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43、望

目が覚めたのは、結構日が高くなってからだった。

まあ、朝方まで散々・・・バレンタインのメインだって言い張る綾乃を美味しくいただいたからな?


つうか。

めずらしく、綾乃に起こされた。


「丈治!私、お腹がすきましたー。早くシャワー浴びて、ルームサービス頼みましょう。それから、丁度銀座ですし、お買物をしたいのですが・・・。あ、丈治・・・そう言えば、まだ携帯買っていませんでしたよね?ついでに携帯ショップへもいきましょう?」


「・・・・。」


びっくりだ。

綾乃は信じらんねぇくれぇ普段よりもテンションが高く、行動的な言葉の数々だ・・・。


「丈治?」


固まる俺に、綾乃が不思議そうに顔を覗き込んできた。

そして。



チュ。



うおっ。

朝から、軽いけどキスのサービスつきかよっ。

じゃあ、俺もお返ししねぇとなぁ?


そう思って、寝ている俺に覆いかぶさる様にのぞきこんでいる綾乃の後頭部をガシッ、と掴んで、ねっとり舌を差し込んだ。



で、結局。

朝から、また。

ヤっちまった・・・。


俺ってすげぇよなぁ・・・30過ぎて、中坊並みって・・・つうか。

まだできるし・・・。

ちらりと綾乃を見ると、ぐったりとしているから、まあ夜まで我慢すっけど?

俺も、鬼じゃねぇし?


「もう・・・丈治・・・。」


視線を向けていた綾乃が、けだるそうに瞳を開くと、抗議するように俺の名前を呼んだ。


「悪ぃ。お前があんまし、旨そうだから、ついな?お、腹減ってんだろ?先にルームサービス頼んでからシャワー浴びるか?一緒に入ってやっから、な?機嫌直せ?」


そう言うと、綾乃は。


「・・・・フレンチトーストと、シーザースサラダと、マンゴーと、レモンティをお願いします・・・それから、シャンプーも丈治がしてくださいー。」


こいつ・・・・。

綾乃は、やっぱ生まれながらのお嬢で。

こういうホテルで朝飯、つったら、アメリカンブレックファストとか、コンチネンタルブレックファストとか朝食メニューがあるんだけど。

そう言うのは食べたくないものまでセットになっているから、ホテルに泊まる時綾乃は単品でメニューを注文する。

まあ、そういうふうになったのも、ここ最近なんだが。

つまり、俺に遠慮がなくなったっつうことで。

それはそれで嬉しいんだけどよ。


「おい、何か栄養が偏ったメニューじゃねぇか。ベーコンとかオムレツとかたのまねぇのかよ?あと、カルシウムもとれ。」


「ええー、ベーコンとかオムレツは・・・重いです。それに朝から牛乳は・・・お腹が痛くなりますぅ。」


「なら、ホットミルクにしろ。」


「ええー、私・・・ホットミルクは・・・あの表面にできるビロビロの皮がいやですぅ。」


はあ・・・こいつは・・・子供かよっ。

遠慮が無くなった分、わがままが多くなった・・・まあ、それが・・・可愛いから、仕方がねぇけど?

俺は、ビロビロは俺が食ってやるからっ、そう言ってルームサービスを頼むべく受話器を取り上げた。



有馬温泉に行ってからというもの、味をしめたらしく。

綾乃は髪を自分で洗わなくなった。

こんなショートで、洗うのは簡単なはずなのに。


つうか。

風呂も俺と入りたがる。

いや、そういう夫婦の営み的な狙いじゃなくて・・・単に、こいつは体を俺に洗わせようというズボラさからだ。


いいけどよ・・・。


だけどそれに慣れたせいか、俺が仕事で遅くなったりするときは風呂に入らねぇ。

だから、遅くなるときは先に風呂に入れって言わねぇとなんねぇ。

しかも、それで綾乃は風呂に仕方がなく入るんだが。

頭は洗わねぇで出てくる。

最近は、俺が洗ってやるまで、平気でウエッティを通す・・・。


はあ・・・。


一体、狙いは何なんだ?

