表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/135

計画7

僕は次に奴隷について聞くことにする。

そう言えば、僕のいるこの館にも奴隷はいるのだろうか?

今のところ奴隷の首輪っぽいものは見たことないなぁ。

てか、奴隷の首輪ってどんなのだろう?

ついでに聞いてみよう。

そう言えば、僕は館の全てを回っていないなぁ。

もしかしたら奴隷もいるのかもしれないな。

ていうか、5年間もいて館の全てを知らないというのは少し問題があるかな?

明日からは色々と見て回ろうかな。

そんなことを考えながら聞いてみる。

「パパ、奴隷について・・・。」

“奴隷”という言葉を聞いた瞬間雰囲気が変わる。

顔は険しくなり、握った拳は震えている。

「・・・聞いてもいいですか?」

えっと、パピィ?

子供にまだ見しちゃいけない顔になってるよ?

何だろう?

初めて見たかもしれない。

父上の怒った顔。

「・・・パパ?」

ハッとなり、顔を軽く洗って笑顔を作る。

「何だいルー?」

「いえ、その、聞いてはいけませんでしたか?」

「い、いや、そんなことはないのだが、その、なんだ、ルーは奴隷についてどこまで知っている?」

僕は今日読んで覚えたことを話す。

「そうか。ルーは頑張り屋だな。偉いぞ。」

「えへへ。」

「では、そのことを踏まえたうえでルーは奴隷についてどう思う?」

どう思う?

そんなの単純に炭鉱夫より罪が軽いんだなぐらいしかないんだけど?

でも、それだけだったら父上はあんな顔しないよな?

何だろ?

・・・そう言えば、最初に読んだ時になんか懐かしさを感じたんだよな。

何でだろう?僕のいた世界に奴隷なんて過去にしかいなかったと思うけど・・・。

・・・あ、そうか。

「ペットみたいだ。」

「え?」

「あ、いえ!えっと、その、そう!奴隷って罪を犯した者がなるのはわかるんですけど、両親に捨てられた者がなるのって何でだろうって思いました!」

「そうなのだよルー!」

ガバッと肩を掴まれる。

「やはりルーもおかしいと思うよな!?」

「は、はい。」

「だが、そもそもこの国の奴隷制度は良くないと私は思っている。」

「そうなのですか?」

「ああ。まずさっきも言った通り、両親に捨てられた者が奴隷になるのはおかしいと思うのだ。子供は親を選べない。親の都合で子供を捨てておきながら両親はのうのうと生き、子どもは奴隷として生きていく。おかしな話じゃないか!」

確かにそうだな。

親の都合で捨てられた子供が奴隷になるのは確かにおかしい。

あれ?そういえば捨てられた子供はどこに行くんだろう?

奴隷は奴隷省を通して奴隷商に引き渡されるけど、捨てられた子も一緒なのか?

この世界には孤児院みたいなものはないのかな?

「パパ、捨てられた子はどのようにして奴隷になるのですか?」

先程よりも険しい顔だな。

そんなに酷いのだろうか。

「・・・3通りある。」

「3通り?」

「ああ。まず、親が奴隷商に連れて行き、引き渡す。」

ふむふむ。

「教会に捨てて、役人が引き取りに行く、もしくは神父が奴隷商に連れて行く。」

はぁ~。

「1人で生きていたところで捕まる。主なところはこの3通りだな。」

なるほどな。

そう考えると胸糞悪いな。

捨てられた子は大人になるまでどうあがこうと奴隷になるしかない。

奴隷になったものは大人になっても奴隷になるしな。

ん?だから奴隷は家族の様に扱うのかな?

だとしたらこの国も見捨てたもんじゃないな。

「次にだルー。奴隷は家族の様に扱うというのもおかしいとは思わないか?」

あれ?

父上はこれもおかしいと?

なぜ?

・・・そうか!

奴隷に危害を加えたなら罪に問われるということは裏を返せば奴隷には何もできないということか!

「子供のうちに奴隷としての教育を受けた者はまだいい。だが、犯罪を犯した者が奴隷になり、奴隷として働かそうとして危害を加えられたなんて言われてしまったら、こちらが確実に悪者になってしまう。おかしいだろう?」

「確かにそうですね。」

そう考えると、どんどん破綻していくなこの制度。

もう少ししっかりと考えないといけないな。

「だからといってパパは子供を奴隷にすることも気分が良くない。子供は伸び伸びと成長していくべきだ!」

・・・いい父親だな。

僕もこんな父親になりたいな。

「だからパパが治めているこの町では子供たちを育てる施設を考えているんだ!」

その言葉ぶりから察するに孤児院は無いのだな。

なら僕の前世の記憶が役立つかな?

だけどリスクがあるか?

「子供たちにそれなりの教育を施せば、自分でやりたいことも夢も目指せるだろう?」

「うん!」

「だからパパは頑張るんだ!ルクスが産まれてそう思うようになったんだ。」

「それまでは違ったんですか?」

「いや、それ以前からも奴隷制度に関して言えば良くは思わなかった。だから子供などいらないと思っていたんだ。そんなパパを変えてくれたのがママだ。ママに出会い、恋をし、結婚をして可愛い子供たちを授かって今のパパがいるんだ。だから、パパは生涯をかけてママを愛し、ママに感謝して行こうと決めたのだ。」

親の鏡です父上。

「パパはその為に頑張るんだ。ルー、お前は頭のいい子だ。マリネにも負けていないぞ。だからもっと大きくなったらパパと共により良い町を作って行こうな。」

「はい!」

「よし、話が逸れたな。まだまだパパは奴隷については言いたいことがあるんだ。付き合ってもらうぞ!」

「は~いパパ。」

のぼせない程度に頼むぜパピィ!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