15、絡
ムカつく。
ムカつく。
スッゲェ、むかつく!!
事務所近くの天ぷら屋に入った。
一見外からは店と分からない造りの、入口。
だが、一歩中へ入ると重厚な内装が広がり、高級感あふれる店内だった。
俺以外は皆有名人だからだろう、座敷の個室だ。
で、座るや否や綾乃が俺に耳うちし。
将のサインが欲しいと、言い出した。
この際、耳に綾乃の息がかかってゾクリとしたのは関係ねぇけど?
だけど、綾乃の可愛い目を見たら、ダメだと言えねぇし。
バカな俺は、将にサインを書けと命令してやった。
そうだ。
間違っても、頼まねぇし!
噴き出しそうな将にケリを入れつつ、書いてもらったサインを綾乃に渡すと。
滅茶苦茶嬉しそうな顔!!
ムカつく!!
だから。
「おい、将!お前の嫁さんも呼べや。俺ばっかで、何だかムカつくし。」
嫁さんがいるぞと、遠回しに綾乃に念を押すように話をした。
だけど。
「えっ、瀬野さん、ご結婚されたんですか?おめでとうございます!」
綾乃が知らなかったようなので、驚いた。
「お前、知らなかったのか?」
そう聞くと、綾乃がバツの悪そうな顔をした。
「丈治と結婚してからはテレビを見るようになったのですが、それまでは・・・ここ3年ほどあまり見ていなくて。」
綾乃の言葉で思い出した。
そうだ。
横浜の綾乃んちは、テレビが映らなかった。
ブルーレイの配線をしたら、テレビ画面が映らなくなったらしく。
俺が、綾乃んちに泊まるようになってから、直したんだった。
はあ、3年も放置してたのかよ・・・。
そういや、テレビが映った時の綾乃、滅茶苦茶喜んでたな・・・。
電気屋呼んで修理しやあよかったものを・・・はあ。
面倒だったんだろうな・・・。
手に取るようにわかる。
だけど、周りは。
当然そうは思わないようで。
「あー、綾乃さん。忙しそうだからね・・・。」
船津五郎が、温和な笑顔を綾乃に向けた。
その温和は見かけだけだけどな。
すると、すかさず、社長が。
「ごめんね。先に謝っておくね?綾乃さんのこと・・・ネットでちょっと見たんだ。名刺いただいたから、そうしたら・・・凄く有名な先生だったんだね?ご両親のことも載っていて・・・まさか、あの脳科学者の氷室秀先生のお嬢さんとは・・・びっくりしたよ。お母様も平安文化の権威の氷室容子先生だなんて・・・綾乃さんもT大卒業でしょ?優秀なご一家だよね。」
げ。
しっかり、調べてやがる。
案の定、将もケイタも禿の政治評論家堤宗太郎も、くいついて来やがった。
他の事務所のスタッフもすげぇ、驚いた顔をしている。
それに対して、綾乃は。
いつもの『ザ・女取締役バージョン』で落ち着いた物腰で答えている。
こうやって見ると、やっぱ、このバージョン、疲れんだろうな。
素があんなにトロくてボケッとしてんだから、随分気ぃ張ってんだろうし。
きっと、親が立派過ぎて綾乃なりに頑張った結果、こういう風になったんだろうな・・・。
ガキの頃からの綾乃の暮らしを考えて、俺はちょっと柄にもなく切なくなった。
料理が運ばれてきたので社長があわてて挨拶をして、船津五郎が乾杯をした。
「お前、ビールでいいのか?酒頼むか?」
そう聞くと、綾乃が口を開く前に。
「あ、ここの赤ワイン旨いのがあるんだ。レイも好きでさ・・・あ、レイって俺の妻だけど、今日急に昼からオペが入ったらしくて、少し遅れるけど後で来るから紹介するね?」
上機嫌で将がそんな事を言いながら、割り込んできた。
綾乃は勧められるがまま、赤ワインを頼んだ。
