表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者はいる、主人公はいない  作者: 虹鳥
プロローグ・王都セカンドルト

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/58

適性は特にない、武器はある

買い物や物価価値を学んだ次の日、この日はいよいよ戦闘訓練の日になった

流石にいきなり魔物と戦ったりなどの実践訓練はしないとは思うけど……カカシやマトが相手になるのかな?

今まではこの世界に来た時の服を着ていたけど………3日連続は流石に清潔感がまずいかもしれないけど使いの方に夜に服を渡すと綺麗になって帰ってくる、魔法を扱って綺麗にしているらしいけど本当に便利なもので羨ましい

でも今日は起きた時に服が用意されていて冒険者のような肘当てと膝当てが付いている布の服が置いてあった、着方が分からないと言ったら男性の使いの方と女性の使いの方がそれぞれ対応して着方が分かった

着た感じとしては思った以上に自分の体にフィットしていて元の世界で着ていた運動着よりも体が軽くなった感じがする、心の中に高揚感が沸いていく

冒険はまだなのに何だろうかこの気持ちは


「フッ…なじむ、素晴らしき召し物だな」


そう独り言を言いながら客室の脱衣室から出てみると、寝床で着替えていた蜜巳さんと品子さんも着替え終わったのか座って待っていた


「すごいね!勇者みたいだ!」

「そう………なんでしょうか?」

「いや、事実勇者だが…」


そんなやり取りをしながら部屋の中でちょっと緊張しながらも待っているとノックが聞こえてくる


「いいですよ」

「どうぞー!」

「……」

「失礼します」


いつもの使いの方が入ってきた、召喚されたばっかの最初の時は結構怯えている感じがしたけど今では落ち着いている、でも結局その理由は不明なままだ

「勇者がトラウマ」ってことは分かるんだけど、学んでいるナリアン先生などその辺りの話しは王によって禁止されている、王の乱心を見る感じ触れたくもないということなのだろうか?

とりま、考察に関してはこのぐらいにして戦闘訓練に集中しなくては


「おはようございます勇者様方、今日からは戦闘訓練になりますので今まで行った教会ではなく騎士訓練所に向かうことになります」

「そっその話なんだけど!」


使いの方の話を遮るように品子さんは話しかける

何が起こってもいいように覚悟をしておかなければ!


「いや………………私から言うよしーちゃん…………」

「…分かった」


そう言って蜜巳さんは一歩、使いの方の前に出た

が…がんばってほしい


「あの………私……………戦うのが……………怖くて………………戦い…………たく…………ないです」

「……あー、もしかして昨日の調子の悪さ………なるほど」


なんだか、使いの方が気まずそうに目を逸らしながら、1人でなんだか納得していた

こんなにも必死な様子、非道な返しはしないはずだと思いたい


「なるほど、分かりました!無理はしなくてもいいですが見学はできますか?勇者コヌマミツミさん?」

「見学……………………それなら………大丈夫です」

「それなら良かったです、勇者としての仕事は戦うだけが仕事ではないのでそれ以外のやり方で2人に協力をすればいいですよ?」

「わっ………分かりました」


蜜巳さんは少し悩んでいたけど見学は大丈夫みたいだ

話は意外と普通に通った?品子さんの言っている通りやっぱり意外と大丈夫でよかった…………


「2人は戦闘訓練大丈夫ですか?」

「はい、大丈夫です」

「大丈夫だよー!」

「分かりました、では教会と同じように私の後をついて来てください」


そう言いながら客室を出発した

王城の入り口……の方へは向かわずに別の方向に歩いていく、そういえば騎士訓練所と言う所に向かうんだったよな?ちょっと蜜巳さんの懇願の結果で頭がいっぱいだったのもあってそれまでの話しはあまり聞いてない所があった、すまない…

しばらく後をついて行くと、今度は木製で出来ている扉が見えた


「こちらです」


使いの方が木の扉を開くと、そこは中庭かのように空が明けていて平らで広がっている場所があった。

そしてその中心にには大量の地面に刺さった武器に囲まれていて………寝ている男性がいた?

物々しい雰囲気がありながらも周りの武器をしっかりと見たいところではあったが真ん中にいる男性…先日見た冒険者と比べると全身に鎧を付けており、王のそばにいた近衛兵士よりかは軽装であった

小説とかで見たことあるような兵士の姿をしている……いや待って!

武器に囲まれながら何くつろいでいるの!?硬そうな鎧を着こんで寝れるのもおかしいけど何やっているんだ!?


