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計画2

町に蹄の音が響く。

「おお。領主様だ。」

「領主様!」

領主は笑顔で手を振る。

領主マクス・リア・マカベルグ。

僕の父親である。

ハッキリ言おう。

この父親も詐欺である。

髪は僕と同じ茶色で天パ。

体は剣術で鍛えてあり、綺麗な細マッチョ。

髭は生えてなく、歯が真っ白に輝いている。

20代と言われても納得できるさわやかイケメンである。

これで40歳である。

ね、詐欺でしょう?

マクスは笑顔で自宅に向かう。

兵士たちも自信に満ち溢れている。

ここで、僕の住む町について軽く触れよう。

僕の住む町は海に面した港町である。

田舎町ではあるが、貿易や特産であるマグロで結構有名な町である。

時々貴族がお忍びでマグロを食べにくるそうです。

実際は知らないけど。


「領主様!」

男性が声をかける。

「おお!リガントか!今年は豊漁か?」

「ええ。それで是非!今日の獲れたてのマグロを食べて頂きたいのですが。」

「うむ。後で我が家に持ってきておくれ。」

「はい!」

マクスは笑顔で頷く。

「領主様!今日はなんだか嬉しそうだねぇ~。」

女性が元気よく声をかけてくる。

「女将か?クララは元気かい?」

「ええ。もうお転婆で困るわ。誰に似たんだか。」

「ハハハ。女将に似て元気なんじゃないか?」

「あら?やだわ。」

「ハハハ。」

「アハハ。」

2人は笑う。

「ところで何か良いことでもあったんかい領主様?」

「うむ。実は1日早く息子に会えるのだ。」

「あらまぁ!それはお子さんも喜ぶねぇ。」

「うむ。」

マクスは満面の笑みである。

「じゃあこれ以上邪魔しちゃ悪いねぇ。」

「ハハハ。すまんな。」

「いいんだよ!早く会ってあげなよ。」

「うむ!」

マクスは手を振って、その場を後にした。


館に蹄の音が聞こえてくる。

僕はその音に気付き、窓から外を見る。

父上とこの町の兵士たちだ。

相変わらず自身に満ち溢れてるな。

「どうしました坊ちゃま?むむ?あれは!」

「うん。父上が戻ったみたいだね。」

「な、なんか余裕な感じですね・・・。」

ミリアの笑顔が少し引きつっている。

「そんなことはないよ。すごく嬉しいもん。」

ニパッと笑う。

「そ、そうですよね!うんうん!やっぱり坊ちゃまも嬉しいですよね!」

「うん!」

実際にマジで嬉しい。

明日だった物が今日になるのだから嬉しいに決まっている。

しかも、これによっては今後の人生に左右する。

僕の将来にかかわる問題だ。

いや、わりかしガチ目にね。

コンコンッ。

僕が難しい顔をしていると扉をノックする音がする。

「は~い。」

バァン!

ミリアが開ける前に扉が勢いよく開けられる。

「ルーーー!!!」

開口一番に大声を出すマクス氏。

しかし顔は緩み切っていて頬が垂れ下がっておられる。

部屋で紅茶を飲んでいた母上も少々驚いている。

ミリアは驚きのあまり、尻餅をついている。

「ルーはどこだ?」

マクス氏はキョロキョロと部屋の中を見回している様子。

後ろでは(うち)のセバスが困惑している様子。

セバスとはこの世界でいうところの執事や秘書のことだ。

セバスの本名はクラメル・シークスである。

ところで皆は執事と聞いてどんな人を想像する?

優しそうな面持ちの細身の老人を想像するんじゃないかな?

僕もそう想像する。

だけど、クラメルは違う。

年は40代で優しそうな顔はしているが、筋骨隆々である。

もう一度言おう、筋骨隆々である。

いつ服が破けてもおかしくないぐらいの筋肉である。

正直に言おう、服が泣いています。

シークス家は代々王家に仕えている由緒正しい家である。

クラメルは王国の騎士団に所属していた。

確か第2部隊の隊長だったかな?

そんな人が何で家に?

と、前聞いてみたら豪快に笑いながら“旦那様の腕に惚れたからです”と言われた。

家の父上殿の剣の腕は王国の騎士団の隊長より上なのかな?

だとしたらなかなかすごいんじゃないか?

そんなことを思ってたら父上が僕を見つけて駆けてくる。

「ルーーーー!!」

満面の笑みである。

「お帰りなさい父上(・・)!」

ニパッと笑う。

父上、父上、父上、ちちうえ・・・。

おやエコーが聞こえたような?

ドサッ。

ん?

「だ、旦那様!?」

「あなた!?」

「旦那様!?!!?」

父上殿が泡を吹いて倒れてらっしゃる!?

いったい何が!?

誰が父上をこんな目に!?

・・・。

・・・。

・・・はい、犯人は僕です。

だって母上が僕のことを笑顔という名の脅迫めいた顔で見てるもん。

夫婦仲が良いのはいいことだけど、息子を脅すのはやめなさい。

仕方がない。

「大丈夫パパ?」

パパ、パパ、パパ、ぱぱ・・・。

またエコーが。

「ルーーー!!!」

ガバッと起き上がり、抱き着いてくる。

「パパ大丈夫なの?」

「ああ、問題ない。少しだけこの世の終わりを体感しただけだよ。」

さわやかな笑顔ですごいこと言ってる自覚があるのかなこの人?

聞いてみよう。

「パパ、この世の終わり(・・・・・・・)って何?」

「パパがいる限りルーには縁のないことだよ。」

父上は頬ずりしてくる。

髭がないから痛くはない。

というか父上の肌綺麗すぎない?

めっちゃすべすべしてるんですけど。

「えへへ。パパくすぐったい。」

「ハハハ。パパに“ルー成分”を補給させてくれ~。」

ルー成分って何だよ?

てか、しっかりと母上も僕の頬をスリスリしてるし。

そしてミリア、高速で同意するのはやめなさい。

ちょっと首が痛そうだよ。

セバスは涙を拭きなさい。

こんな2人が僕の今世の両親である。

とても愛してくれる僕にはもったいない両親である。



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