多分、気ぃ遣ってんだろうな・・・。
忙しい時期で、疲れてんだろうし。
「おい、明日早いのか?」
ここから家まで帰るには1時間半以上かかる。
横浜の方に泊まってもいいが、明日の朝が早いとそれも大変だしな。
「できたら今日は、横浜のマンションに泊まりたいのですが。着替えもありますし。明日、横浜のマリー女学園の受験日なので、始まる前に子供達を激励に行きたいので。丁度いいのです。」
「おー、いいぞ。母校じゃねぇか。懐かしいだろ?まぁ、横浜もここんとこ行ってねぇから、ちょっと掃除しとかないとだしな。じゃあ、あんま時間気にしなくてもいいな。横浜ならタクで帰ってもいいしな。」
腰を据えて飲めるな、と安心したのもつかの間。
今まで静かだった、あの女が急に火を噴いた。
「何で俺様クール紺野みたいな教養よりも体力勝負みたいな人を、綾乃さんみたいな上流階級の完璧女性が選んだのか、私理解不能なんですけどー。」
早々に酔っぱらった志摩アイナが、遠慮もクソもねぇことを言い出しやがった。
室内が、志摩の発言でシンとなった。
だけど、綾乃は冷静に答えた。
「ただ、丈治とこれから先一緒に生きていきたいと思ったからです。それから私は、完璧な人間ではありません。欠点だらけです。」
まあ、欠点・・・は多いな。
だけど、それも俺にとっちゃ魅力なんだけどな・・・。
「えー、その答えも何だか模範解答っぽーい!!もしかして、有名人好きとか?大好きな将君と一緒の事務所だったから、俺様クール紺野に近づいたとかー?」
「おいっ!!」
綾乃のこと何もしらねぇ癖に、勝手な事を言いやがって!
だけど、カッとなった俺を、綾乃が制した。
「模範解答のように聞こえてしまったのなら、すみません。人前で話すのが仕事なので、言葉を選ぶのは癖のようになっていますから・・・確かに私は、子供の頃から瀬野さんのファンではありますが、私はそんな事を理由に結婚を決めません。そもそも、一生結婚をしないで1人で生きていこうと思っていましたから・・・それなのに、丈治がその気持ちを変えてくれました。丈治は私にとって、それ程必要な人なのです。」
綾乃の素直な言葉が、嬉しかった。
まあ、『ザ・女取締役バージョン』の口調だったが。
そして。
綾乃の言葉に、出会いから今日までの事が頭の中に蘇った。
綾乃はずっと1人で頑張ってたもんな・・・。
だけど、そんな事をしらねぇ目の前のバカ女は。
「えー、綾乃さんだったら、もっと上品な男の人が似合いそうなのにー。」
こいつはもうちょっと考えて喋る事をしねぇと、いつか大失敗するぞ!
さすがに言い過ぎだと思ったのか、将が止めに入った。
社長と船津五郎は面白がって見てやがる。
他のスタッフは、下手に口をはさむと志摩の逆襲にあうから、何も言わねぇし。
禿は早々にトイレに立っているし。
そういや前に、頻尿だって言っていたな。
将の止めるのもきかず、志摩の綾乃への言葉は続いた。
「ねぇ、凄く興味があるんだけどー。俺様クール紺野のどこが良くて結婚したの?」
はあ。
これは、きっと・・・アレだよな。
何故、ここまでしつこく志摩アイナが絡むのかというと・・・。
思い当たる事は、ひとつだけある。
だとしたら、厄介だな・・・。
「・・・ご質問にお答えするのはかまいませんが。その前に、私から先に質問をしてもよろしいでしょうか?」
相変わらず静かな声で、綾乃が正面から志摩を見据えてそう言った。
あまりにもまっすぐな目だったんだろう。
