予定がない、気づきはある
実戦を行ってからまた数日後、アレから何回も実践訓練を行った
初回の時とは違って、強敵1体と戦ったり1人VS2体と戦った時もあった
更には魔物でさえも魔法を扱うとのことで、その実践訓練も行った
兵隊長曰く、この世界に漂っているマナを使って魔法を放つからこそ俺たちのと同じらしい
……だから、魔法に対する優劣善悪が存在していないんだな、この世界は
魔法を数回かすったことはあったけど、あの悪人の放った魔法と受けた感じはそう変わらない
最初は「魔物も魔法を使うのか!」って思ったけど実際に見てみれば……まあ、その……ワイルドというか乱暴と言うか
兵隊長は結構ずぼらな所があっても結構冷静に魔法を放っており、それと比べると品が無くて……正直ガッカリであった
あと、特に関係ないけど俺が品子さんの戦闘の時にボソッと言った「ドッチボール」が子供たちの間で流行ったらしい、ナリアン先生からして見ても、ちょっとした戦闘訓練としても子供のうちからできて役に立つと大好評になった
文明発展系の異世界作品の主人公のように、死ぬほどずば抜けて頭いい訳ではないからこの世界で現代の何かを開発するのは出来ないけど、こっちの世界の遊びとか楽しいことを教えていけたらいいな
そして今日も実践訓練が始まる
魔物が入っている箱とナリアン先生とガリウス兵隊、そして俺と品子さんと蜜巳さん
蜜巳さんはまたも見学だけど今日も戦闘訓練をすることに
「よーし、今回はちょっと厳しい訓練になるぞー」
「厳しい訓練?何をする気だ?」
「簡単に言えば、2人が苦手なタイプの敵と戦わせてもらうぞー」
「苦手?苦手ってなんですか?」
「まーそれは秘密だ
まだ俺にとっても分からないタイプの苦手な敵がいるかもしれないし
今までと同じように何が出るかのお楽しみって感じだー
臨機応変にやってくれよな?」
苦手?最近戦っている魔物とは最初こそは怪我をしたときはあったけど、最近は怪我をしない時もふえてきたから、俺たちの戦闘能力は上がってきているのはあるけど、それでも慢心はしないように気を付けている
でも戦っていて何が苦手なのかは今でも分からない
心構えが弱点と思ったけど最初に魔物を殺した時は罪悪感に腕が震えてしまって武器を落としてしまったが、今では感じなくなったけど逆にそれが勇者として大切なのかもしれない
悪に「慈悲」を与えるという時の場合によっては大切になるけど、「隙」を与えるようなことになっては逆に愚かだと思っている
自分達の弱点を「自分で気づく」所も含めて訓練なんだろうな
「よく分からないけど、その分からない所に気づくように戦えばいいってこと?」
「まーそんな感じだ」
品子さんもその弱点に気づいていないようだ
俺たちは同じ弱点を持っているのかそれぞれ違うのか…?
「弱点を克服しろとまではいわないぞーめんどいから
でも弱点は気づいた方が大切だからなー」
「こら!!兵隊長!めんどいとかは言わなくてもいいですから!」
「わりい、わりい、なんなら見学している勇者コヌマミツミも意見してもいいぞー」
「はっ………はい………分かりました」
「じゃあー今から準備を」
「ガリウス兵隊長!ナリアン神父様!
戦闘訓練中にすいません!」
俺たちが準備を始めようとしたときに突然後ろから女性の声が聞こえた
あの姿は…
「あれ!?カイザムさん!?」
使いの方である黒髪の品行方正な雰囲気の方、カイザムさんが大慌てでここに来た
え?何か起きたのか?
異世界召喚をゲーム扱いをしているキャラだったらのんきに「おお!イベントか!?」ってワクワクしていることが多いけど、カイザムさんの慌てっぷりを見るとそんなの能天気な気持ちになるわけがない
「んーもしかして真面目じゃないとダメな奴か?」
「そうです!」
「何がありましたか?!」
「えっと………」
どうしたんだ?普通に話せばいいと思うことなのにカイザムさんはこちらを…気まずそうに?こちらを見て話にくそう人している?
