計画4
次の日の朝ご飯はクロワッサンに目玉焼き、レタスサラダにコンポタージュです。
飲み物はコーヒーか紅茶かミルクのどれかです。
正直コーヒーが恋しいですが、この年でそれは違うと思うので僕はミルクです。
僕が目玉焼きを頬張ると。
「そういえばお父様。パーティーの準備は順調ですか?」
「う~む。あまり芳しくないな。」
「どうするのですか?あと二月もありませんよ。」
「そうなのだがな~。」
父上が難しい顔をしながら腕を組む。
約2カ月後といえば僕の誕生日である。
つまりパーティーとは僕のお誕生日会のことだろう。
なぜそんなに悩むのだろうか?
僕は気にせずレタスを頬張る。
「どのくらい準備は進んでいるのでしょうか?」
「概ねセバスに手配したが、招待客の方は全く決まっていないのだよ。はぁ~。」
「それは困りましたね。どなたも予定が合わないのでしょうか?」
「いや違うのだよリリス。」
父上は言葉に詰まる。
僕は気にせずクロワッサンをコンポタージュにつけながら食べる。
「では、どのような?」
「うむ。ルーとお会いしたいという方が多すぎてな。誰と合わせるかをセバスと共に熟考を重ねているのだよ。」
「まぁ!それはかなりの重大な問題ですね!あなた!」
「うむ。」
「場合によってはルーの婚約者が決まってしまいますもんね。」
ブーっと心の中で吹きました。
表面上は吹いてないよ?
やばかったけど。
てか、この年でもう婚約者かよ!
はえーなおい。
いやちょっと待て!
何で誕生会に来賓客がいるんだよ。
去年は館内で家族と使用人たちでやったじゃん。
僕は気にしたそぶりを見せずにミルクを飲む。
聞き耳はしっかりと立てていますよ?
「そうなのだ。正直数が多すぎてな。」
父上は困っている様子。
「まぁルーですからね。」
「うん。ルーなら仕方がないわ。」
「ルーだしな。」
おいお前ら。
俺を何だと思っている。
僕は食事を終える。
「ごちそうさまでした!ミリア行こう!」
「はい坊ちゃま!」
僕はミリアと共に自室に戻ることにする。
だって運命は決まってるしね!
「ねぇミリア?」
「何でしょうか坊ちゃま?」
僕は部屋について早々、ミリアに疑問に思ったことを聞く。
「なんで僕の誕生パーティーなのにお客さんを呼ぶの?」
「うふふ。それはですね・・・。」
ミリアが話してくれた内容をまとめるとこういうことである。
貴族の子供は5歳の誕生日にお披露目会、つまり領民にお姿を見せるのだそうです。
領民は皆で貴族の子供の誕生を祝うそうです。
これは僕がこれから外に出るときに、貴族の子供だと分かるようにという思惑もあるそうです。
また、夜には貴族や王族にお披露目をするそうです。
そこで横のつながりや将来のお相手を探したりするそうです。
もちろん見つかることもあれば見つからないこともあります。
ですが、15歳になった年の王族主催のパーティーでもお相手が見つからなかった場合、落ちこぼれ貴族の判が押されてしまう危険性があるそうです。
なぜと聞くと、それだけ魅力がない、もしくは有益な相手ではないということだそうです。
さらに言うと、悪だくみを考えている者も少なからずいるので、そこも気をつけないといけないらしい。
一般的には王族の申し出は断れないそうだが、例外もあるそうです。
まぁ父上がこの国の王様は素晴らしい方だと以前に言っていたので王族に関しては問題ないと思う。
問題があるとすれば貴族の方なんだろうな。
断ったら断ったで良いイメージにはならないもんな。
怖い世界である。
僕がそんなことを考えていると、ミリアがこそっと教えてくれる。
「実はここだけの話なんですが、以前のマリネお嬢様のパーティーの際、結婚を申し出た貴族がいてですね。その貴族が強引に進めようとしたからお嬢様の重い一撃がヒットしまして・・・。」
わーお。
「騎士がたくさん出てきて怖かったのですが、国王様の一声でその場は収まりました。」
「え?王様が来たの?」
「はい。実は現国王様は大の魚好きで、旦那様とはとても仲良くしてらっしゃるんですよ?そんなこともあって旦那様はこの国の貿易を担当しているのですよ?」
すげーぜパピィ!
「うふふ。実はルクス坊ちゃまはお姫様と婚姻も結んでいるんですよ。といってもルクス坊ちゃまは全く気にした様子が無くて、いつもお姫様がかわいそうでなりませんが・・・。」
おっと名前が出たので本人はいないが紹介するぜ!
ルクス・リア・マカベルグ14歳。
この家の長男であり、僕の兄上である。
サラサラの金髪ヘアーに紅い瞳の細マッチョなイケメンである。
セバスの剣裁きに憧れて王国騎士団に志願したのである。
現在は王国騎士養成学校、通称“ロイヤルナイツ”にて寮生活である。
時々帰ってきては、遊びと称して剣の稽古をつけようと何度も筋トレに付き合わされてます。
まぁ必要だと思うので文句は言いませんが、その度に姉上と言い合いになるのはどうにかしてほしい。
ちなみに姉上はこの町にあるスクールに通っています。
姉上の頭脳があれば王国にあるスクール、通称“カタントリアスクール”に通うことも可能だったそうです。
じゃあ何でって?
理由は僕です。
これ以上の言葉はいらない。
ついでにスクールの話題が出てきたので簡単に触れておく。
スクールとは学校のことである。
基本的に6年制で、2年間基礎的なことを学んだら残りの4年間は自由に選択できるそうです。
スクールには大きく分けて4つあります。
1つ目は普通のスクールで、様々なことを学ぶことができ、自身の可能性を広げることができるそうです。
2つ目はロイヤルナイツで、騎士に必要なこと中心に学び、最後の1年間は実地訓練だそうです。
3つ目はカタントリアスクールで、基本的に貴族や王族が通うスクールです。
4つ目は冒険者養成学校、通称“ギルドスクール”。
なぜ冒険者?と考えそうだが、この世界の冒険者は僕の知っているものとは少し違う。
イメージ的には探検隊に近いです。
実は世界地図のようなものは無く、国で作られた地図しかない。
だから冒険者が旅をして、新たな交易をもたらすそうです。
父上が関わっている貿易相手の国も冒険者がもたらしたものだそうです。
以上がスクールでした。
僕はどのスクールに通うか今から楽しみです。
あ、ちなみにスクールに通えるのは12歳からだそうです。
意外に遅いよね。