一瞬、志摩がうろたえた。
「な、何?」
「先ほどから、丈治の事を『俺様クール』と表現されていますが・・・まあ、言葉づかいもありますので『俺様』は何となく理解できますが。『クール』というのは、どういったことでクールと思われるのですか?丈治はとても心があたたかくて優しい人ですが。」
俺は綾乃の言葉を聞いて、思わず笑みがこぼれた。
まあ、あたたかくて優しいのは、綾乃限定だけどな。
目の前で固まる志摩。
ウケる。
じゃー、ここらで、反撃行くか・・・。
「志摩が俺の事クールと思ってんのは、8年くれぇ前に志摩が事務所に入ってきた時に、俺が志摩のベッドインの誘惑に乗らなかったからだ。」
俺の爆弾発言に、室内が静まり返った。
そして。
バシャッ――
ゴトッ――
志摩が突然、俺に向かってお絞りを投げ付けたが。
俺にあたらず、ワインボトルにあたり。
ボトルが倒れた。
このままではいつものパターンになると思い。
さっと、綾乃を抱き上げ、テーブルから離れる。
「セーフ。」
綾乃を抱き上げながら、おどけてそう言うと。
綾乃に睨まれた。
「今の発言は、100%丈治が悪いです。丈治は、口調は乱暴ですが、品格のある人だと思っています。でなければ、あんな素敵なピアノの音はでません。でも、今の発言では品格を疑われます。」
「・・・・・・。」
はあ。
やっぱ、綾乃だ。
普段はボケッとしてやがるくせに、芯はこういうきちんとしたものを持ってやがる。
まあ、こういう所が魅力なんだけどな。
俺はため息をついて、綾乃を下ろすと。
志摩に頭を下げた。
「失礼な事を言った。謝る。」
別の意味で、室内が静まり返った。
そりゃそうだ。
俺の口からこんな言葉が出るなんて、普段からは想像もできないだろうし。
志摩もギョッとしている。
そして。
「まあ、いいわ。私はとりあえず美味しそうなものは頂く主義だから。体力もありそうだし興味がわいたから誘っただけだし。」
おいおい。
すげぇ、発言しているの本人わかってんのかよ。
こんなこと芸能レポーターに知れたら、大変な事になるっつうの。
「アイナちゃん、もう少しオブラートにつつもうかー?一応人妻だし、子供もいるんだしー。」
さすがに社長もやんわりと、注意を入れた。
「わかってまーす。身内だけだから話しているんですっ。普段猫かぶっているんだから、ストレス溜まってるんですー。」
そういや、志摩も表向きはアンニュイなイイ女系キャラだったな。
素がこんなんだから、疲れるよな・・・って、将も猫かぶってイイ男キャラだったな・・・素と正反対だっつうの。
となると、結局自由にやってんの俺だけかよ。
皆、結構大変なんだな・・・。
そんな事を考えていたら、ふすまが開いた。
「いやー、頻尿がねぇー。まいったわー。もういいきゃーと思うと、まだ出るんだわー。チョロチョロっと・・・どうにかならんかねー。」
ハンカチで手を拭きながら禿が戻ってきた。
志摩がその内容に、ゲラゲラ笑う。
ようやく少し場が和んだ。
赤ワインが全部こぼれたので、すかさず日本酒辛口を頼んでやった。
綾乃が一瞬、物凄く嬉しそうな顔をしたのを見て、俺も嬉しくなる。
やっぱ、俺がいねぇとダメだよな・・・綾乃は。
そう思っていたら綾乃が掘りごたつの中で、俺の左足甲に自分の右足を乗せてきた。
はあ。
これ、素に戻って甘えてんだろうけど。
・・・どうすんだよ。
俺。
口元、ツリそうなんだけどっ?
緩みそうなの、必死で堪えてんだけどっ?