だから、一度聞いてみた。


すると。


「そんなの、ただ、丈治に髪を洗ってもらいたいだけですぅ。」


だと。


そうか。

ただ、髪を洗うのが面倒くさいんだな?

聞くまでもなかった・・・そのまんまじゃねぇかっ。




つうことで、シャワーを2人で浴び、綾乃の体と髪をきっちりあらってやって出てくるとすぐに、ルームサービスが届いた。


俺が頼んだベーコンとホットミルクを綾乃の方にセットしてもらう。

恨めしそうな顔をするが、知らん顔してビロビロだけとってやった。




「で?珍しいよな・・・お前が、買物したいだなんて・・・どういう風の吹きまわしだ?」


買物なんてめったにしない、出かけない綾乃の提案を思い出して、俺はトーストを片手に綾乃を見た。


「何か・・・丈治にプレゼントしたいのです。」


「あ?俺に、か・・・?」


意外な言葉に、まじまじと綾乃を見る。

すると、綾乃は顔を赤らめた。


「本当に、昨日バレンタインデーを忘れていたこと反省しているんです。私と初めてのバレンタインを記念にって考えてくれた丈治に、申しわけないと思って・・・自分がいかに恵まれているかって・・・思いました。それで、1日過ぎてしまいましたけど・・・・何か、丈治に・・・記念になるものを買いたくて・・・あ、丁度昨日、取締役会で本年度の合格報告をしたのですが、ありがたいことに鎌倉校は全員志望校へ合格しまして・・・社長からかなりのボーナスを頂きまして・・・これも、丈治の支えがなかったらできなかったことだと思っていますし・・・それも含めて、何か・・・私からプレゼントをしたいのです。」


「・・・・・・・。」


綾乃の言葉に、俺は不覚にも涙が出そうになった。

綾乃の俺に対する気持ちが、滅茶苦茶嬉しい。

やっぱ、いいバレンタインだったな。


「丈治、いいでしょうか?」


「・・・おう。サンキュ。じゃあ、買物行くか?また、10日後に海外行くしな、そうだな、何か身につけるもんがいいな。」


俺が何とかそう言うと、綾乃は嬉しそうに頷いた。

そんな可愛い顔を見て、俺はつくづく幸せだと思った。


そして。


「ふふっ。よかったですぅ、丈治が喜んでくれてー。実は、昨日、木村さんの彼女さんが木村さんに対してすごく素敵なチョコを用意されていて・・・私、すっかりバレンタイン忘れていたし・・・自分の丈治に対しての気遣いがないって反省したんですー。丈治はこんなダメな私を受け入れてくれるから、コンビニチョコでも怒らないでくれましたけど。でも、やっぱりちゃんと丈治にプレゼントしたいと思ったんですー。しかも、その彼女さん、とても人が良くて・・・その木村さんのために用意した素敵なチョコを私に使って下さいって、言うんですよ?それも一生懸命・・・いくら私のチョコがコンビニチョコだからって・・・なかなかそんなこと言えませんよね?」


びっくり情報が、綾乃の口から飛び出した。


「ケータ・・・女、出来たのか?」


「はいっ・・・それも、まだ付き合っていなかったようで・・・そのチョコ、私がもらえないって言ったら、木村さんが俺にだろ?チョコも気持ちも受け取るって・・・私の目の前で、そう言われたんですっ。丈治、木村さんのお話をこの間話していましたけど・・・その彼女さんのことは、とても本気のように見えました・・・だって、木村さんの彼女さんをみる目は・・・丈治が私を見つめるときの目と、同じでしたから。」


綾乃の言葉が、俺の胸をついた。


そうか。

綾乃がそう思うなら。

きっと、そうだな。


だったら、俺達・・・。


いや、ケータ。


望むものが、手に入るかもな?



俺みたいに――








ケイタのお話は別の作品で登場します。この「ロイヤルブルー」が終わりましたら、そちらのお話を投稿する予定です。


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