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勇者はいる、主人公はいない  作者: 虹鳥
プロローグ・王都セカンドルト

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24/58

人数はいる、広範囲魔法は得策ではない

ある作品を反面教師として受け取ったので、モブと悪役以外に積極的に名前を付けることにしました

伏線とかフラグとかではないのでいつも通りお楽しみください

現在俺たちは王城を出てセカンドルトの大通りを走っている

普通であればすぐにばててしまいそうな速度で走っているけど、マナによる身体能力の上昇によって現在は全く疲れない


「千斗!あの壁の方まで行けばいいのかな!?」

「多分!このままいけば見えてくるはずだ!」


すれ違う人達は…王城を出たばっかりの時はまばらで、大急ぎで走っている俺たちに怯えたり驚いていたり、最初こそはそんな様子だったけど、だんだん人が増えていってる?

それも、俺たちとは逆方向に慌てて逃げている人もいれば怯えながら走っている人もいる

更には……


「慌てないでください!!!!決して押さないでください

避難の時間は十分にありますので慌てないでください!!」


傭兵か、もしくは兵隊の人が避難案内のような行動もとっている

自分のいた世界では生まれて今まで大きな災害が起きたことは無く、このような経験はしたことないから見ていて恐怖感が襲い掛かって来る

魔物が生息しているこの世界ではこういったことが度々起こっているのだろうか…


「ねえ!みんな!」


一緒に走っているはずの品子さんの声が後ろから!?

振り返ると品子さんは立ち止まって避難をしている人々に声をかけている?


「え?品子さん?」

「ほら、千斗も一緒に!」

「え?え?」


何を一緒に?なんて疑問を浮かべていると品子さんは大きく吸って


「私たちはーーーーー!!勇者だーーーーーー!!」

「えっ!?勇者?」「まだ特訓中じゃなかったの?」「なんでここに?」


人々は避難することに夢中だったからか、さっきまで俺たちに気づかなかったようだ、今までの勇者に対する人々の様子を思うとさらにパニックになるんじゃないかと思うのだが…


「本当に助けるの遅れてごめんなさーい!けれど

今から私たちがこの先から来ている魔物をやっつけてやるんだからね!」

「あ!挨拶勇者だ!」

「そうだよ!

……ほら千斗もっ!」

「え、あ、え」


急な事でコミュ障みたいになってしまった、な…何か人々を安心させるための事を言えばいいのか?

思い切った行動をとっていて品子さんは本当に主人公に見えてくる

いやそれよりも、俺は何を言えば……こうなったらヤケだ!


「俺は!勇者空網千斗!

もとい!我が名はアルティマ・ザン・ガーゴイル!

我が拠点に来る不届き者は我のマクスラスの餌食にしてやろう!」


そう言いながら腰を落としながら槍を背に構えて、魔物が来る方の道に突き出す

……こういったキメポーズ、ちゃんと決めておかないとな


「カッコいいね!

千斗も張り切っているし、みんな魔物を怖がっているけど!私たちが倒す!

だから安心していてね!」

「ああ!王都セカンドルトに決して足一歩も指一本も魔物の手で汚させぬ!」


…なんだか品子さんは勇者っぽいけど、俺はなんか魔王みたいだ

そんな真逆な2人を見た人々は…


「が………」

「が?」「が?」

「がんばれー!負けるなー!」

「そうだな、こんなにも自信たっぷりなんだ!王都を守ってくれるだろうな!」

「そうね!私たちの家を守ってくれるに違いないよ!」

「反対側ではナリアン神父様と兵隊長が戦っているけど、それ並に期待できるな!」


…品子さんの積極的な挨拶や対応で接してきたおかげなんだろうか

俺たちの勇者としての言葉を聞いた人たちは少し安心して元気が付いたらしい

俺たちが街に出てからの行動の成果がここに出て…そう思うと、心の中に熱く思う気持ちが沸き上がってきた


「絶対に守る」

「いいね!千斗もやる気だね!」

「ああ、ここまでの笑顔をみて

絶対に悲しませたくない!って心から思った」

「私もだよ!」


人々の不安はある程度解消されたけど、大元となっている魔物達は王都セカンドルトに向かってきている

そんな大元は俺たちが止めて人々に本物の安心を与えてあげたい!


「ああ!