あーやーのー、後で覚えてろよっ。
食事も随分進み、まあ最初は暴走女のせいでどうなるかと思ったが、それぞれ楽しく話に花を咲かせていた。
そんな中・・・やっぱ、毎晩遅ぇし、朝も早ぇ日が続いてっから。
綾乃は疲れているらしく、酔ったみてえで。
少し、トロンとしてきた。
そういや、初めて会った日もすげぇ疲れてたんだろうな。
『みのり』で、飲んでるうちに寝ちまって。
これ幸いと、家に連れて帰ったんだった。
まあ、眠っている女を抱く趣味はねぇから、起きてから口説こうと思ってたんだけど。
『みのり』で綾乃がインナーにしょうゆをこぼしたのを思い出して、大義名分で下着姿にして俺のベッドにほりこみ、洗濯機をまわしにいっているうちに何故か綾乃が全裸になっていた。
今考えると飲んで暑くなって、家だと思って脱いだんだろうけど。
そら、一目ぼれした俺としちゃラッキーだよな。
で、俺も脱いで、綾乃が起きるの待ってたんだよな。
もう、堪んなくて。
絶対ヤる!と思って・・・まあ、結果・・・喰ったんだけど。
何か・・・懐かしいな。
「綾乃。少し酔ったか?ウーロン茶、もらうか?」
少し、冷たいお茶でも飲めば冷めるだろうと思って、そう言うと。
綾乃が素直に頷いた。
ぷ。
半分、素に戻りかけてるじゃねぇか。
「ほぉんとだー。俺様クール紺野が、超やっさしー。」
チッ。
せっかく、気分よく飲んでいるのに、また志摩が絡んできやがった。
って、こいつも相当酔ってるんじゃね?
「志摩さんも、そろそろお酒ストップした方がいいんじゃないか?あんまり酔っぱらって帰ったら、熊谷さん心配するし。それに、美波ちゃんもいるんだし。」
将が、志摩のグラスをとりあげようとした。
だけど、志摩は強情で。
「大丈夫っ、熊ちゃんは、美波のことが今一番だからー、私の事まで気がまわらないってぇー。で、美波も私よりパパの方がいいみたいだしー・・・。」
何だよ、それ。
一瞬、ふいに。
飲んだくれの母ちゃんの姿が脳裏をよぎった。
すると、突然綾乃が口を開いた。
「志摩さんっておっしゃいましたよね?子供にとって・・・どんな人でも母親は1人です。愛されている実感がその子の自信になり、そして人格形成にとても重要な位置を占めるのです。だから、母親より父親の方がいいとかその反対とか、そんなことはないです。今しかできない愛情の示し方があるはずです。お子さんがおいくつかは知りませんが、べったりではなくてもいいのです。1日1回でも愛情確認を子供にさせる事は、とても大切な事です。」
淡々と話しているが、綾乃は。
自分の親との関わり方を思いながら、志摩に後悔させねぇために言っているんだろうな。
だけど。
「何よっ、偉そうに!!塾の講師だか知らないけどっ。子供も産んでいない人にそんなこと言われたくないわっ。子供もいないくせに、そんなこと言わないでっ。あなたの親もあなたも教育者だからって偉そうに!!子供産んで、実際に経験してみなさいよっ。どれだけ大変かがわかるわよっ。」
多分、志摩も疲れてるんだろうが。
それは、許せない言葉だった。
「おいっ!!お前っ、それ――「そうですね、子供もいない私の言葉では、机上の空論のように聞こえてしまいますね。志摩さんのおっしゃるとおりです。」
だけど、綾乃が冷静な声で、俺の怒鳴り声を遮った。
また、室内が静まり返った。
だけど、今度は。
「志摩さん、君が今色々大変なのはわかる。だけどね。それ以上の自分勝手な暴言は、ダメだ。」
一瞬、誰だか分らない程、冷たい声がした。
って、え?
船津五郎!?
