表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
心鬼 〜シンキ〜  作者: 栗谷
第1章 始動
6/193

第6話 歪み

その日の授業は全くと言っていいほど頭に入らなかった。

朝に室伏から伝えられた大内の話が頭から離れない。

放課後、俺たちは言われた通り、職員室にいる室伏を訪ねた。


「待ってましたよ、3人共。あなた方は土曜日、大内さんと新野町にいたそうですね」


「ええ、4人で遊んでました」


「どんなことでも良いですから、何か変わったこととか、思い当たる節はありませんでしたか?」


「いえ、正直、なにも」


あの日の大内の様子を必死になって思い返してみたが、思い当たる様な節は無かった。


「藤野さんは、何かありませんか?」


「ごめんなさい、なにも……分からないんです……」


夏絵は今にも泣き出しそうだ。


「では、剣菱君は、何かありますか?」


「俺は――」


剣菱は突然、言葉を詰まらせる。


「どうしたんですか? なんでも良いんです。教えてくれませんか?」


「いや、何も知りません」


先程とは打って変わって、剣菱ははっきりとそう答えた。




暫く室伏と話し、教室に戻った頃には、既に6時を回っていた。

教室は人が誰も居らず、俺たち3人だけが残っていた。

だが、どうしても帰る気にはなれない。

俺が自分の椅子に座ると、夏絵と剣菱も近くの椅子にすわった。

朝に3人で話をする時の形だ。

だが、俺たちの間にいつもの様な会話は無かった。


「なあ、剣菱」


「なんだよ」


「お前、あのとき……バス停で大内と何話してたんだ?」


バス停を待っていたとき、大内と剣菱は何か話していたはずだ。


「それは関係ない」


「……そうか」


正直、納得がいかなかった。

だが、剣菱がそう言うのだからそうなのだろう。

これ以上の追求はするべきじゃない。

それからは誰一人話すことなく、沈黙が続いた。





それから更に3日が経ったころ、警察に正式に捜索願が出された。

村でも捜索隊が組まれ、必死の捜索が行われた。

俺たちも勿論大内を探した。

だが、一週間経っても、大内が見つかることはなかった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