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勇者はいる、主人公はいない  作者: 虹鳥
プロローグ・王都セカンドルト

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18/59

悪意はある、容赦はない

休日から次の日

有意義な1日を過ごすことが出来て本当に楽しかった

この異世界のことについてまた分かったことがいっぱいあるし、俺たちに対する偏見も少しずつ落ち着いてきたのかもしれない

ちょっと危ないことをしてしまたけど、明確に悪人を捕まえて貢献することも出来た


また今日も戦闘訓練の日になって、勇者としての訓練が始まったけど

カイザムさんがいつもよりも真剣な表情をして


「勇者アキハラシナコ、そして勇者コヌマミツミも今日は全員ガリウス兵隊長の方へ行ってください」

「え?」


いつもは品子さんも蜜巳さんはナリアン先生の方へ行ってたけど、今日は全員兵隊長の所へ行かなきゃいけないらしい?なんだろうか?

3人共疑問に思いながら冒険者の服のベルトを引き締めながらいつもの騎士訓練所に向かうと、いつもと違った光景が広がっていた


武器が散らばっていたその場所は片づけられており、代わりに何かの大きめな木箱がいくつか置いてあった

そしていつも寝ていた兵隊長が起きていて

……教会にいるはずのナリアン先生がいる!?!?


「おっはよーみんな」

「おはようございます、みなさま」

「おはようございます」

「おっはよー!」

「おはよう…………ございます………」

「ナリアン先生?どうしたの?」

「えっと…詳しくは兵隊長に聞いてくださいね?」

「代わりに説明して欲しかったけどなーまあいっか」


ん?なんかか箱が揺れいている?


「まーセントには昨日、先にやってもらったけど

実戦訓練って奴をセントとアキハラシナコにやってもらいたいってことだ」

「戦闘訓練じゃなくて実戦訓練なの?」

「今まではなーカカシとかマトとか、後は俺と戦ったりとかしたけど

実際に容赦のない相手と戦ったことは無いだろ?」

「俺は一応、盗人たちと戦ったことはありますが…」

「なるほどなー、じゃあ言い方を変えよう」


そう言って兵隊長はどこから出し方わからない小型剣を取り出して構えてなぜかポーズととった

腰を落として、ナイフを逆手に持ってもう片方の手でナイフの後ろに手を添える

………キメポーズのつもりなのかな?


