だよ!マナの能力上昇が無かったら異世界にいるのに異世界転生するところだったよ!

シールドバッシュしたまま少し飛び上がって思いっきり弁慶の泣き所…膝に激突した


「ご・・・・ぼ・・・・・・」


うめき声のような音?のようなのをあげた魔物は思いっきり膝に衝撃を食らったのか少しよろめいている…これは!


「千斗!今だよ!」

「ああ!切り込み感謝する!」


隙を作ってくれたのか!本当に心から感謝!

マクスラスを背中に構えたままかけ走っていく、ちょっとした様子見の為にどこを攻撃しようか…なら!

品子さんがぶつかった膝とは違う方向の膝に1突き入れる、想像通り硬かったけど何回もついて傷を付けることは出来た


「ご……」


声が聞こえて、振り払うように魔物は足元に拳を振り回す

でも予備動作が分かりやすいから、即座に魔物の足を蹴り飛んで距離を取った


「手応えあった?」

「思った以上に硬い、でも傷がつくならなんとかなりそうだ」

「それなら良かったよ!」


けれども、ずっとこの調子だと体力は消耗してしまう

魔物は大きな体をしているけど、お互いにどっちが消耗するのが早いのか分からない


「もう1回行ってみる?」

「ああ、さっきとは反対側の膝に突撃してくれ!

足を封じてしまえば結構楽になる!」

「分かった!また合わせて槍でお願い!」

「否!我が因槍はマクスラスであるぞ!」

「その調子だよ!」


つい、アルティマ・ザン・ガーゴイルが出てしまったけど品子さんはノリが良くて本当に良かった。

人によってはこの口調で気を悪くしてしまってギスってしまう可能性があるから…


「えいやー!」


そう言って品子さんはまた光速のシールドバッシュを……っ!?


「わぁ!?」


当たったと思ったら弾かれた!?

この速度を止められた!?

思いっきり後ろに飛ばされた品子さんは俺の近くで受け身を取ったが、怪我は!?


「品子さん大丈夫か!?」

「いったいーでも大丈夫!」

「俺がいったん前に出るからその間に回復して!」

「はい!」


そういって俺は前に出る、品子さんの回復魔法の事を考えると数秒あれば行けるけど

その数秒を魔物は待ってくれるわけ無い

ちょっと座っている品子さんに向かって拳を振り下ろそうと近寄って来た、回避は出来ないなら迎え撃つのみ!


「水の………詠唱の暇なんてない!食らいやがれ!」


少し乱暴に火と水を組み合わせて、熱湯に変えたのちに

波状型の刃をいくつも作り何発も放って行く

人間の本能的に「反射」というものがあり、簡単に言えば熱湯の入ったコップを掴むと「パッ!」と手を引くというのがある

だから熱湯を浴びせば………


「ぎ………ぐぐっ!?!?!」


驚いたようで殴ってきた拳を引っ込めた

刃でも腕に当たった程度では傷はつけられなかったけど、それでも……


「ありがとう!回復終って元気になったよ!」

「よし!ならばもう1回一緒に戦うぞ!」

「もっちろんよ!」


数秒の隙が作れて品子さんの回復が済むことができた

万全になって損をすることは無いだろう

しかし……さっきの動きを見た感じ、ただ闇雲に攻撃をしているだけではなさそうだな…こちらの動きを学んでいるみたいだ?

あまり同じ攻撃はさっきのようになってしまいそうだ…ならば!


「雨の……」

「はい!魔法が強くなる魔法!」

詠唱省略(オミット)!バックブラストレイン!

感謝する!」


視界外からの攻撃ならどうだ!?魔法は自分の近くだけでなくちょっと離れた所から魔法を放つ事もできる、これも実戦練習の結果だ!


「ぎご……………があ?!」


品子さんからの魔力上昇魔法もあって不意打ちは結構なダメージになったらしい

後ろに敵がいると勘違いしたのか拳を振り回しながら後ろを見た…今がチャンスだ!


「いくぞ!」「いくよ!」


同じ考えを持っていたのか、声がハモり同時に駆けだす

品子さんは先ほど攻撃できなかった膝の裏側から、今度はシールドバッシュではなく小型剣を出して突撃をしている、打撃と刺撃、形は違えど本当に威力が凄そうだ


「もっと隙を作ったよ!」

「ありがとうな!」


膝の裏に突撃された魔物は、猛烈な膝カックンを受けたようで大きく体勢を崩した

多分だけど、このまま体を攻撃したとしても、強靭な体の前では大きなダメージは与えられないだろう、そして1回見た攻撃は対策をされてしまう

だったら!次の攻撃に全力を注いでみるのが得策か!?

この攻撃はぶっつけ本番だけど試してみる価値はある!


