プロローグ
初めての投稿です。
青い空、白い雲、生い茂る草や木
久しぶりに外に出て、全力疾走したらどんな気持ちになるんだろうか
疲労感はあるだろうけれど、さぞ爽快なんだろう
嫌いなものに追われてなければ!
「ぅうおおおおおォォォオオオオオ!!!」
現在、彼は軽トラ並みの巨大なカエルから全力で逃げている。
何故こんなことになっているかというと遡ること10分前、全てから逃げたいと願望していたときだった。
洋室12.50㎡、ベッド、クローゼット、ワークデスク、エアコン、それに分けられてトイレと洗面器が一緒に付いてる部屋。
一人部屋で窮屈なく、朝と夜は食事がついて大浴場と個室のシャワールームが完備されている。
14階建ての寮に住んでいた。
今年で20になり、春には大学2年になる谷口魁梛は部屋でカーテンを閉め外界への現実逃避をしていた。
「うわぁ、終わったわ…」
中の下の高校では成績が上から数えた方が早かったため、少し上の理系の大学に推薦で入れた。
高校も推薦で入ったため、勉強を真面目に取り組むことはなかった。
だから、大学の勉強が追い付かなくなり単位を落としまくり、2年には上がれても3年時には必要な単位数には届かないことを既に理解してしまった。
故に絶望していた。
「いや、まぁ…努力しなかった俺が悪いんだけどさぁ」
家は裕福ではないし3人姉弟で、姉は働いているが今年から弟も専門学校でお金に余裕はない。
魁梛も助けるためにバイトして寮費だけでも払おうと思ったが悉く落とされる。
高校でバイトしてあったお金は、入学費でほとんどなくなり、今では助けるどころか端から見れば甘えてるようにしか見えない。
大学では部活に勧誘され、断ることが出来ず週4で部活をしていた。
だが部活は楽しかったし両親にもやりたいことをしなさいと言われて充実した大学生ライフを送っていた。
だから、この1年勉強に本気で努力しなかったため結果が最悪だった。
魁梛は努力といえる努力を19年生きてきた中でそんなにしてこなかった。強いてあげるなら3つ位だけ。
中でも1番努力していたのは4歳くらいからしていたサッカーだった。小学生のとき選抜チームに選ばれたり中学ではクラブチームに入り自分でも上手かったと思えるくらい周りからも認められてた。
しかしあることがきっかけで魁梛はサッカーから逃げた。
そして今回も逃げようとしていた。
「はぁ、どうしようか…留年決定かぁ…」
留年が決定してしまった時点で、魁梛は寮の自分の部屋から食事、風呂以外で約1ヶ月外に出ていなかった。
そして寝るまでずっとスマホを使っている。そうでもしてないと気が紛れないからである。
ピロン!
スマホに1通のメッセージが来た。
「……母さん」
今日は雪が降ったよ!
魁梛のとこはどうかな?
風邪引いてない?((〃´д`〃))
3日に1度は必ず母からのLIHEが来るが、最近魁梛は既読するだけで返事を返すのが極端に減っていた。
こっちも降ったよ
大丈夫だよ
今日は返そうと思いしてみたが、以前のように和気あいあいのようには出来なかった。
魁梛は家族が大好きなのだが今は家族とLIHEすることさえ嫌になっていた。
そうなんだね!
いつ、帰ってくる?
パパが心配してたよ
「父さん…」
いつもならすぐに帰るよ!と連絡するところが今回はなにも返そうとすらしなかった。
スマホの右上の時間を見てそろそろ夕食が出る時間になっていた。
「そろそろ食堂に行くか…」
ベッドから起き上がり食堂に向かうため8階から1階にエレベーターで降りてる最中に魁梛は願った。
(どうか、過去に戻ってやり直したい…)
いつものように現実逃避していた。
(いや、全てから逃げて異世界に行きたい)
それを願った瞬間、全てが止まった。
ガクン!
「えっ!、停電!?」
初めての経験で魁梛は焦った
「ちょっ!、エレベーターも止まってる!」
次の瞬間、魁梛はフワッと浮いた感覚に陥った。
「っえ、」
間抜けな声を出したときには、エレベーターの底がなくなったかように魁梛は暗闇へと落ちていった。
読んで頂きありがとございます。