「勇者様方は…少し待ってていただけますか?」
「え?なんでなの?」
「えっと…」
「あっ、説明が難しいようでしたら後回しでいいですよ」
取り合えず、カイザムさんが慌てているからここは引き下がって話をスムーズに進めてもらうことにしよう
「感謝します、勇者ソラアミセント」
そう言った後に大人の3人で何か会話をし始めた、俺と品子さんは念のために武器を準備して待つことに
「………ねえ、2人とも…………3人はどうしたか分かりますか?」
「わからんな、今まで通りしていたから俺たちが原因じゃないと思う
そうなると、俺たちの知らない所で何かがあったのかもしれない」
「えっ?でも国とかの問題が起きたら私たちの出番じゃないの?
勇者の私たちが行けなにのはなぜ?」
「そこが本当に一番分からないんだよな…訓練中だからかな?」
勇者3人であれこれ考察をしていたけど、大人の3人が話が終わったようで兵隊長がこちらに来た
「あー悪いな勇者たち、ちょっと緊急事態が発生してなー
今回の実践訓練は禁止だ」
「え!?何があったんですか?」
「まーあれだ、説明する暇が無くてな」
そうやって兵隊長は話している最中にナリアン先生は箱を…潰した!?
中にいた魔物を処理したのか?なんか、聞いてはいけない音も聞こえた気がしたけど聞かなかったことにした
「兵隊長、こちらは終わりました」
「という訳で自主練よろ」
「私は案内しに行きます」
そう大人3人が言うとあわただしく急いでどこかへ行った
…ちょっと訓練したら、兵隊長が寝て俺たちが自主練するとかってオチは何回もあったけど
最初から自主練になるのは初めてだ…いやマジで何をしようか
何が起きたかなんて考えたいところなんだけど、実質待機を命じられているわけだし勝手な行動をする訳にはいかない
「………えっと、私は…………どうしたら………見学?」
「みーちゃんは自由にしていいよ?私も…正直どうしたらいいか分からないし?」
「そうだな、俺も正直どうしたらいいか分からん」
「………私、ちょっと水飲んできてもいいかな」
「いいよーいってらっしゃーい」
そう言って蜜巳さんは室内の方に去って行った
一応俺の水魔法は飲用に使うことは可能ではあるが、コップに注ぐほどの調整は出来ないから全身びしょびしょになってしまう
女の子にそんなことしたくない
蜜巳さんも去ってしまって俺と品子さんだけになった…
「えっと、自主練する?
それともみーちゃんを待って自主練する?」
「でも、ここから水飲めそうな場所は結構遠いから戻るまで時間がかかりそうと思う、自主練したほうがいいかもな」
「分かったよ!」
とはいえ、実践訓練が続いたからカカシやマトではもうやれることが限界ではあると思うんだけど…
「ねえ千斗!ちょっと1つやってみたいことがあるんだけど!」
「ん?何をするんだ?品子さん?」
「私たち2人で手合わせしない?」
「手合わせ?」
「今日元々はお互いに弱点を確認する予定だったでしょ?でもその予定が無くなったんだったら、やったことないことをしようよ?
そうしたら気づくこともあると思うから!」
確かに、見る人が変わったり違った刺激を感じると新しい発見があるのは多い
俺はゲームをやっている時に詰まった時が時々あるけど玲香に見てもらった瞬間に何かに気づいて進展できた!
なんてこともあるから結構いい考えだな!
「分かった、でも見守っている人がいないから怪我とかは気を付けて行こうか」
「もっちろんよ!怪我しても私が治すから安心して!」
「ああ」
俺たちは武器を持って向かい合った、とはいえ仲間だし相手は女性
頭の中でちゃんと戦わないと!って思ってもどうしても心では気を使ってしまう
「いっくよー!」
なんて考えていると品子さんは突撃してきたけど横に側転して避けた
「わっわっわーーー!!?」
そのまま勢い余って後ろの方に転んでしまった
「いたたたた…」
「はい!」
「あっ」
転がっている品子さんに槍を構えて顔の前に構えた、あっという間に戦闘終了である
「すごいね!?なんでよけられたの!?」
「あー…」
「気を遣わなくていいよ!正直に言ってもいいから」
気を遣わなくていいなら、今まで思っていたことは話そう
品子さんの欠点は1つ分かったし
「戦闘訓練の時に毎回初手で突撃をしていたけど
確かに不意打ちだったら効果は抜群だしよく効く…けど俺はいつも見ているから分かりやすかったな」
「あーそうだね!