「人じゃない、魔物と戦ったことは無いだろ?」


魔物?確かにこの世界に勇者として召喚したのにいまだに魔物と戦ったことは無い

異世界召喚の中には召喚されていきなり魔物と戦わさせられる鬼畜な作品とかあるけど

俺たちは世界のことを学びながらゆっくりとやってきた

それでもどうなるか分からない不安感と、楽しみな期待感が同時に心に来た


「確かに戦ったことないな」

「もしかして?その箱に入っているの?魔物が?」

「ああ、ちょっと神父様と協力をしてなー

捕まえてきた」


ナリアン先生は教会に通っているから守護的な魔法が扱えるのか、それとも補助の為の状態異常の魔法とかで手伝ったのかもしれない


「ちゃんと手伝ったか?兵隊長?」

「流石に命がけな事もあるからな、迷惑はかけても怪我はさせなぞー」

「久しぶりにお叱りをしなくて良かったです」


「久しぶり」お叱りしなくて……やっぱりナリアン先生からもよく怒られているらしいな


「め……迷惑かけている自覚があるなら……………………真面目にやってください」

「きびしーね勇者コヌマミツミ、気を付けるよー

まあ、いつも2人が扱っている武器はそこに置いてある、セント……じゃなくて勇者ソラアミセントと勇者アキハラシナコはその武器を持ってくれよー

そして勇者コヌマミツミは…………神父様の側で見学してくれ」

「わ…………わかりました……」


蜜巳さんは言われた通りナリアン先生のところへ、俺と品子さんは用意されている武器を手に取った。

めんどくさかったのか俺たちが使わない武器まで置いてある

まとめて持ってきたんだろうな…弓矢とかグローブとか斧とか置いてあるし、グローブに至っては片っぽだけだし

それらを無視して、マクスラスを手に取って1回準備運動をしてみる


「はりきってるねー

じゃ…これからは俺からの説明、面倒だと思ってもしっかりと聞いてなー

俺だって何回も説明するのめんどいからなー」

「こらっ!ちゃんと説明しなさい!」

「へいへーい」


白髪の頭をボリボリ掻きながらも、準備を終えた俺たちの前に並ぶ


「さっきも言った通り、これから勇者たちは容赦のない相手と戦う実践訓練をやってもらう

剣を首とか目先に突きつけて、『まいった』なんて待ってくれる相手ではない、殺すまで戦うような人や魔物と戦うことがこれからはいくらでもある

そう言った相手と戦ってもらうためにこの箱に用意したんだー」


兵隊長が指を差している箱を見てみるが、未だに揺れている

あの中にいる魔物は相当暴れていそうで……多分殺意が相当あるのかもしれない


「神父様がいるからけがを負っても……あー、一応死んだとしても何とかなるけど

死なねえのが1番だろ?」

「はい!」

「もちろんよ!」


連れてくるためだけでなく、バックアップの為にナリアン先生がいるのか

怪我を負うことがあっても……絶対に死ぬわけにはいかない


「まー死ぬことは絶対にさせねーから安心してよー

それぞれ勇者と魔物、一対一で戦わせたり協力して戦わせたりさせる

俺の見立てでは2人の実力だったらこの魔物は普通に勝てると思うけど危なくなったら俺が止める

めんどくさいから俺のお手本は無いぞー

それでいいかー?2人共?」

「大丈夫だ!」

「りょーかいしました!」


兵隊長はいつものテンションでやっているけど、助けるときはちゃんと行うと思う

昨日の戦いの時は戦いながらもこちらを見ていたし、大丈夫だろう?


「あの、兵隊長さん!」

「どーした、勇者アキハラシナコ?」

「ちょっと一旦みーちゃんの方に行ってもいいかな?」

「いいぞー幼馴染が心配ならそれを優先してくれよー」


え?心配?

そう思って蜜巳さんの方を見てみると……震えていた!?全然気づかなかった!?

俺も心配になってちょっと後をついて行ってみる、兵隊長もその後をついて行っている


「ねえみーちゃん?大丈夫」

「………はっぁ……」

「勇者コヌマミツミ?大丈夫ですか?」

「…かっはぁ……」

「大丈夫か?」

「…………はぁ……」

「大丈夫かー?」


少し、息が荒くなっている

大丈夫だろうか?


「しーちゃん……………怖いよ…………」

「大丈夫!私が守って…」

「そうじゃなくて…………」

「私が危ない目に遭うのが怖いの?兵隊長とよく戦っているから大丈夫だよ!」

「それでもないの……………」

「…大丈夫?それなら何なの?

ゆっくりでいいよ?」

「あの箱……」

「箱?」

「すごく怖い感情が伝わって…………くる」

「あー」


今の「怖い感情」の話を聞いた品子さんは何かを納得したようだ

幼馴染にしか分からないモノがあるのだろうか


「ナリアン先生、お願いがあります!」

「はい?何でしょうか?」

「みーちゃんは、なんて言ったらいいかな?感受性豊かと言えばいいかな?

人よりも動物とかの感情とかがよく分かっちゃうみたいで

多分その箱の中にいる魔物の感情が伝わっちゃったみたいなんです」

「そうでしたか…」

「なので、急で申し訳ないんだけど、みーちゃんが不安にならないように側にいて欲しいの!」

「分かりました」

「ご迷惑をおかけして…………申し訳ございません」

「いえ、恐怖というのは危険を知るために大切な感情です

あなたも誰も、悪くありませんよ?」


そうか………いまでも箱はなんかドタドタ音が鳴っていて

暴れているからこそ殺意があると思っている

けど、そうゆう予想をしているだけで殺意自体は感じていない

戦闘を何度もやったから怖さは……今は感じてない

不安な気持ちはあったけど、恐怖は無い


「わーかった、

で?魔物のその怖い感情とかが分からない所まで離れるか?」

「いやっ!これ以上は逃げたく…………ないっ!」

「………」


無理は、してほしくない

兵隊長は「無理をしない」のが偉いと初対面の時に行っていたし微妙な顔をして…


「偉いねー」


あれ!?ここで偉い?!

考えが適当なのか、それとも時と場合による的なモノなのか?!


