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勇者はいる、主人公はいない  作者: 虹鳥
プロローグ・王都セカンドルト

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13/58

魔法はある、多幸感も感じる

「ふぅ…すぅぅぅぅぅ」


最初の1回目は詠唱をしようとしたけど、でも変な事をして失敗はしたくない

最初だからこそしっかりと基本の感覚を学びたい

体内のマナを使うという感覚は分からないけど頭の中に自分の体内にある「何か」……本当に分からないけど身体能力が上がった時に体に溜まった「モノ」それが多分マナだと思う

それを使う感覚をする、それと一緒にやりたいこと…「さっきのように水で貫く」ことを思う


「………このまま」


体内のマナの使用とやりたいこと、それを同時に行うと……ブクブクと音が聞こえる

兵隊長がやったかのように手元に水球が現れ始める


「おお!?」

「喜びたいかもしれないけど集中しろー慌てるとその水消えるぞー」

「はい!」


兵隊長の言う通り心の中に濁流のように出てきた感情を一旦押し殺して手元と遠くのマトを見る

再びイメージをして手元の水の形を変えていく、さっきのような馬上槍のをイメージしていくとその形になった


「いいぞー後は飛ばすイメージを持てば行けるぞー」


なるほど、多分兵隊長のさっきの魔法は「水を手元にだす」「水を槍に形を変える」「水を飛ばす」の3つのイメージをしてちょっと分かりやすくしたのかもしれない

魔法に慣れると一瞬で3つの魔法を唱えてすぐに攻撃ができるのかもしれない

兵隊長の言う通り飛ばすイメージをしてみる、弓矢とか…いやもっと真っすぐに飛ぶスナイパーライフルのように弾丸が回って飛ぶように槍に横回転を加えて………


「はぁっ!」


手のひらから解き放つッ!

反動なのか衝撃が体に走って尻もちをついてしまった、飛んで行った槍はマトに向かって……とはいかず隣のマトの端っこ辺りにぶつかってグルグル回りながら落ちた

水の槍も兵隊長のとは威力は違って壁にぶつかると普通の水となって弾けた


「おー随分といい感じだな、練習を重ねれば実践に行けるだろうなー」

「カッコいいね千斗!」

「…………え??………早い?」


兵隊長と品子さんからは褒められた言葉を頂いて、蜜巳さんは驚きながら目瞬きしながらこちらを見ていた………初めての事は誰だってうまくいかないし普通の俺だったら反省をしていたんだろう

でも

その事どうでもよくなるほど何も頭に入らなかった


「クッ……」

「どしたー最初は上手くいかないもんだよ?そんな悔しがらなくても……」

「ガリウス兵隊長、大丈夫だよ?」

「え?なんで?」

「………あの、千斗さんには…………発作がありまして…………」

「アーハッハッハッハッハッハ!」

「うわっどした!?」

「我は…我はウルティマ・ザン・ガーゴイル!」


先ほど押し殺した感情が先ほどよりも濁流のように膨大にあふれてくる!

理性なんかはもう消え散った

この高揚感はもう止まらないし止める気はない!

異世界作品で主人公が魔法を使うシーンはたくさんあるけど本当に正直に言う、なんで初めて使うのに普通に平常心にしていられるんだよ!ライトノベルを作っている人は誰もが漫画とかアニメとかのオタク趣味を持っている人じゃないのか!?そういった人はファンタジーに憧れているから書いているんじゃないのか!?現代に無い魔法を扱ってみたいって思ったことは無いのか!?

魔法で最強になり蹂躙するとかそういった物に憧れたんじゃないのか!?

平気な顔して「何だこんなもんか」ってなるのはやっぱりおかしかったんだ!


「冷華様!我は真の…いえ!(しん)の覚醒をいたしました!

貴方様を超えるつもりはありませんが!それでも貴方のお側に…御側にイィィィィィィィィィィィィィィィ!」

「…発作?なんか楽しそうだねー」

「………千斗さんは中二病と言う心の病と言うか………そんな感じなんです………………物語の登場人物に憧れてそれをときどき演じる………という感じですので……」

「そういうものがあるのかー面白いねー幼馴染はいいのか?喜びながら拍手をしているみたいだけど」

「しーちゃんは………嬉しそうだからこのままでいいと思います………………」


今の水槍は外れてしまったけど、これも最強の召喚獣への第一歩!

こうなっては更なる修練を積むのみ!


「我は水だけではない!!万物を扱うことのできるウルティマ・ザン・ガーゴイルぞ!

水に炎に風に地に光に闇!万物の槍を扱わせてもらおうぞ!」


水以外にも試していく!火球を作っては放つ!風の刃を作っては放つ!石のつぶてを作って放つ!


「あー楽しそうだしマトはいくらでもあるからいいけどこんなに放たれると…………」

「フーフハハハハハハハ!!」


光の矢を作って放つ!闇の矢を作って放つ!

