もうすぐ卒業
「あぁ」図書室を背に彼から憂い声。「もうすぐ卒業かぁ」
「やっと卒業ね」彼女は晴れやかに、「待ちに待ったわ」
「嬉しそうだね」彼は口を尖らせて、「ちょっとは惜しんでくれないかな」
「どうして?」彼女は小首を傾げ、「待ちに待った卒業式よ?」
「離れ離れになるんだよ?」心外そうな彼の顔。「僕の志望、知ってるだろ?」
「そりゃ」彼女は口を尖らせて、「確かに遠いけど」
「なのに」彼がぼやきを噛み潰す。「友達のままなんて……」
「……って」彼女が顔を曇らせる。「考えてないの?」
「え?」彼に怪訝顔。「何を!?」
「楽しみにしてたのに……」上目遣いに彼女が呟く。「……第二ボタン」