「こちらが…………ちょ!?起きてくださいよ兵隊長!!」

「グぅ…………がぁ………」

「兵隊長!!」

「んがっ……………あーあれもう昼か?カイザム?」


あっいつもお世話になっている黒髪の品行方正な使いの方はカイザムさんと言うんだな


「まだ朝です!起きるには遅いぐらいですけど!早く起きてくださいガリウス兵隊長!」

「そんな慌てんなって、しっかりと寝ないといざという時に戦えないぞ」

「私はただの王に使えている者ですので戦えません!それに今はお客さんが来ている「いざという時」です!」

「あーそれならしょうがねえな、よいしょっと」


ガリウス兵隊長と呼ばれている長身痩せ型の白髪がボサボサの男性はどうやら結構気だるげ……じゃなくてマイペースな人のようだ、物語に出てくるような兵隊長は堅物だったり厳格なキャラが多いイメージがあるけど、マイペースなタイプは初めて見た

起き上がるとガリウス兵隊長がこちらに近づいてくる


「えっと、私はこれで!何かありましたらお呼びください」

「おー君たちが勇者様達かーよろしくな~」


使いの方のカイザムさんは勤勉そうだから真逆のガリウス兵隊長が苦手なのかもしれない、逃げるかのように去って行った

手を出して差し出してくる、女性陣は警戒しているのかちょっと身を引いているけど俺は握手をした

手が結構しっかりとして、なんとなくだけど力強さも分かった


「あ…………あの、私……………」

「あー勇者コヌマミツミだったっけ?どした?」

「戦いが怖いから…………その……………見学してます………」

「あー偉いね君?」

「え?」


偉い?何が?


「んでさ?勇者ソラアミセントと勇者アキハラシナコは訓練したい?」

「楽しみ………じゃなくて訓練したいです」

「私は助けたいので訓練したいです!」

「いいねー君たちも偉いぞー特に勇者ソラアミセントは楽しみならいいねー」

「えっと、ガリウス兵隊長?」

「そんなかしこまらなくてもいいよ?気楽にどんな呼び方してもいいよ~?」

「当日にいになりは無理です」


まだ会って5分も経ってないし!


「そうかーなら明日から気が向いてたらで~んでどんな質問だー?」

「偉いって言ってますが、なにがですか?」

「んー俺の部下って真面目な奴が多いけど真面目過ぎて無理をする奴が多いんだよなー

そりゃ兵士だとか騎士だとか王や国を守るのも大切だけど、王様は俺たち兵たちもこの世界グラーフィアの住人だからさ?回復魔法や蘇生魔法があってもしんどい目には合いたくないのよ?

誰もが正直が一番ってわけ、戦いたくないのに戦うとか言われるのが俺にとってはいっちばん困る」


なるほど、確かに気持ちは分かる

ケースバイケースではあるけど兵士は基本的に軍隊で戦うからこそ1人が足を引っ張ったら全体に悪い影響が出てしまう、精神論で強制的にやらせるような兵隊長じゃなくて本当に良かった


「なら勇者コヌマミツミは見学して2人は、あー、好きな武器を使ってくれ」

「すいません、もう1つ質問があります」

「どうしたー?」

「その………能力を測ったり適性を見たりする、魔法の道具とかってありますか?」

「あー、そんなものがあったら便利だなー代わりに物を探すことのできるものあるけどなーそっちの世界にはあるの?」

「いえ、魔法そのものがありませんがこちらの世界にある物語の中にあります」

「へー面白い物語があるんだねー」


読んでいた小説で大体出てくる適性や相手の能力を測る水晶的な魔道具ってあるけど、召喚された直後に水晶とか鑑定魔法で能力や適性を見られる、その時に弱かった者は元の世界に返さずに辺境や魔物の多い所に放り出されてポイ捨てするかのようにしている世界だったら……

ステータスの成長を何も考えずに初期ステータスだけで見極めるような奴が王様の世界なんて……

そんな世界なんて救いたくない


「けどあったらつまらないなー

分からない状態で試行錯誤して発見したほうが俺にとってはおもしろいよなー」


この言葉は分析や鑑定魔法に対するアンチテーゼになりそうだな、聞く人によっては心にダメージを食らいそうだし、ここが異世界で良かったよ


「さて、質問終ったならまずは武器を選んでくれ

適当でもいいし直感でもいいし好みでもいいし、刺さっているのどれでもいいぞ」


とは言われてもどれを扱おうか……カッコよくて両方側に刃がついてる剣、それも片手で扱えそうなナイフや非常に重そうな大型剣と種類が豊富にある、格闘用の手にはめそうな鉄の装飾のついたグローブに足に着けるレガース、斧に槍にハンマーもあれば弓に鞭にフレイル