そして俺の十八番である水だ!いくつもの槍を作ってい一斉に放って!

王の○宝のように放って放って放って放って!!

……あれ?


「我の…われっ…あれ…………なん、え」


なんだ、これ……身体に急に何かが

急に四肢に枷がかかったかのように体のゆうことが効かない、膝から崩れ落ちる

なんだこれ……まさか、マナが切れたんだろうか?


「千斗!」

「千斗さん!」

「…………」

「兵隊長!なにがおこっているの!?」

「………ナァー、リット ストル」


え?兵隊長?何を言っているんだ?


「わ……分かった」

「分かりました」

「え?兵隊長の言っていること分かるのか?」

「え?兵隊長は『あぁーちょっと待って』って言っていたけど?」

「カ?、テイ、マナ、バッリィ、ストル」

「……………『なんて?とにかくマナが戻るまで待ってて』と言ってます………今わからないのですか?」

「そうなんだよな…」


あっ………そういうことか

今の俺はマナが切れている状態だ…王様から『地球から召喚された人達はマナのおかげで身体能力の上昇と翻訳機能が付いている』

今の枷がかかったかのような体の感じは…これは全身に巡回していたマナが無くなって()()()()()()()に戻っただけ…だろうな

今日までマナによる身体能力上昇に慣れていたからこそ元々の身体能力が逆に重苦しくなっているんだろう

そしてガリウス兵隊長はグラーフィアの言葉で話しているから俺だけ聞き取れない状態になっている……そんな感じかも


「ナァー、ノォー、ノォー、ノーい、おーい?大丈夫か?」

「あっ!?大丈夫です!聞こえました!」

「聞こえました?あーそういうことか

翻訳の所までマナが無くなっていたか」

「はい、ちょっとの間ですがガリウス兵隊長の言葉が分からなかったです」

「あー俺も一瞬勇者ソラアミセントの言葉が分からなかった、分かっていると思うけどさっきはマナが無くなった状態だー、体が重くなっただろ?」

「はい、でもこれは俺たちの世界で言う所の『元の身体能力に戻った』ってだけだと思います」

「そうかーマナない世界ではそうなるか、まあ少しだけ待ってろ、翻訳だけじゃなくて体だって少し待てば元に戻るから昼寝………じゃなくて休憩しながら待っててくれ」


そう言われてみると体の重さが緩和されていく感じがする


「あっ、マトを全部壊してしまいすいません!」

「いいって、さっきも言ったけどマトは腐るほどあるからいいよ」


…たぶん、夢中になってて聞いてなかったときに言ったんだろう

本当にごめんなさい


「でもこれだけは覚えて欲しい、勇者アキハラシナコも勇者コヌマミツミもだ

マナが枯渇してもちょっと時間が経てば元に戻るけど…そのちょっとした時間は戦闘中だと普通に致命的なるんだ

無理して動けなくなって一方的に殴られるようになるのは全く偉くない

回避できる身体能力分のマナは絶対に残しておけよなー」


たしかに、ゲームでも動けない状態異常にかかっている時はこっちがかかったらピンチな状況だし、逆に相手がかかれば絶好のチャンスになる

状態異常は基本的に相手にかけるものではあるけど、マナの枯渇のような自分から状態異常にかかるのはガリウス兵隊長の言葉を借りると「偉くない」

自ら相手にチャンスを与える慢心なんて戦う戦士は持ってはいけない


「マナが回復するまでゆっくり休んで終わったらまた魔法を試してみてよなー

マトはあの倉庫にあるからまた用意して後は自主練でよろしく

次は勇者アキハラシナコの番だからな」


「わかりました」と答えると一旦蜜巳さんの近くでゆっくりと座って休むことにした


「ふぃー」

「…………お疲れ様です、大丈夫でしたか?」

「ああ、今は問題ない、戦闘中に今のようなマナの枯渇にならないように気を付けるよ」

「………………そうですね……………なんだか、大迫力に魔法を使ってましたが……………楽しかったですか?」

「…楽しかったというよりも、夢が叶った感じだったな

オタクにとっては魔法を扱うというのって本当に憧れだから理性が吹き飛ぶほどに気持ちよくなってしまった

怖かったら本当にすまない」

「…………いえ、楽しいことに夢中になるのは仕方ない事だと思います」


気持ちは変わっていないようだ、これ以上戦闘関係の話しをあまりしないほうがいいかもしれない


「っじゃ今度は勇者アキハラシナコ、何の魔法を使いたい?」

「回復魔法!」

「お?もしかしてナリアン神父様の見たからか?」

「うん!それもあるけどやっぱりみーちゃんもみんなも守りたいの!」


打って変わって品子さんの方は回復魔法を覚えるみたいだ、回復魔法を扱える大楯のタンクって……実質無敵になるのでは?