だったら人々が安心したなら俺たちも向かおうか!」

「うん!」


声掛けをして人々をもっと安心させたい気持ちはあるけど魔物は待ってくれるわけない

人々の見送りを後に俺たちは魔物が来る場所に向かって行くことにした




歩いて向かうこと数分、王都セカンドルトの城壁にまでたどり着いた

街の端っこにたどり着くのは初めてではあるけど、城壁は高くそばにある二階建ての建物の5倍近くあるだろう

そして、大通りに面している所に大きな門があって……入り口には兵士か傭兵?の人達が並んでいた

街の危険だから傭兵がいるだろうし王都からも援軍が呼ばれているから兵隊もいるんだろう


「いいか!

現在ガリウス兵隊長もナリアン神父様も反対側で戦っている!

この場には俺たちしかいないんだ!たとえ魔物を倒しきれなかったとしても街には1匹も入れるな!

2人がこちらに来るまでに俺たちが守るんだ!」


副兵隊長なのか臨時の隊長なのか?その人が1番前に立っていて、並んでいる傭兵や兵士たちに呼びかけている

兵士の士気を高める大切な行為だ、しかし、話の内容で聞いた感じナリアン先生とガリウス兵隊長はそれだけ信用されている証拠だろう

だけど、ちょっと頼り過ぎている所もあったのかもしれない

「2方向から来たのは初めて」とカイザムさんが言っていたし

隙が出来てしまったこの地点を守るのは現状彼らだけしかいない、現状は……


「みなさん!」

「みんなーーーーー!!」


俺たちが声をかけると、傭兵も兵士たちもこちらを見た


「あっ!?」「えっ!?」

「おおおおおお前たち怯えるな!ゆゆゆゆゆゆゆっゆゆ勇者達ではないか!

ままままままままま町の人達から、ししししししいし信用されているから

あああああああ安心しろ!」


一番怯えているはアンタじゃないか!

ってツッコみたい気持ちをグッとこらえて飲み込んだ


「きっくきゅきゅ急に慌ててすまない、俺の名前はリスト、ガリウス兵隊長がいない内の臨時の隊長だ

し、しかし、勇者たちはまだ特訓中では!?」

「カイザムさんから言われました!特訓中だけど魔物との訓練もしましたので戦えます!」

「そーよ!兵隊長からも先せ…神父様からも凄いって!言われたから!」

「……わわわ分かった!その2人からのお墨付きならいける!


俺たちを見た時に一瞬兵士も傭兵も怯えていたけど、俺たちが無害と分かったら安心したらしい

………援軍に来た勇者に怯える兵士と傭兵、未だにこの真相は不明だ

王都だけでなくこの街の人に聞いても「王の命令で話せない」との一点張り

王に会って聞きたいと思っているけど、俺たち…と言うか「勇者そのもの」に怯えていたから多分行かないほうがいいと思った…いつか分かる時があればいいのだが


「とという訳でお前ら!ゆゆ勇者が来たから安心だな!

