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勇者はいる、主人公はいない  作者: 虹鳥
プロローグ・王都セカンドルト

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11/58

やる気は感じない、実力はある

「んじゃあ、始めて行こうか

とは言っても俺の体は1つしかないから急かさないでくれよー?」


武器の選択はおわって、いよいよガリウス兵隊長との訓練が始まる


「んで?どっちからやる?」

「千斗?あなたからでいいよ?なんか張り切っていたみたいだし?」

「え?いいのか!?品子さんも結構張り切っていたけど…」

「うーん…ちょっと奥で見ている、みーちゃんの様子を見たくて」

「あっ、それならどうぞ」


幼馴染同士で2人っきり……じゃなくて蜜巳さんのことは確かに俺も心配だ、ちらりとその場所を見てみると橙色の髪をいじって下を向いていた

ちょっと目が合うと一礼した


「幼馴染同士であれば蜜巳さんも落ち着くでしょう、そばにいたほうがいいな」

「ありがとう!」


そう言って品子さんは蜜巳さんのとこへ走って行った、ただ大きな体に大きな盾と小さな剣をもってガッシャンガッシャンと走っているからちょっと圧迫感があるんじゃ………近寄ってきた品子さんの様子を見て蜜巳さんはちょっとビックリしているんだが


「偉いなー幼馴染も友人関係も大切にするのが1番

っじゃ、始めるぞ」


そう言ってガリウス兵隊長は武器を持たずに俺の前に立つ……ってえ?


「じゃあ好きに俺に攻撃してくれ」

「はい?」

「好きなように攻撃していいよー」


え?


「あの、私の世界で見ていた物語ではこういう時にカカシ…偽物の人形を敵と見立ててそこに攻撃する物ですが………」

「あるけど用意するのがめんどくさいなーもしかして俺の心配でもしてんのかー?」

「そ、そうでもあります

地球で生きている時は人に危害を加えた人生を送ってないのでまだその覚悟が………」

「優しいねー偉いねーでも心配しなくてもいいぞ、俺は兵隊長だから」


余裕の表れなのかもしれない、でも攻撃は難しい

魔王との戦いなんて話があるから魔物と戦うのはあるかもしれないけど

人と戦うなんて…けど、決して免れないんだろうな、これから先で魔物以外に悪意を持った人がいて戦うことになるかもしれない

特にグラーフィアの人達が怯えるきっかけになった「なにか」が魔物じゃない可能性も高い、罵倒もされているようなことも聞いたし


「すぅうううはぁーーーー行きます」

「覚悟を決めたかーいつでもいいぞー」


深呼吸をして頭をふりながら槍を強く握る

流石にマナによる身体能力上昇があるからうっかりでも死ぬことは無いと願いたい、生き返るとしても殺したくはない…でもやらなきゃいけない!

思いっきり槍を突き出してガリウス兵隊長の足の方を狙って突き出す!動きを封じるために


「…っな!?」


普通に足を開いでかわされた、ならば今度は腹部を狙って!


「…っと!?」


少し横にかわした後、突き出した槍を腕に抱えて止められてしまった!

それなら力業で兵隊長ごと持ち上げ!え?


「って、わああああああ!?!?」


逆に俺が持ち上げられた!?落ちないように槍にしがみ付くのに必死になってしまう!


「よーしそこまで、下ろすぞー」


その後にはゆっくりと槍ごと下ろされた、本当にのんびりとしていたけど…この実力って本当に兵隊長ってことか、今の戦いで兵隊長としての実力がひしひしと伝わった……

下ろされた後にへたりとその場に座り込んでしまった


「は、はひぃ………」

「悪いな急に持ち上げて、怖かったか?」

「いえ、兵隊長さんの実力が分かってすごかったです」

「そうかー?でもソラアミセントも結構戦闘のセンスがあるって今ので分かったぞ」

「今のでですか!?」

「ああ、足を狙ったのは動きを止める気だろー?」

「はい、物語などでまず相手の攻撃を封じることが多いので四肢を攻撃するのがいいと思いました」


まあ、最強系だと力業でドカーンとかあるから戦術も無い作品もあるんだけどね


「足を攻撃してもかわされて、でも動きにくくなったと思いまして胴体に当てようと……」

「とっさの判断で攻撃を変えるの偉いねー」


ゲームでも敵との戦いの時に咄嗟に戦い方を変えることもある、戦いには想定していても想定外のことはいくらでもあるからそのたびにすぐに練り直さないといけない


「んで、俺に槍を掴まれた時、俺ごと持ち上げようとしたんだろ?槍を通じて分かったよ、持ち上げられたら基本なんでも出来ないからなー」


強さだけでなくこちらの戦い方まで分かるなんて!?


