ソースを掛けただけなのに……
個人の主観による主張です。
旅行番組や地方の地域ネタを取り上げる番組で、稀に紹介される素朴なおやつ。
その中には、栃木県の南西部の1部(と隣接している群馬県の極1部)にだけ浸透している“いもフライ”と言う物があります。
このいもフライ。 作りは極めて単純。
皮を剥いて切り分け、蒸したじゃがいもに串を打ってフライにする。
食べる前に中濃ソースやウスターソースを掛けて、どうぞと提供される。
極めてシンプルなおやつ。
とても素朴なおやつだけど、量を用意すればご飯のオカズにもなりえる逸品。
これの由来は諸説あるそうですが、よく言われるのが、ブラック企業とタメを張れるレベルのブラック労働をさせられていた、女工さんのおやつとして始まった説。
つまり休憩時間はほとんど無い忙しい仕事なので、少ない休憩時間中にお腹に何か入れたいなぁと思っても難しい。
そんな時にパッと作れて食べられる物として、考えられたとか。
由来は置いといて、前にテレビで紹介された時、芸人がよくやる食べる前に悪めの事を言って、食べたら「うまい」の流れをするためでしょうが、言われたのが強く記憶に残っています。
「じゃがいもにソースを掛けただけの味だろ?」
……そうなんですけどね?
そうなんですけど、だからこそ旨いんですよ。
ご存知ですか?
火を通したじゃがいもを潰して、塩コショウを掛けて混ぜて形を整えて、フライにした料理。
ええ。 じゃがいもだけのコロッケです。
掛けるソースには塩コショウが入っているでしょうし、ほぼ同じ物なんですよ。
なのにアッチは「素朴で懐かしい味」「食べるとホッとする」とか言われて。
なんでしょうね、この扱いの差は。
…………知名度とか、後ろ盾の差? なんだろ?
まあいいや。
実はいもフライには、普通に溶き卵・小麦粉・パン粉で揚げるフライ以外にも、衣があったりします。
天ぷらみたいに溶いた小麦粉とパン粉。
こっちのは揚げ色がキレイに映えます。
食感もサクサクで軽くて、一口サイズのじゃがいもにしていると、まさにいくらでも食べられるおやつ。
じゃがいものほんのりした甘さをソースがグッと引き出してくれて、ほんのり甘くしょっぱいおやつ。
揚げたてホクホクのじゃがいもと、サクサク小気味よい衣の音で“食べてる”感を演出してくれる、最高のおやつ。
…………なんですが、フライって揚げたてが最高! って言われますよね?
実はいもフライって、揚げたてじゃなくても旨いんです。
ソースの味ってパンチが強いんですよ。
それでそのソースのパンチをもらって、むせてしまったりするのは注意。
でも、天ぷらの衣みたいないもフライを出しているお店で知ったのです。
十数分置いたモノも、旨いんです。
その頃を過ぎると、掛けられているソースのパンチ力が無くなります。
ええ。 いもフライとソースが馴染んで、調和のある旨さが感じられます。
ソースで湿気ってフライの衣のサクサク感が無くなる?
ご安心下さい。 十数分置いただけなら、まだ十分にサクサクしています。
揚げたてのガツンとした旨さも良いですが、仲良く手を取り合った旨さもまた良い。
冷めてしまったいもフライをレンジで温めても、サクサクはほとんど残っていないですが、似た感じになります。
むしろ揚げ物のサクサクが苦手な方なら、こっちの方が好きになるかも。
昔、面白そうだからと買ってみて、ソースの強さに負けた観光客の方が居りましたら試してみて下さい。
掛かったソースは少し置くと優しいソースの味になると。
そんな訳でして、
(フライにしたじゃがいもに)ソースを掛けただけなのに……
うまい! テーレッテレー!(某練るお菓子並の感想)
旨いんです。 それをただ、言いたかっただけでした。
もし、いもフライがある栃木南西部に行った際には、この2種類の食べ方を試してみて下さいませ。
注∶作中で書いた天ぷらの衣みたいないもフライを出しているお店は、取材お断りですので、名前は出せません。
その店はお年を召した方が経営しており、これ以上お客が増えても対応できないのが理由だそうで。
ですので感想としてその辺を訊かれましても、返答は致しかねます。 ご了承下さい。
それと天ぷらの衣みたいと言いましたが、見た目がそうなのであって、溶き卵が入っているとか何か工夫がされているとか、そう言うのが有ると思いますが自分には分かりません。
ですので、言ってた通りにならない! と言われても、自分ただひたすらゴメンナサイとしか……。