俺たちと勇者で守るぞ!」

「オオーーーーーー!!!」


士気も十分に高まった、俺たちだけでなく傭兵も兵士もこんなにも人数がいるなら安心だ


「そういえば勇者様方」

「ん?どうしたの?リスト隊長?」

「聞いた話では勇者は3人いると聞きましたが…」

「蜜巳さんの事?」

「あーみーちゃんはちょっと水を飲みに行っているから……」

「なるほど!遅れて来るということですか!」


相手が勝手に勘違いする…みたいなコメディ作品ってあるけど、そんな感じで勝手に解釈されてしまったけど今はそう思ってて………欲しい

非道な世界だったら悪いことを言われて嫌な気持ちになっていたかもしれない

蜜巳さんは多分今頃、カイザムさんから今の状況を聞いたところだろうけど…多分、来ない


「えっと、そんな感じ!」

「分かりました!では俺たちと一緒に戦いましょう!」


その言葉と共にその場にいた兵士も傭兵も歩き出す

俺たちはその後を品子さんと一緒について行く

城壁の門が大きな音を叩てて開かれていく、大きな門は両開きと跳ね橋が組み合わさった1種の2重扉のようになっており、両開きの扉が開かれるのと同時に跳ね橋が降りていく

跳ね橋は堀をまたいで掛けられて道が出来た

門番らしき人がいて、多分本来だと出入りするときは身分証明となる何かを持っているか、もしくは金銭を払ったりなど手続きが必要なんだろう

けれども今回は魔物が迫っている緊急事態、門番らしき人は「よろしくお願いします」と大きな声で一礼をして全員普通に通った


「俺たちに任せてください」

「まっかせてよー!」


兵士たちが何人か挨拶をしていたので俺たちも一声をかけた、勇者だと分かって一瞬驚いた表情をしていたけど「お願いします」と懇願するように深々と頭を下げた


この世界に来て初めて、ずっと過ごしていた王都セカンドルトから出た

自分のいた世界では田舎の光景は親の実家に行ったときに見たことはあるけど

田園や自然が広がっていた光景とは違って、草原が永遠に向こうまで続いている

人生で何気に、ここまで広い所は見たことが無く開放感で心が躍るようだ

跳ね橋から大きな道が広がっている、道路のような舗装はされてはいないけど草が生えている所とは違う所で道が出来ている

この道を進んでいったら、ナリアン先生から学んだ他の国が見えてくるのだろう


………もうちょっと、この光景を楽しみたかったけど

今はそれどころではない

跳ね橋と両開きの扉が閉まっていく、魔物の侵入や俺たちの戦いで街中に被害を及ぼさないようににするためだろう

現在周囲には魔物はいないけど、多分遠くから来ているはずだ


「ねえ千斗」

「どうした?」

「私さ、ここにいる人たちに補助魔法かけてももいいかな」

「そりゃ、もちろんいいと思うよ

…なんで聞いたの?」

「怖がっているからやっていいのかな?って思っちゃって」

「それだったら、一声かけて補助魔法をかけるのがいいともうよ

勝手にかけちゃうと突然の身体能力の上昇に驚いてしまうから」

「分かったよ!

ねえみんな!」


そう言って品子さんは待機をしている傭兵と兵士たちに補助魔法をかけにいった

どうやら力が上がる魔法と体の防御を上げる魔法をかけていくようだ


そういえば、ふと思い出したけど

最強系の作品で、こういった防衛戦の出来事は何度か見かけてことがあったけど

こういった時には大体超広範囲の「ドデカイ魔法」を使って魔物を一掃して圧倒的な力を見せつける…と言う展開がある、確かにあっという間に片付くし最強に憧れる人にとってはそういったことはカッコいいと思うだろう…

けれどリアルにこの場にいるなら、たとえ今の俺にチートが与えられたとしても俺はやらない


その理由は簡単に言うと、地形破壊をしてしまうからだ


ここはゲームとかではない別の世界であっても現実なのだ

「ドデカイ魔法」を放った後は全てが灰燼に帰したり、でっかいクレーターやビーム跡が残るけど、そこにあった自然も全部消し去ってしまう

魔物によって滅ぼされる脅威がなくなるのはいいけど、周囲の環境が荒らされてしまうのはやっていることは魔物と変わらない物と思っている

地盤などにも影響がでて、城壁の地面が崩れて最終的に町までもが崩れる可能性だってある

街の人達を守っても、これでは復興が必要になる事には変わらない、被害が甚大だ

多少ばかり周りが荒れることがあっても周囲を破壊するほどの魔法を放つわけにはいかない

それに最近は大丈夫だけど、それだけの大きな魔法を放ったときはマナの消費も激しくなる

今の身体能力はマナによる底上げの影響があるけど、マナを消費しまくったら本来の身体能力になってしまう、急に体に重力が来た感じがして体は動けなくなるし、この世界の人達の言葉も分からなくなる

ここには俺と同じ日本から来た品子さんがいるからまだいいけど、俺が動けなくなった時に数秒間でも意思疎通すらできなくなるのは兵隊長が言っていた通り致命的だ

先鋒で必要以上に強い魔法を放って、後から来たヤバイ大将の時にガス欠になったら守るものも守れない、後先を考えないで水蒸気爆発な魔法を主人公が使いまくって動けなくなって後から来たドラゴンのせいでメインキャラを死なせた、そんな展開も見たことがある

マナの回復スピードは速いと思うけど、それでも必要最低限のマナを使用をするに越したことがないだろう


「ん?ねえ千斗?」

「…えっ?あ?どうした?」

「考え事してた?なんか難しい顔をしていたけど?」

「ああ、どんな魔物が来るかとかどんな戦い方をするかを考えていた。要はシミュレーションしていた」

「えらいね!

兵士も傭兵も私も補助魔法終ったし、後は千斗だけだよ!」

「分かった、頼めるか?」

「まっかせてー!はい!」


品子さんが魔法をすると、再び体が羽が生えたかのように軽くなった

心強くてこれなら魔物が来ても戦えそうだ


「感謝します、勇者アキハラシナコ様」

「そろそろ来るぞ!お前たちと勇者様方、準備をしてください!」


リスト隊長のその声を聞いて俺たちは身を構えた

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