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計画94

その日の満月がとても美しかったのをビオラは覚えている。

12歳の誕生日の今日、ビオラは子供を産める体へと成長した。

この事実を母親に知らせると、誕生日と並行して家族の間でパーティが開かれた。

あの日の父親と母親の嬉しそうな笑顔を今でもビオラははっきりと覚えている。

だが、あの日を後悔もしている。

子供を産めることを家族皆に知らせてからと言うもの、時々視線を感じるようになったのだ。

いやらしく、ねちっこく、体のほくろの数まで把握しようとする粘着質な視線。

特に1人になるタイミングで感じることが多かった。

恐れたビオラは父親に頼み、次の日から何処へ行くにも護衛を付けるようになった。

護衛を付けてからは視線が余り感じなくなり、ビオラの中で緩みが生じてしまった。

それが悲劇を呼んだ。

それはビオラにお見合いの話が来た時だった。

父親は早速話を取りつけ、すぐにでも面会するように促してきた。

もちろんビオラに拒否する理由もなかったことから受けることにした。

この時のビオラは順風満帆で、何の障害も無かった。

だがその日の晩、寝室で寝ていたビオラは顔に何かを被せられた。

驚いて起きたビオラは逃げようともがいたが、上から力で押さえつけられて思うように動けなかった。

逃げようともがくビオラを無視して、生ぬるいものが首を舐めたのだ。

その瞬間、とてつもない恐怖がビオラを襲い、動けなくした。

おとなしくなったことを観念したと勘違いしたその人物はネグリジェ乱暴に剥ぎ取り、露になった小ぶりの果実を執拗に舐め続けた。

その行動はビオラに恐怖と不快感を与え続けた。

しばらく舐め続けて満足したのか、手が下腹部を触り始めた。

『あれ?濡れてないぞ?感じていないのか?』

聞き覚えのある声にビオラは戦慄し、切り裂くような悲鳴を上げた。


「この悲鳴のおかげでビオラ様は犯されずに済み、3番目のお兄さんが駆け付けた騎士たちに取り押さえられたんだよ。」

同じ女性として嫌悪を感じているのか、声に少しだけ怒りが籠っている。

「じゃあ、3番目のお兄さんは捕まったんだよね?」

「それがそうじゃなかったんだよ。」

(何で!?)

「ど、どうして?」

「実はその後、3番目のお兄さんは命令されて仕方なく行動したって証言したんだよ。」

(ホワ~イ?)

「そんな言い訳が通じちゃうの!?」

「大きかったのは当時の3番目のお兄さんの許嫁の証言さ。お兄さんが犯そうとしていた時、自分は囚われていて犯人がお兄さんに命令していたのを覚えているってね。」

「そんなの嘘に決まってるよ!?」

「僕たちもそう思っているよ、今でもね。でも、実際にお兄さんの許嫁を監禁した犯人は捕まり、お兄さんの証言をすべて認めているんだ。」

(なん・・・だと・・・。)

「だから国王もお兄さんに罪はないと。」

「じゃ、じゃあビオラさんは?」

「その日以来の男性嫌いだよ。だから見合いの話も無くなって、相手方を怒らせてしまい、実質の王位権の剥奪につながってしまったという訳さ。」

(なにそれなにそれ!?そんなのおかしいじゃんか!)

「だからこそ、私たちの間では3番目のお兄さんの暗殺にビオラ様が関わっているんじゃないかって思っている者もいる訳さ。最も、悪い意味で噂しているわけじゃない。むしろ当たり前の処罰だと僕は思っているよ。」

(ん?だとしたら変だぞ?それじゃあキクリに話す必要ないし、調べろという命令も必要ない。関わったのなら別の犯人をでっちあげろというほうが正しいよな?ということは・・・。)

「ビオラさんは関わっていない?」

「え?ルー君今なんて言ったんだい?」

「え?あ、その、あの・・・じ、実はビオラさんが白ワインを調べるように言っていたのを思い出したんだ。」

「何だって!?それは本当かい!?」

「う、うん・・・。」

ククリは頭の中を整理し、冷静さを取り戻すように頬を軽く叩く。

「確かに僕も少し気になるところがあったんだ。」

「え?何が?」

「ルー君は知らないと思うけど、今この国では外に出て行くことが困難な状況なんだよ。」

(何ですと!?)

「全ての城壁の大門には騎士たちが常駐していてね。厳しい審査を通ってようやく外に出て行けるんだ。」

(それが事実なら僕の脱出計画がががが。)

「それなのにこの国へ入る審査はかなり緩いんだ。」

(ん?なにそれ?)

「変だろ?普通厳しくするなら両方だろ?これじゃあまるで中に引き入れようとしているみたいなんだ。」

(確かに変かも?でも、う~ん・・・どうなんだ?)

頭を悩ませていると、優しい感触が頭を撫でてくる。

「ごめんね。ルー君には難しい話だし、暗い話だったね。」

「え?あ、いや、その。」

「この話は終わり!さぁ、仕込みをやるから手伝ってくれるかい?」

ククリの笑顔にこれ以上の話は聞けそうにないことから言う通り仕込みの手伝いをする。

頭の中では、第3王子暗殺事件の真相を考えながら。



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