「まあ、とにかく

まずは一対一で戦ってもらいたいけど、どっちからやる?」


本当はやってみたい気持ちがあるけど、一度蜜巳さんの側にいる品子さんを見てみる


「ん?どうしたの?」

「いや、蜜巳さんが心配で…

品子さんも蜜巳さんの側に今はいてくれないか?」

「えっ?なんで?」

「2人で安心させてほしいし、俺が………

余裕をもってその魔物から勝って、怖い存在じゃないことを証明してやりた……いや、やってやる」

「無理は……」

「じゃあ、本音を言うと、戦ってみたい」

「やっぱり、千斗は戦いが大好きなんだね!」

「シナコさ……勇者アキハラシナコ、多分セントさ……勇者ソラアミセントは好奇心旺盛だからこそ心からの本音だと思いますよ、それと勇者ソラアミセントなりの優しさもあると思いますよ」


ナリアン先生!なんか説明するのやめてくれないか!?ちょっと恥ずかしいんだけど!


「そうなんだね!だったらがんばってね!」

「……ご迷惑を…………おかけします」

「ああ、頑張ってくるよ」


マクスラスを手に構えて兵隊長の方へ向かう


「決まったかー準備はいいか?」

「はい、よろしく兵隊長」

「ああ

まあ事前に言っておくけど、魔物と言うのは世界中の各地にいる

どんな魔物がいるかは分からない」


どんな魔物、基本的にはスライムやゴブリンとかの弱い魔物や、オークのような中型にドラゴンレベルの大型

始ったところから離れれば離れるほど強い魔物がいる…って言うのはゲームでの話

生態系とかがあるか分からないけど、魔物の分布は現実になると実際は変わっていくかもしれない

一歩外に出たらドラゴンが闊歩しているかもしれないし

逆に魔物にとって安全な魔王城周辺に弱い魔物がいるかもしれない


いや、魔王城は空高くにあるから関係ないかもしれない


「っていう訳で、中にいる魔物は何が出るか分からないお楽しみって感じだ

俺からは教えないぞ?」

「へ?命がけのお楽しみ?」

「まあ、お楽しみは冗談だけど、魔物は不意打ちで来るかもしれないし

正面から堂々と行くこともあれば

適当な所で過ごしている所に出くわすかもしれない」

「俺からの意見だが、魔物も生活している所があると思ってる

もちろん感情移入と言う理由ではなく、どのような生態系があるかの分析の意味で思っているな」

「好奇心の延長線かな?偉いねー

それで行動だけでなく、魔物も何がいるか分からない

普通に棒を持って迫って来る奴かもだし遠距離で来る奴かも?

魔法を扱うやつだっているし戦い方は本当にそれぞれで違う」

「……………だから、臨機応変に対応するために箱の中にどんな魔物がいるかを言わないってこと?」

「その通り!だから、改めて聞くけど

準備はできたかー?」


兵隊長が言いたいことは分かった、適当とかめんどくさがりとかではなく

戦闘に関しては本当に頼りになる


「…スウーーーーーふぅ

準備はできました」

「よーし分かった、

そのマクなんとかと言う槍も、魔法だっていくらでも使っていい

神父様ー箱の1つをあけてもらってもいいかー」

「わかりました」


ナリアン先生は何かの魔法を使ったらしく、箱に何か光の線が入って行く

結界魔法のような物なんだろうか!

神話の特殊な箱が開かれていくようで非常にカッコよく神秘さも感じる


「見とれるなよー、急に飛び出してくるかもしれないからなー

命を取られるようなことになるなよーー!」


…………この瞬間、俺はあることが脳内をよぎった


今までこの世界に来て戦ったことはあった

兵隊長との模擬戦もマトやカカシ相手で武器や魔法を使ったこともあった

兵隊長の言っている容赦のない相手である路地裏の盗人どもと戦ったことがある

兵隊長と一番最初に手合わせてしたときのように、傷つけることすら抵抗があった気持ちは何回も手合わせをしているうちに無くなった

だからこそ盗人たちを戦闘不能にすることは思ったよりもスムーズに進めることができた


でも、この世界に来てから()()()()()ことは無い


当然現世でも命を奪ったことは無い

小さな動物の命もだ

正確に言えばうっかり踏んで虫の命を奪ったことがあるかもしれないけど

そこまでヤンチャなことはしたくない

でもこの異世界では魔物は敵、殺さなきゃ殺される

今この場ではガリウス兵隊長やナリアン先生がいるけど

3人だけで旅をしている時は本当に「死ぬ気」で戦わないといけない


やったことも無い戦いに「不安を克服する」なんて大口を叩いておきながらも

この状況になって急に不安になってきた


そうやって考えているうちに目の前の箱が開かれていった…

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