ウサギは死にました
ドッ…ドッ…ドッ…ドッ…ドッ…ドッ…
彼は心地よい暖かさの中で、安心感に包まれていた。
世界は闇に包まれており、体の自由が利かず、意識ははっきりと定まらない。
どこからか聴こえる鼻歌が心地よさを増幅し安寧の地を思わせる。
時間はゆったりと進むようで、それでいて一瞬にして過ぎてゆき、次第に体は燃えるように熱く感じられた。
ドッ…ドッ…ドッ…ドッ…ドッ…ドッ…
熱さに身を捩ることもできずに、彼は漫然と耐える。
身を焦がすような熱さは次第に増してくる。
彼には何だか分からないが、揺れも酷い。
ゆっくりと目を開く。相も変わらず目の前は闇。
周囲に目をやっても何も見えない。
何も見えないが、何かを見ようとする自分がいた。
そして、彼は自我を意識した。
ドッ…ドッ…ドッ…ドッ…ドッ…ドッ…
強烈な圧迫感。迫り来る強烈な死の予感。暗闇を見ているのに、目の前がチカチカするように点滅する。
それらは、彼に生を自覚させた。
それに伴い、彼は魂に刻まれし記憶を思い出す。
生前、いや、転生以前のことを。
彼の未熟な脳は、彼の魂が記憶していた事象の奔流に耐えきれず、息絶えてしまった。