「あの、悪い所はありませんでしたか?」

「向上心かー偉いねー

しっかりと槍で狙いをつけるのと、緊張をとかして握りにではなく腕に無理に力を込めないのと……後はしっかりと覚悟を持って敵を狙えば俺から言うことは無いかなー」

「分かりました!」


つまり狙い以外は俺の心の問題か………


「でしたら実践をする前に魔物との練習の予定とかはありますか?」

「今日じゃないけどもちろんあるよー

さて、勇者ソラアミセントとはいったん終わって今度は勇者アキハラシナコの番だー勇者ソラアミセントは自主練するなり休憩するなり自由にしてていいぞー」


今度は品子さんの番となった

しかし、この世界の名前の呼び方は未だに慣れないな…ずっとフルネームで呼ばれているから

槍を持ったままどこで練習しようか?と思っていると品子さんやってきた


「交代だね?自主練するの?」

「うーん、ちょっと体は大丈夫だけど軽く休憩を入れようかと……」

「だったら、みーちゃんの話し相手になってあげて?」

「え?俺が?いいのか?」


2人で仲良くしている所に男が入るとかしたくないのだが…でも戦闘訓練中だから仕方ないのかも


「いいよ!私は戦ってくるから!」


そう言って楽しそうにガリウス兵隊長の所へ駆け出しっていた、もしかして?そんなにも戦いたかった?はしゃいでいたからそりゃそうか…

改めて蜜巳さんの方を見ると髪をいじって少し暇そうにしていたけど、俺の様子を見るとこちらを見た


「あっ……………千斗さん」

「ただいま」

「持ち上げられていましたけど………………大丈夫でしたか?」

「大丈夫だったよ?ガリウス兵隊長はとても優しいけど的確に指導していたし言われた通りにやれば以外と戦えそう」

「そう………ですか…………………」


兵隊長からの指導の話を聞いた蜜巳さんは俯いてしまった、やっぱり戦いに関して………


「ガリウス兵隊長は優しいけど、やっぱり戦いは怖い?」

「うん…………しーちゃんにも……………そのことを聞かれたの」


やっぱりそうか………この場所は開けているが一応は城壁に囲まれている、けれども金網で囲まれているが外の光景が丸見えになっている

すぐそこで子供たちがボール遊びをしていて平和そうな雰囲気に見える

一応ここは王城の場所なんだけどここまで開放的なのは警備的な心配はあるけど逆に考えて見れば国民たちへの信頼感の表れなんだろうか?

それだけこの世界は平和だったということかもしれない

魔王によって平和が脅かされているという自覚が未だにつかめないぐらいだ


「……どうしましたか?」

「前に世界を救うのが楽しみと言ったでしょ?」

「…………はい」

「もう1つ気持ちが沸いていて、この世界を守りたい気持ちもある」

「……そうなのですか?見ず知らずの人達のことを…………」

「正確には見ず知らずだけど、いい人たちだからだ」

「いい人たち…………それはそうですね……………」


昔を語るように俺は今までの小説で読んだことを話し始める


「王様から勇者としての命令を与えられた時、品子さんと話していたことなんだけど、異世界召喚の作品って召喚した奴らはっ…」

「ひどい人たち…………しかいませんでしたね」

「ああ……覚悟も無いのに戦わされたりとか、奴隷のような働かされたりとか

……………使い物にならなかったら辺境まで追放されたりとか」

「…」


決して今戦ってない蜜巳さんのことを言ったわけではない

でも自分の事と重ねてしまったみたいだ


「ごめん」

「………謝らなくていいですよ」

「悪意が無くても無責任に放り出して自分達は安全な所で籠る、そんなやり方の世界だったら俺は絶対に救う気持ちは沸かなかった」

「そんな…………そんな世界だったら…………………あなたはどうしたの?」

「……」

「それなら………無理にこたえなくていいですよ……………」

「あっ…ああ…………」


口には出せないけど、そんな世界だったら帰れないとヤケになって国家やこの世界そのものに復讐していたかもしれない


「異世界召喚はそんな作品が多かったからそんな偏見を持っていたけど、王様の必死な様子にナリアン先生、使いの方のカイザムさんにガリウス兵隊長、誰も優しくてこのセカンドルトしか見ていないけどいい世界だと思ったしそれに…」