「そんなに守りたいかー偉いねー」

「どんなイメージが大切ですか?」

「まぁーーーそんなに大きな声で守りたいって言っているならいけるっしょ」

「ありがとう!

…あれ?でもどうやって訓練したらいいのかな?怪我って誰もしてないから…」

「あーそいつは困ったな、って思ったけど俺の腕がちょっと切れているんだ」

「えぇ!?なんで!?」


………いま俺は分かった、品子さんが会話に夢中になっている内にこっそりとナイフで自分の腕を斬っていた。自傷行為と思われないように気を使っているのか!?これは!?

しかも切ったのが本当に一瞬だったから俺のまだたきのタイミングで切ってたら俺も気づかなかった!

蜜巳さんは……


「いま…………兵隊長さんが…………」

「やっぱり見えた?」

「…………は、はい…しーちゃんには黙っておきましょう」

「…そうだな」


蜜巴さんは気づいていた

品子さんのまばたきのタイミングで切ったんだろうか、本当に気づいていない


「地べたで寝てた時にいつの間にか切れたかな?

っま丁度いいから頼めるか?」

「まっかせてよ!」


そう言って蜜巳さんは眉間にしわを寄せて両手をピン!と伸ばして兵隊長の傷に手をかぶせる


「なおれ~なおれ~なおれ~なおってー」

「体に力は必要ないよー力を抜いて傷が治るイメージをするんだー

難しいならナリアン神父様がやったようにするのをイメージすればっ…」

「…はぁあああああああ!!」


大きな声を出してどう考えても力を込めている

けれど、品子さんの手元が強く光り輝いた!?

ナリアン先生の扱った回復魔法は優しい光であったがそれよりも小さな太陽かのように眩しい!?


「くっ!?」

「うわぁ!?」

「わぁ!?」

「うをっ!?」


誰もが驚きの声を上げながら目を覆う、視界は真っ白に包まれて世界は染まる

FPSゲームにあるような閃光手榴弾を受けた時ってこうなるのか!?


「大丈夫か!?」

「わ…………私は、大丈夫です!」

「え!?兵隊長!?大丈夫っ?」

「あー落ち着け、眩しいだけで何も起きてないから」


閃光手榴弾とは違って爆音は無いから普通に音は聞こえる

品子さんが動揺したのかすぐに光は収まった

眩しいものを見たからか、両手で目をこすってしまう


「みんな!ごめんね!」

「大丈夫」

「大丈夫だよ…………しーちゃん……………」

「あのっ!兵隊長は傷とか大丈夫ですか!?光りすぎて回復しすぎてませんか!?」

「あーその事なんだけど……」


何か体に異常があったのか!?と思いながら目をこすって兵隊長の姿を確認してみるけど

……何とも無い?


「まあ、初めてはこんな感じだから大丈夫だ」

「え?傷は塞がっているけど?」

「なんつーかー、回復しすぎたっぽくて全然眠くない」


それだけか…いや変に異形化とかしなくて良かった


「まあ、治したくなるイメージに気合を入れるのはいいけど、これも大きくマナを消耗しちゃうから傷の具合を見極めて抑えるの頑張ってくれ

傷の大きさに合わせた回復魔法を扱えたら偉いぞー」

「はい!分かりました!」

「っじゃ、後は自主練でよろしく、俺は寝るから」

「あれ?さっき眠くないってっ……」

「ぐぅ…すぅ………」


またもや寝てしまった、眠くないはずでは?もしかすると寝たふりをしているのかもしれない


「うーんどうしよう、千斗は自主練できても私は傷が無いからどうやって自主練したら……」

「傷は無くても、今のような光は出るからその大きさを調整すればいいと思うよ?もしくは守るために他の魔術を学んだりとか」

「分かった、自主練がんばろうね!」

「おう!」

「……が………がんばってー!」


そのあと、カイザムさんは呼ばずに寝ているガリウス兵隊長をよそに魔法の自主練を行った

品子さんはその後、回復魔法の調整を頑張っていたし自主的に身体能力がさらに上昇するような補助魔法も出来るようになり「すごい!すごい!」と大喜びしていた

周りの壁よりも高く飛んではしゃいでいて楽しそうだ……落ち着いたら俺にもかけて欲しいな!


「すごいすごーい!町が綺麗!!外も綺麗!」

「フゥーハッハッハッハッハ!!!

フゥーハハハハ!!………っぐ!」


ちなみに俺は攻撃魔法の自主練をしていたが途中から理性が吹き飛んで中二病モードになって魔力が枯渇しては自主練して中二病モードになって……を繰り返しながら自主練をしていた

調整しなきゃいけないのは俺の方だこれは!


「……………いいのかな、これで?」


ドン引きしている蜜巴さんのそんなつぶやきは多分、俺たちには聞こえなかった

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