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ウサギは生き返えるようです
「やはり、死んでしまいましたか」
女性のような何かが呟く。その声は無機質で感情を称えていない。その様は、予定調和を眺める飽きた観客のようだった。
「膨大な記憶の奔流に、生前の反射的生存行動。それが彼を脳死させてしまった。分かりきっていたことです」
無機質な声は、やはり感情を感じられなかったが、最後の言葉だけには、少しばかりの落胆を感じさせられた。
そんな彼女に後ろから声がかかる。
「そんなことはないようですよ」
通るような澄んだ声。そこには喜色が含まれていた。
「彼はまだ生きようとしている!これなら、生命の進化が行われるかもしれない!」
徐々に声のトーンが上がっていく闖入者に、呆れた表情で女性は返答する。
「そんなことは起き得ません。何せ彼は既に…」
諦めの言葉を吐こうとして、そのように気がついた。
彼が脳死から復帰遂げようとしていることに。
彼女の口許が愉快に歪んだ。