「あっ!?ごめんなさい!」


急に背後から子供の声が聞こえた、後ろを振り返ってみるとさっきまで遊んでいた子供たちが不安そうな表情でこちらを見ていた

どうやらボールを金網の隙間からこちらにウッカリと投げ入れてしまったらしいようだ、子供たちは何かヒソヒソと話し合ってる


「ちょ……ちょっとあれって勇者じゃないの!?逃げる?」

「でも………ボールが!?」

「怒られない?」


勇者の偏見のことは子供たちにまで広がっているらしい

時間はかかっでも払拭しなくては


「あ………あの」


俺が拾う前に蜜巳さんはボールを手に取って子供たちの前に歩いて行った

少しふるえているけど勇気を感じた歩みだ


「ぼっ…………ボールを……………どうぞ!」

「あっ、ありがとう」

「ありがとう、勇者さん!」


子どもたちは満面の笑みをしながらボールを受け取って、遊びを再開した

偏見の払拭の第一歩になったかもしれないな


「ありがとう、あの子供たちから勇者に対する気持ちが少しでも良くなったと思う」

「このぐらいの事しか………………できませんが」

「いやいや、十分に偉いことだよ、いいことをするのに大きいも小さいも無いと思うし

さっきの話の続きだけど、あの子供たちの笑顔も守りたい気持ちになった」

「…………凄いですね、私は守りたい気持ちはたしかにありますけどそれ以上に恐怖心があって戦えません…」

「うーん…」


やっぱり主人公のように心変わりするようないい言葉をかけることができないな……

現世で見ていたアニメであるクロスオーバーの異世界作品にて「異世界は割といい世界」って歌っていたけどあの4人って誰もが過酷な異世界生活を送っていたけど、そんな気持ちだな

異世界召喚に巻き込まれて運が悪かったと思っていたけど、想像よりも優しい世界で運が良かったかもしれない

本当にいい世界だと思う


「おーい!私も終わったよー!」


蜜巳さんと話している内に品子さんの戦いも終わったようだ、その後ろからガリウス兵隊長もついて来てる


「2人のさー実力分かったんだけどさー槍の使い方も盾と小型剣の使い方も上手いなー後は自主練でもいいよー俺は寝るからさー」


そう言いながら先ほどの武器が刺さっている所の中心に歩いて行って……っえ?


「ちょ、ちょっと待ってください!訓練はどうしたんですか!?」

「今日は終わりだーそんなに才能あるなら俺から教えられることはもうないよー

明日は魔法を教えるからよろしくー」


むしろ魔法なら今教えて欲しいんだけど!!いや急かしたところで予定が決められているなら仕方ないけど


「…えっと、そういえば寝る前に俺から質問なのですが」

「どしたー?」

「なんでこの周囲は武器が刺さっているのですか?」

「あーここは俺の寝床、俺って武器が近くに置いてないと落ち着かなくてな、多ければ多いほどよく眠れるんだー

雨の時はそこの倉庫で寝てるし」

「いや、それでもちゃんとした寝床で寝て下さっ…」


っていう前に


「ぐぅ…すぅ………」


兵隊長は寝てしまった


「…ねえ千斗?こういう時ってどうしたらいい?」

「えっと、ツッコミを入れるかもしくは大きな声で起こすかがいいと思う」

「分かった!おきてええええええええええええええええええ!!!!」


品子さんは大きな声で起こそうとしたけど全く起きない


「もしかして?カイザムさんを呼んだ方がいいかな?さっき起こしていたし」

「あっ…………じゃあ私……………よんでくるよ」

「じゃあ、みーちゃんお願い!」


蜜巳さんは気がついたら自分から行動しようとするとは?!よっぽどの状態すぎないか!?


「じゃあ、俺は起きなかった時の為にあの倉庫からカカシ持ってくるよ

兵隊長がその話をしていたし、多分あの倉庫に置いてあると思う

起きなかった時はそれで自主練しよう」

「分かった!」


その後、ある程度の時間が経った後にカイザムさんが来て叩き起こされたガリウス兵隊長による戦闘訓練が再開され…ることも無く、寝ては起こされを繰り返しているうちに途中から考えるのを辞めたくなるぐらいめんどくさくなって昼以降は自主練で終わった

一応カイザムさんに「別の兵士などはいませんか?」と聞いたけど様々な予定があるとか忙しかったりなど言われたけど勇者に近づきたくない人が大半なのかもしれない


「いや、これでいいのか?」


そう思いながらカカシに槍を向けて練習をしていた

動いてないのと戦うのは慣れてしまったからせめて動いている物か者と戦いたかったけど…まあ、うん…なるようになって欲しいな

※異世界召喚作品に偏見を持っていることに深い理由はありません

ただ、実際に作者が見たことのある異世界“召喚”作品は召喚主が非道な場合が割と多いです

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