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計画8

それから1時間ほど父上の思う奴隷制度について話しを聞いていた。

だからだろう、少し視界が歪んできた。

「最後になルー。さっきも話した貴族の暗黙のルールにも奴隷に関してあるのだ。」

おっと貴族の暗黙のルールが早々にまた聞けるとは。

そういえば貴族が罪を犯すと、表沙汰にしないように秘密裏に奴隷になることもあるんだっけ?

「いいかルー。産まれてすぐに奴隷になることはないんだ。産まれて捨てられてその子供は初めて奴隷になる。奴隷になると、人権はない。だが、言い換えれば人権が戻れば奴隷ではなくなるのだ。」

え!?それってつまり・・・。

「わかるか?貴族の者が罪を犯すと一度奴隷になる。だが、すぐに人権を買い取るんだ。そうすればその者はまた奴隷から貴族に戻れるのだ。それで罪もなくなる。これが貴族の暗黙のルールなんだ。」

なるほどな。

ますますこの奴隷制度は意味がほとんどないものだな。

父上の言うことが現実であるならば、貴族の罪はほとんどないようなもんだ。

それこそ、国外追放とかの重い罪でもない限りな。

ん?ちょっと待てよ?

てことは、貴族の中には罪を犯している者がいることを肯定してるんじゃないか!?

や、やべぇ。

「だからパパは奴隷制度は無くすべきだと思うんだ。こんな穴だらけの制度、意味がないと考えている。それこそ極端な話、罪を犯した者は全員、炭鉱夫になって働くべきだと思う。そうすれば炭鉱夫の人員不足も解消されるだろう?」

確かにその通りだな。

炭鉱夫の方がよっぽど罰になるしな。

そういえば、貴族が炭鉱夫になったことは・・・ある・・・の・・・だろう・・・か?

ここで僕の意識がシャットアウトしました。

はい、のぼせましたね。

「今、パパは国王と奴隷制度についていろいろ議論をしているんだ。国王にも思うところがあったそうでな。国王がパパと同じ気持ちだったのはとても嬉しいんだ。だから今度のルーのパーティにも国王自ら来てくれることになって至上の喜びを・・・?ルー?ルー!?」

僕は急いで引き上げられました。

慌てて駆け付けた母上や姉上、ミリアがとっても心配していたそうです。

え?父上はって?

もちろん、母上に叱られていましたし、しばらく母上は姉上と寝るそうです。

父上は絶望の顔になったそうです。

あと、次の日目覚めたら父上が土下座していました。


心配性の母上に諭されて2日間、軟禁状態でした。

そんな次の日です。

僕はようやく母上の許しを貰い、ミリアと共に館探索に出かけることにしました。

「ここが坊ちゃまの大好きな本がたくさんある図書室です。」

うん、知ってる。

でもそんなことは言いませんよ?

だってミリアの笑顔が可愛いですからね。

「ここにある本は自由に読めますが、一応旦那様に許可を貰わねばなりません。」

「うん。そういえば、この図書室にあるあの扉の先には何があるの?」

「あそこにはこの領地に関する資料が山ほどあります。あの部屋に入ることが許されているのは旦那様を覗くと、お2人だけです。奥様とお嬢様です。」

「あれ?兄上はダメなの?」

「ルクス坊ちゃまはダメというより興味がない感じですね。お嬢様は旦那様にお願いして許可を得たのです。あの時は驚きました。8歳のお嬢様が頭を下げて旦那様にお手伝いしたいと懇願したんです。旦那様は衝撃すぎて嬉しそうな顔で泣きながら気を失っていました。」

うん、器用だな父上。

てか、姉上は8歳から父上の手伝いと称した領地に関する仕事をしているのか。

つまり3年後に僕が手伝ってるってことだろう?

すごいな。

僕の中の姉上尊敬ポイントが上がりましたよ。

「坊ちゃまも興味がおありなら旦那様にお願いしてみてくださいね。」

「は~い。」

といっても僕にできることなんてないだろう。

頭が良いと言ってもそれはあくまで今の年にしては程度だし、何より自分は前世の学校でも成績は波ぐらいだしな。

まぁ、今世は努力すれば天才になれるようにはしてもらってるけど、僕の夢にはあまり必要ないかな。

第一、この領地は長男である兄上が治めるだろう。

もしくは姉上かな?

ん?そういえば、兄上が治めた場合、僕はどうなるんだろう?

後で父上に聞いてみよう。

そんなことを考えながら、ミリアと僕は図書室を後にした。


次は食堂に向かう。

ただ、道中黙っているのも少し気まずいので父上に聞けないことを聞いてみる。

「ねぇミリア。」

「はい何でしょうか坊ちゃま?」

「僕の家には奴隷はいるのかな?」

「いません!」

キッパリと言われて驚く。

「坊ちゃまはご存知かどうかわかりませんが、旦那様は奴隷制度が嫌いです。この町から奴隷制度を無くしてしまったほどです。ですので、奴隷はこの領地にはいません。例外があるとしたら、この領地に訪れた他の貴族が連れてきていることぐらいでしょう。」

ハキハキと早口で言う。

「そうなんだ~。」

何か怒ってるのかな?

もしかしてミリアも奴隷制度が嫌いなのかな?

あまり聞かない方がいいかもしれないな。

他のことを聞こう。

何かな?

・・・そうだ!

「この前聞いた炭鉱夫のことなんだけど、炭鉱の町ってこの近くにもあるの?」

「この近くですか?ん~そうですね~近いかどうかはわかりませんが、旦那様が王国に向かう際に炭鉱の町を通りますよ?そこ以外は遠い場所しか知りませんね。」

「へ~そこを通らないと王国には行けないの?」

「そんなことはありませんよ?むしろ遠回りです。」

「じゃあなんで?」

「近い道を通るには山を越えなければなりません。その山は山賊が根城にしているという噂があります。」

「山賊!?山賊何ているの!?」

「あくまで噂ですよ。実際に山賊を見た人は私の知る限りいません。それでも旦那様は安全優先で、炭鉱の町を通っているんです。」

「へ~。」

今聞いたことは頭の片隅に置いておこう。

それにしても山賊か。

考えてもみなかったな。

山賊がいるということは、盗賊や海賊もいるのかな?

海賊はもしかしたら関わるかもしれないから少し調べてみよう。

だって僕がいるのは港町だからね。



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