船津五郎が、冷たい表情で志摩を見ていた。
・・・びっくりだ。
す、すげぇ。
怒鳴りもしねぇのに、場が凍りついた。
こんな時だが。
改めて、船津五郎がすげぇ俳優だって実感した。
志摩は、さすがにシュンとして綾乃に謝ってきた。
そんな志摩に、綾乃は首を横にふり。
「いいえ、志摩さんは間違った事を言われたとは思っていません。実際、私は自分の事でもきちんとできないのに、母親の大変さがどれだけのものか・・・実感できませんし。おっしゃるとおりです。でも・・・さっきの私の発言は・・・子供の側からの思いです。私の両親は世間的に著名ですが・・・やはり多忙で。あまり子供のころスキンシップがなかったものですから。子供としての私の希望もはいっているのです。」
綾乃の言葉に、志摩の瞳が揺れた。
「わ、私・・・。」
志摩が何か言いかけた時。
ふすまが開いた。
と、同時に。
「レイッ!!」
信じられねェくらいの、将の甘い声。
と、その後に。
「えっ、瀬野先生!?」
綾乃の驚愕の声が続いた。
将の嫁さんは、クソジジイが綾乃に電話で紹介した医者だった。
専門は、循環器内科で、勤め先の婦人科の医者を綾乃に紹介してくれたのだった。
学部は違うが、出身大学が綾乃と将の嫁さんが同じT大で、綾乃は珍しく親近感をもっていたらしい。
そして何故、将の嫁さんと綾乃が知り合いか、という話になり。
嫁さんは口を開かなかったが、社長と志摩がしつこくて。
俺がキレそうになったところをまた綾乃が止め、さらりと感情を込めずに事実だけを話したのだった。
で・・・またまた、思ってもいなかっただろうヘビーな話しに場は静まり返り。
「船津社長、それから志摩さん。前から思っていたけど、ひとこと言わせてもらう。聞く方は、ただの軽い気持ちかもしれないが、相手にとっては人生にかかわることもあるんだ。少しは、思いやりとデリカシーを持て!」
すげぇ。
ぴしゃりと、将の嫁が2人に言い放った。
確かにそれは正論で。
だけど、厳しい言葉だった。
船津社長と志摩は信じられないくらい萎れかえり、綾乃に謝ってきた。
特に志摩は、さっき子供を産んでから・・・という言葉を気にして、土下座かと思うほど頭を下げた。
まあ、それくらいデリカシーのない言葉だったしな。
だけど、さすが綾乃で。
「大丈夫です。私、クレーム対応は、慣れていますから。気にしていません。」
と、綾乃らしい発言をし。
「はっ!?私の話はクレームじゃないし!!」
志摩が、復活した。
多分、それを見越しての綾乃は発言だったと思うが・・・。
「まあ、いいだろ。もう、気にしてないって言ってるんだから。志摩さんも、浜田さん・・・あーっと・・・綾乃さん?も飲んだら?」
将の嫁が咥え煙草で、綾乃に酒を注いできた。
って、美人だが、すげぇワイルドな女だな・・・。
完全に尻にしかれてるな、将・・・。
綾乃が嬉しそうに、日本酒をあおった。
んで・・・こうなったと・・・・。
「丈治ー。膝枕してくださいー。」
酔っぱらって出来上がった綾乃が、すっかり素にもどり。
いや、素より・・・始末が悪ぃな・・・。
俺の腕に腕をからませ、例の如く顔をすりすりし出した。
オイオイオイ。
かっ、可愛いけどなッ!?
ケイタが、すげぇ羨ましそうな目でこっちを見てるってことは、綾乃の本性に気がついたってことだよな・・・。
で、将が俺を見ながら、クスクス笑ってやがる。
「丈治、もうメロメロだな。」
お前もなっ。
志摩が驚いた顔で、こっちを見ている。
志摩はすっかり酔いがさめたようだ。
あれから、酒からウーロン茶に変えた。
何となく、綾乃の気持ちが伝わったのかもしれない。
そして、問題は。
この、素に戻った+酔って始末が悪くなった=最強綾乃・・・・。
俺の膝枕で、寝に入ってやがる。
事務所全員の、冷やかしのまなざしを俺は一身に受け。
はあ。
ため息をついて、綾乃の髪を撫でれば、トロンとした目で俺を見上げやがった。
だけど。
無計画に、超殺傷力のある爆弾をまた、落としやがった。
「・・・丈治・・・私・・・日本音楽祭で、私のためにピアノ・・・ひいてほしいです・・・。」
あああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!
こうなったら。
出演するしかねぇだろ?
酔っぱらいの絡みは。
怖ぇ――
だけどまあ。
綾乃は。
無茶苦茶。
可愛いけどっっ!?




