旅する少女
仲間内での創作企画作品です。
企画内容は
各自で世界設定、登場人物、お題の3つを設定し、それぞれシャッフルして配りなおし創作を行う。
受け取った設定は以下の通り。
【世界設定】
日が昇らず永遠に夜で星空が覆う世界
【登場人物】
氷雨 鈴華、15歳。大人しく、みんなを裏から支えるしっかり者の女の子。世話することが好き。(もし魔法を使うなら水魔法と回復魔法が得意)
※容姿もありましたがリボンが特徴以外使ってないので割愛(服装自由だったので)
【お題】
重大な事件。大事にしてたプリンがなくなったとか、大切なものが盗まれたとか、好きな人が事故にあったとか。その人にとって重大なら事の大小は自由にしてください。
静寂に包まれた砂の地に、吹き抜ける風が小さな波紋を描く。
少女は風に揺れるリボンを押さえ歩みを止めた。
どのくらい歩いただろうか。彼女の回りはどこを向いても変わらない。砂と岩とたまに生えている痩せ細った木。彼女の後ろについた足跡だけが前に進んでいることを示していた。
風がやむと少女は小さくため息をつき空を見上げた。空はくもひとつ無い夜空。いつから夜空だろう。ずっと夜空。
この地域は日中でも太陽の昇らない極夜と呼ばれる地域。土地が纏う魔力によって一年中夜が続いている。月と満天の星により砂漠全体がほんのりと青白く灯されてはいるが、日が無いことによるうすら寒さと合わさってなんとも寂しさを覚えさせてくれる。
少女は小さく身震いをしてから再び歩きだした。火の魔力を持たない少女にとっては寒さをしのぐすべがなく、長いこと寒空にさらされていた。
「そろそろ野宿は耐えられないかなぁ」
誰にともなく呟いた言葉はより悲壮感を漂わせた。
暖炉のある部屋、温かいスープとふわふわのパン、ベッドは固くてもいいから洗ってあるのがいいなぁ。
一度浮かんだ妄想は止まることを知らない。あれもこれもと欲しいものを浮かべる少女を止めたのは彼女自身の腹の虫。
誰が見ているわけでもないが反射的に腹を押さえ赤面する。
「保存食もあんま無駄にできないからなぁ。」
物欲しそうに荷物を見つめるが、すぐに首を振る。そのまま紛らわす意味もこめストレッチをするかのようにぐるぐると首を回した。回る視界の端に特異なものを捉えた。
空に浮かんだ赤い点?ゆらゆらと揺れながら?
「灯りだ、町がある!」
少女は空腹も忘れ走り出した。途中何度も砂に足をとられ転びそうになりながらも灯りに向かってまっすぐと。