なんかすごく楽そうに回避していたし」
「ああ、でも初見の相手だったら有効だからいいと思うぞ
あくまで戦い方を知っている相手だったら効かないってだけだから」
「分かったよ!じゃあ今度はいきなりツッコまないようにするね!」
大きく転んだ品子さんに手を伸ばして立ち上がらせる、1回体についた砂埃を払った品子さんは再び構える
俺ももう1回マクスラスを構え直した
「じゃあもう1回いい?」
「ああ、じゃあ逆に俺からでもいいか?」
「いいよ!受け止めるから!」
とはいえ、大剣と大きな盾を構えていて正直全く隙がなさそうでマクスラスで行けるかどうか分からない
まずは………
「先陣を量る、無数の牙突よ…」
「おお!カッコよくなったたね!」
「はぁぁ!!」
取り合えず品子さんの盾はどのぐらい強いか分からないから、1回突撃してみることにした
「おお!?すごい威力だね!」
思いっきり盾に当てたけど、まるで岩に当たったかのように頑丈すぎる
槍と盾でつばぜり合いのような感じになったけどこのままでは何も変わらない
ちょっと品子さんの持っていた剣に目を向けてみると
「っ!?」
ちょっと腕に力が張ったのが分かり、とっさに盾を蹴って後ろに下がる
「やあっ!えっ!?なんで分かったの!?」
思った通り品子さんは盾を構えたまま剣を思いっきり横に振ってきた、手加減のつもりだったからなのか刃ではなく剣の平たい所で振っていた、それでも当たったら割と痛そうな感じがするけど
「一瞬剣を構えたのが見えて、念のために距離を取ったって感じだ」
「おおお!なんか頭いいね!」
あくまでゲームとかをやっている時の経験を生かしている、敵が武器を持っていたら腕の動きを見て振る方向に合わせて回避、ヒット&アゥエイ戦法の基本ともいえる
「ちょっと、違う戦い方を試してみていい?」
「いいぞ、何でも試そうか!」
そう言って品子さんは大剣をいったん片付けた後に持ったのは…小型剣?
原点復帰ということなのか?
「いっくよ!」
再び足を構えて突撃の構えだ、でもこの動きはすでに見切っている
何かあるのだろうか?念のために警戒をして避ける準備を…
「やぁ!!」
真っすぐこちらに来ると同時に横に避け…
「がっ!?」
避けたのに当たった!?脇腹に強い衝撃が走って思いっきり跳ね飛ばされる!
マナによる身体能力強化があったとしても今まで喰らった怪我の中で1番強くてかなり痛い!
このままだと地面に激突してさらに重傷を負ってしまうから受け身を取って何とか頭を守る
「いってー…」
「ゴメンやり過ぎた!大丈夫!?」
品子さんは近寄りながら回復魔法をかけてくる、さっき受けた激痛があっという間に治っていく
ナリアン先生の訓練の成果がしっかりと出ていてよかった
「いや、回復魔法ありがとう、当たるとは思わなかったから驚いたけど
何をした?」
「大きな剣で強い攻撃で戦うのも好きだけど、軽い小型の剣で戦うと動きやすいから今みたいに早く動けるよ!」
「…そうか、見て回避できると言ったけどそれだけ動きが速ければ見ても回避できない、大型剣と小型剣で臨機応変に戦うのもいいな」
「でしょ?」
そう言って品子さんは手を伸ばしてきた、さっきとは逆だな
手を取って俺は立ち上がって再び準備をする
次は…って思ったけど品子さんは一旦武器を収めた?