「空へ!」

「わあ!飛んだ!」


マクスラスを棒高跳びのように地面に刺すと同時に空に舞い上がる

マナの身体能力上昇は力だけでなく武器を扱う器用さも上がっている、けれども棒高跳びは1回もやったことは無い

それでも、品子さんによる補助魔法もあって思った以上に体が軽く槍を持った持ったまま思いっきり飛び上がることができた

膝をついている魔物は頭上高く上がった俺を見上げた、顔は無くても見上げていることは分かる

俺の狙いは頭だ、今日までの実戦練習にて魔物は歪な形をしていても生き物の持っている生きるのに必要な気管、要は脳や心臓のようなところはあり、そこを攻撃してしまえば殺……倒せる


異世界でも魔物でもそういった生き物の基本が変わらないのは助かった


「千斗!攻撃してくるかもしれないから腕を防いでおくよ!

でも気を付けて!」

「ありがとう!!」


空中にいる間は重力落下中で動けないから回避は出来ない

魔物が俺を見上げているならアッパーカットをしてきてもおかしくない

品子さんは…小型剣をしまい地面に刺した大剣を持ち思いっきりぶん回して俺を殴ろうとした腕を思いっきり斬りつけた

流石に大剣では強靭な魔物の肌を守ることは出来ない、切り落とすとまではいかなくても深い傷がつき血のような変な液体が流れ出る


「ぎ………」


斬りつけられた腕をとっさにもう片方の腕で守り…両手が開いた


「醜悪なる魔物よ、脳漿を散らしこの地に沈め」


この間なら、詠唱をすることも可能


「アンリミットランス!!」


重力加速と同時に俺のマクスラスだけでなく俺の周囲に水の槍を何本も出す

そして…頭のようなところに槍をぐさりと叩きつけると、周囲に出した水の槍も何本も刺していく

思った以上に頭部は攻撃の入りが良くて深く貫けた

出来る限り深くまで刺していくと、その槍を思いっきり引っこ抜く

血が噴き出すようなことは無かったけどドクドクと開けた所から液体が……


「おぞましい魔物にはお似合いの色だな」


そう言葉を吐き捨てて魔物の頭から飛び降りる、受け身を取りながらいつの間にか遠くで待機していた品子さんの側によって再び武器を構えた


「手応えあった?」

「行けたと思うけど油断はしないでおく」


魔物は膝をついたまま動かない、と思っているとそのまま上体はゆっくりと傾いて行き

ドォーン!と大きな音を立てて倒れて行った

どうやら、倒せたみたいだ!


「やった!やったよ千斗!私たちの勝利だね!」

「よっしゃ!これだけ大きな魔物を倒せたんならこのまま行けそうだ!」


罪悪感はとっくになくなっていた、むしろ達成感にを感じる

何というか、上書きをされるようなそんな感覚がした

後になっても罪悪感を感じないのかもしれない、人としてどうかって話にはなるけど…「殺す事は悪い事」だというのを頭に常に入れておかねば…

とにかく、魔王討伐するまではこの感覚になるのもいいかもしれない…って思っておこう


「しかし…本当に詠唱する余裕もアルティマ・ザン・ガーゴイルをする余裕もなかったな…」

「そうだね、戦闘中はあまり余裕はなさそうだったし

そういえば!リスト隊長たちは!?」

「無事か!」


と思って兵士と傭兵の所を見てみたけど

アレ?大きな魔物を何匹も倒している上に誰もがこちらを見て…驚いた表情をしている?


「す…すごい…あの大きな魔物を2人だけで倒した!?」

「しかもほとんど初めての戦いで!?」

「え?2人で倒せるのすごいの!?」

「はい!流石は勇者様方!あの魔物は我々でも5人でないと普通は勝てないので…けれども勇者アキハラシナコの補助魔法で3人で戦うこともできました!」

「そっ!?そうなんですか!?」


でも、確かに5人掛かりになるのも分かる気がする、単純に強靭であるのもそうだけどこちらの攻撃を学んで対策をしていく様子、一筋縄ではいかないのが戦ってみて分かった

俺たち2人では声掛けをしあっても、長期戦になっていたらやられていたかもしれない

品子さんへの感謝の気持ちでいっぱいだ

いつの間にか、近くにいた小さな魔物も大きな魔物も兵士や傭兵たちによって倒されていったみたいで残ったのは僅かみたいだ


「そうだったんだね!千斗が色々と声掛けをしてくれたおかげだね!ありがとう」

「だったらこちらからも、品子さんも補助魔法に魔物の動きを止めたりと…ありがとう」

「…………勇者達、仲がいいようで本当に良かった」


リスト隊長が何かボソッと言ったけど、仲間として信頼関係を築いて仲が良くなるのは当たり前では?