中世ファンタジーを舞台にした作品で見たことあるようなものが目の前に一通り刺さっていたり置いてあった………


「かっ…かっこいい……」

「かっけー……」

「そうかー?」

「物語の中で見ていたものが目の前にあって…憧れていたので、すごくて!」

「そいつはおめっとさん、俺にとっては生まれた時からあるから考えたことなかったなー」

「ねーねー先生!?!これとかこんな感じ?」


品子さんは両手に剣を持ってクルクルと回っていて楽しそうにしている、オールバックに使っている髪留めが外れそうな勢いであるし大柄だから勢いがすごい

俺も新しい玩具を与えられた子供のようにはしゃいで見渡してしまって語彙力が小学生みたいになっている


「怪我をしないように好きに使っていいぞー、でも何でもかんでもは器用貧乏になるからおススメしないぞ」

「はーい!」

「分かりました!」


でも、正直どれを扱うか迷う、ウルティマ・ザン・ガーゴイルは魔法を扱う召喚獣であって特に武器と言えるものは扱ってないし俺自身もこだわりのある武器が特段あるわけではない

魔法を扱うにはこの世界に漂っているマナが必要であって、水や空気のように普通に会っても無限ではないだろう、科学の漫画で相対性理論って言っていたようにゼロからエネルギーは生まれない

なら、魔法以外にも武器だって扱わないといけないと思う


ガーゴイルは彫像だけど、アレは悪魔だよな?

悪魔って扱うとしたら……


「槍……」


悪魔はフォークのような三又の槍を持っている、刺さっている槍は斧付きのハルバードと普通の槍が刺さっていて三又の槍は無かった、普通の方は投げるとよく飛びそうではあるが投擲武器はあまり扱う予定は無いからぶん回したりして斧の部分で攻撃したり応用が効きそうなハルバードの方を手に取る

洗濯の手伝いで物干し竿を持ったときは視点力点作用点の関係で端っこを持ったりすると結構重さを感じるから、結構重たい物だと思った

けれども今持って見た感じはどうだろうか


「かっ……軽い!?」


マナで身体能力の向上のことは身を持って体験したし、王様からその話も聞いた

でも、それを分かっていても驚くほどに軽いしよく分からないのにしっくりくる


「おー、色々と広い所で試してみれば?」


ガリウス兵隊長に言われえるがまま剣が刺さっている所から離れて、楽しそうに色々と試している品子さんからも離れた所に行って槍を片手に構えてみる

正しい構え方や力の入れ方なんて知らない、漫画やアニメで見たことあるようなうろ覚えのポーズを取り1回突き出してみる


「おっおわぁ!?」


手が滑って槍が飛んで行って思いっきり壁に刺ささる!

思った以上に力がこもってしまったようだ


「すっすいませんガリウス兵隊長!」

「いいっていいって、ここは戦いあうから壊して上等だし武器をそう簡単に壊れないよ、壊れたら直せばいいしよーそれよりも色々と試してみたら?」

「わっ分かりました」


壁に刺さった槍を抜く、槍の全長半分以上が刺さっていたけどすっぽりと抜けた。

俺の力がマナで増しているからか、槍が抜けにくくなる「返し」の部分がそんなにないのか分からないのがこんな簡単に抜けるもんなんだろうか?

今度はちゃんと両手で握って突き出してみる


「ふっ!はっ!おお?!」


思った以上に速度が出る、相手にがいた時は思いっきり貫けられそうだ


「はっ!はっ!はぁ!」


何回も連続で空を貫いてみる、ゲームやアニメで見た時は実際人並外れている動きと思っていたけど意外とできている感じがする


「千斗凄いね!」


褒めていた品子さんは大型剣をジャイアントスイングしながら俺の動きを褒めていた

ってどうゆう動き!?


「面白い動きをしているなーそういった戦い方も実戦で役に立つよなー」


多分感心しているガリウス兵隊長をよそにいろんな動きをしてみる、突きだけではなく振り回してみたりもして見る、プロペラのように頭上でブンブンブンブン!!と回すことも想像以上にたやすくできた

マナと言うものは力だけでなく器用さも増されているようで………本当に楽しい!


「すごい!すごい!マジですげぇ!ゲームのキャラみたいになった気分だこれは!」

「げーむ?」

「あっいえ、こちらの世界の遊びみたいなものです」

「ねえねえ!千斗は気に入った武器ある?私はこれ!」


思いっきりはしゃいでいてオールバックが解かれている品子さんは自分の身長分ある大きな長方形の盾と小型の剣を持っていて………え?


「なんか、守るのってかっこいいよね?」

「ああ!確かにカッコイイな!」


テンションが上がっていたからつい勢いで答えてしまったが、でもさっきまで武器を持ってたのに何で防御寄りの装備になったんだろう?


「おお、大楯かー誰かを守りたいのか?」


そういうことか!品子さんは………


「みーちゃんを守るため!」


やっぱり、武器ではしゃいでいながらも蜜巳さんを守りたいからと言う理由だな!

支え合っていて尊いな!


「よし、勇者ソラアミセントは槍を勇者アキハラシナコは大楯の訓練かー

気楽に始めて行こうぜー」


武器の選択は終わったのちにいよいよ訓練になる

厳しいものが始まるかと思ったけど、なんか楽しくなりそうだ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