計画6
僕は婚姻について詳しく本を読みました。
かなり細かく書かれているのでここでは省略します。
結論から言うと、ラブラブである限りは問題ありません。
愛が冷めきってしまった瞬間が最大の危機です。
いや~この国は情熱の国ですね。
だって、夫が妻を殺すことは重罪だけど、妻が夫を殺すことは軽い罰金でいいんだもん。
僕はそっと本を閉じた。
現実から少し目を逸らしたくて窓の外を見る。
この世界の男はつらいよ。
まぁ僕の場合、妻になる人は男の心がわかる娘さんですけどね!
あ~早く会いたいな麗しの君。
現実逸らしのついでにミリアにもう少し色々聞いてみよう。
「ミリアは結婚してるの?」
「え!?私ですか!?わ、私はその、何て言いますか、あの、し、仕事が夫です!」
悲しいぞミリア。
それほど魅力にあふれているのに。
「じゃあ婚約もしてないの?」
「あ、そ、その、えっと・・・はい。」
諦めたように俯く。
悪いことを聞いたかな?
よし、子どもらしく慰めよう。
「じゃあ僕ミリアと結婚する!」
どうだ!
子供らしいだろう?
我ながら上出来じゃないか?
うんうん。
・・・うん?
チラッとミリアを見ると、耳まで真っ赤にしてフリースしてる。
あれれ~?
「ミリア?」
呼びかけられ、返事をしようとしているのだろうか?
口をパクパクと動かすだけである。
少し面白い。
「ミリア?」
「ぼ、坊ちゃま!?」
突然大きな声をだされてビックリする。
「は、はい?」
「わ、私のような行き遅れの魅力無しなど、坊ちゃまの妻になる資格はありません!?」
うわ~この子本気で言ってんの?
綺麗な長い黒髪に可愛い小さな顔。
小柄だけど、主張するところは主張している。
特に胸が大きい。
穏やかな性格で母性に溢れた14歳。
これのどこが魅力がないと?
その年で行き遅れだと?
あのね~ミリアさん、あなたのその言葉、暴力ですよ?
魅力がある人が魅力がないというのは、言葉の暴力です!
自分に自信がないのはわかるけど、あまり悲観的過ぎるのもどうかと思うよ?
ミリアは魅力にあふれた女性です!
自信が持てないのなら、僕を信じなさい!
いいですね?」
「・・・はい。」
ん?
はい?
チラッと見ると、ミリアは全身真っ赤である。
・・・え?
もしかして・・・。
「み、ミリアさん?」
「はい!?」
「ぼ、僕は何を言っていましたか?」
「き、綺麗な長い黒髪に、か、可愛い小さな顔・・・。」
・・・マァジ?
僕、最初から言葉にしてしまってた?
や、やべぇ。
「ぼ、ぼ、ぼ、坊ちゃま!?」
「はい!」
「あ、あ、あ、あ、あ。」
あ、ゆでだこ。
「し、失礼しましゅ!?!!?」
駆け足で僕の部屋から出て行きました。
はい、後で説教かも。
その後、ミリアに会うことなく夕ご飯を食べて、パパとお風呂です。
お風呂の広さは八畳ほどだけど、普通のお風呂です。
宮廷とか旅館のようなお風呂ではありません。
湯船につかりながら父上に聞きたいことを聞く。
「あの父上?」
ザッパァン。
ザッパァン?
横を見るとそこには土左衛門がっておーい!
またかよ父上。
はぁ~まったく。
「パパ大丈夫?」
「ハハハ。心配ないぞルー。天使のような声で死の宣告をくらっただけだ。気にするな。」
それはいよいよ末期ですぜ父上。
まぁこれからは本格的に気をつけよう。
いつ僕は父上と呼べるんだろう?
「本を読んでいてわからなところがあったので少しお聞きしてもよろしいですか?」
「うむ。いいぞルー。なんでもパパに聞きなさい。」
「実は婚約破棄について何ですが・・・。」
ピクッと父上の眉が動く。
「婚約破棄は貴族社会の暗黙のルールで男性からはしてはいけないと知りました。なぜなのでしょうか?」
「うむ。」
父上は言うか言わないか思案し、覚悟を決めたらしい。
「少し、昔話になるがいいか?」
「はい!」
ニッコリと笑って父上は語りだした。
今から200年前、貴族の男性に恋をした王族の女性がいた。
王族の女性は貴族の男性に猛アタックしました。
その気持ちに応える覚悟を決め、貴族の男性はお願いをしました。
1.騎士として勤めを果たさせてほしい
2.自分の家族と仲良くしてほしい
3.子供をたくさんほしい
という願いだった。
王族の女性はそれを快諾し、晴れて婚約をしました。
しかし、王族の女性は嘘をついてしまったのです。
生まれつき体の弱い王族の女性は子供が産めない体だったのです。
そのことを知って激怒した貴族の男性が、婚約パーティで王族の女性に婚約破棄を言い渡したのです。
王族の女性は涙を流しながら許しを請いましたが、貴族の男性は許しませんでした。
悲しみの末に王族の女性は自決しました。
そのことに激怒した国王は貴族の男性を処刑し、一族を国外追放にしました。
その光景を見ていた当時の貴族たちの間でルールができた。
そのルールが“王族との婚約破棄はしてはならない”というものである。
そのルールが貴族たちに広まり、暗黙のルールとなり、時間をかけて変化し、“男性からの婚約破棄はやむを得ない場合を除いて禁ず”となった。
「これが貴族社会の暗黙のルールだよルー。この他にも暗黙のルールはあるが、もう少し大きくなってからにしような。」
「はいパパ!」
流石だぜパピィ!
あんたについていくぜ!
僕は次の質問をすることにした。