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47、入

式の後、ロビーで記念撮影になった。


最初は、親族だけの撮影だ。

俺の方は結局、クソジジイしか血縁者はいねぇから。

広瀬のジジイ、戸田のジジイ、青山のジジイが入ることになった。


だけど。


「ノリオ君、ヤスオ君、ノリおばさんもおじさんも入って下さい!シュウさんも、木村さんも・・・あ、椿ちゃんもっ。あ、養老軒のおじさんも!」


げ、養老軒も入るのかよ・・・そういや、血縁者もう1人いたんだっけ。


だけどよ・・・。

写真に入れっていわれた奴も、俺も戸惑ってんだけど?

だってよ、明らかに綾乃んとことはちげぇじゃねぇか、人種が。

でも、綾乃が泣きそうな顔で、訴えてきやがる。


「皆さん、丈治とは家族同様の方たちではないですかっ。」


そりゃそうなんだけどよ・・・。

なんて思いながらもまだぐずついていたら。


「そうです、皆さんお入り下さい。2人を祝福してくださるのでしたら。」


と、綾乃の親父さんが言いだした。

お袋さんも、笑顔で頷いている。

ま、まぁ・・・氷室の祖母さんは・・・まぁな?

だけど、綾乃が。


「タカちゃんもですよっ。」


そう言うから、俺も。


「おー、そうだ。お前、綾乃の幼馴染なんだろ?じゃあ、入れ、入れっ。」


そう言った途端、祖母さんが俺たちを見た。

木島は少し遠慮していたが。

祖母さんが。


「お入り。」


と言ったので、照れくさそうに加わった。


まあ、多分写真の出来は、笑えるほどきっちり線が引かれたように、どっちの身内かってわかるんだろうが。

それでも、嬉しかった。



なあ、綾乃。

俺ずっと。

俺を取り巻く、腐った環境にうんざりしてきたが。

思ったほど腐っちゃいなかったんだよな。

俺がひねくれた心で周りを見ていたから、そんな風に感じたんだよな?

お前が俺のひねくれた心を治してくれたから、俺は。

周りがどれだけ俺を思ってくれていたか・・・ダセェけど。

今更気がつくなんて、マジ、ダセェけどよ。

でも、気がつけてよかった。

んで。 出会った時、あんなさびしげな目をしていたお前が。

今じゃ、嘘のように毎日楽しく笑うようになって。

俺の育った街が心底好きだって思ってくれているんだって、俺がどんだけ嬉しいかわかるか?


なあ。

それって、俺の全部を好きだって言ってくれてんだよなぁ?


あんなクソジジイにさえ、懐いて。

住む所も隣にしろなんて、本当に俺がマイナスに思っていたこと全部肯定して受入れやがって。


んだよっ。

これじゃあ、まるで。


俺1人が、ガキみてぇに意地はってるみたいじゃねぇか。

はあ・・・しょうがねぇなぁ。


だから―――

俺の隣に座ったクソジジイに、俺は前を向いたまま声をかけた。


「おい。マンションの設計図、もうできたんだよな?」


「あ?ああ。先週、見せたじゃねぇか。」


「・・・・・変更、が、ある。」


「ああっ?今更か?」


「・・・おう。変更だ。」


「チッ。しょうがねぇなぁ・・・どこだよ、キッチンか?」


「・・・・全部だ。」


「ああっ!?おま・・・ふざけてんのかっ。」


「ふざけてねぇよ。俺らが住む最上階、2室・・・全部変更だ。」


「・・・・・・。」


「壁とっぱらって、キッチン、リビングを1つにして・・・・玄関ドアを1つにする。」


「・・・・・っ!!!!」




後日出来上がってきた、記念写真は。

予想通り、綾乃の親族と俺んとこで、見えない線がきっちりひかれたような出来だったが。


1つ、予想外だったのが。

いつも、憎たらしいくらいのポーカフェイスの野郎クソジジイが。

号泣の顔で、写っていたことだった――





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