気になっても多分聞くことは出来ないかもしれない「王の命令」という理由でだろうな…


「まあ、とにかく

援軍本当に感謝する!後は俺たちが後処理をすれば………」

「リスト隊長!!敵の方までも援軍です!」

「なななななななななななななななんですって!?」


援軍の話を聞いた瞬間、誰もが武器を再度構えた

あれだけ倒したのにまだ来るのか?!

ナリアン先生もガリウス兵隊長もまだ戦っているのにか!?

いや、2人だって今戦っているんだ

頼ってばっかりな事は思ってはいけない


「まままままままままだ兵隊長と神父様の2人は………」

「リスト隊長!今は私たちがいるから安心してね!」

「あ…ああ!そうだな!2人であの大型の魔物を倒せるなら安心だ!」


…リスト隊長がしっかりと頼っていました

けれども、即座に品子さんのフォローがあったおかげで落ち着いたようだ

こういった主人公みたいなこと、本当に憧れる

いや、それよりも…


「それで!どんな相手ですか!?」

「えっと………小柄の魔物はさっきよりも少ないですが、新しく飛んでいる魔物がいます!」

「飛んでいる魔物?!羽が生えていたりですか?」

「え?!ああ、その通りです!」


飛んでいる生き物は羽が生えていることが当たり前なのはこの異世界でも変わらないみたいだ

しかし、さっき報告していた兵士に聞いてみたが……飛んでいる魔物?

そういえば実戦でも戦ったことなかったな?


「魔物も飛ぶの!?」

「はい、魔物は走るだけでなく飛びますし泳ぐこともできる個体もいます」


陸海空、どこにも魔物は適応し存在しているみたいだ

どんな相手でも戦わなきゃいけないけど、人間は地を歩いている生き物だから空と海となると工夫が必要なのかもしれない


「誰であっても問題なく勝利する!それが勇者だ!

……です!」

「頼もしいですね、では、行きましょう!

…さっきの戦いで怪我をしたものは今すぐ治療をして第二の戦いに備えろ!」

「私も手伝うよ!」


そう言いながら品子さんは回復魔法を怪我をした兵士と傭兵たちにかけていく

俺は………することが無いからとりあえずリスト隊長に色々と質問をしなくては


「リスト隊長」

「はうぃ!?」

「あっ……驚かせてすいません」

「いえ、勇者たちは実害がないのが分かりましたので怯えなくてもいいが、どうしても……あ、いえ!今のは気にしないでください!」


勇者なのに実害…


「まあ、その理由を聞いても『王の命令』ということで話せないことは分かっています」

「はい…申し訳ない」

「それで質問よろしいですか?」

「どうした?」

「最初の一群と戦う前に放った沢山の弓矢と魔法

あれらはもう一度放つことは出来ないのですか」

「申し訳ございません勇者様!

アレは準備が必要なものでして魔法が放てても矢は用意することが難しくて1日近くかかります

王都セカンドルト四方に設置していますからナリアン神父様とガリウス兵隊長が戦っている反対側以外の所から矢を持ち込めば行けるかもしれませんが……」


遠くだから正確な大きさは分からないけど、飛んで行った矢はボウガンや弓矢のような手で撃てるようなサイズではなく結構大きく、言わば矢の砲台である「バリスタ」で撃っているような大きい物だった

デカくて威力がある分、準備の時間もかかるしたくさん用意することも難しいんだろうな…

遠距離武器は遠くを攻撃できる強みはあるけど、問題は常に消耗することだ


「ならば魔法だけでも……」

「それに、今は私たちが戦地にいましてここから離れているうちに魔物が王都に近寄ってきてしまいますし、このまま放てば俺たちが巻き込まれてしまいます!!!」

「分かりました、それなら仕方ないですね」


今この場所は結構王都から離れている、一応視界内に王都の城壁が見えるぐらいの距離ではあるが

「そういえば、被害は大丈夫か?」と思ってしっかりと見てみるけど、さっきの一群で城壁には現在何の被害もないのが見て分かる

今の所は町にも被害が無いようだ


「千斗!回復終ったよ!千斗もするね!」

「え?いや俺は怪我を負ってないから大丈……」


俺が言い終わる前に品子さんは俺の回復を始めてしまった


「え?いや?え?」

「疲れも癒やされるなら、かけておくに越したことは無いかなって?」

「あ、ありがとうな」

「勇者アキハラシナコ、兵士と傭兵たちの治療感謝します

俺は自分で治療できるから大丈夫ですよ」

「分かったよ!」


俺の魔法は水を中心にした攻撃魔法特化だけど、品子さんの負担を減らすために俺も初級の魔法を覚えておいた方がいいかもしれない


「よし!これでおっけ!」

「隊長!敵の援軍もそろそろ来ます!」

「分かった……全員準備に着け!」


いよいよ第2の本番となる

味方の援軍は無い、敵にはある

サブタイトルはそういう意味です

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