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語り部は僕に告ぐ  作者: 網野江ユウイ
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プロローグ

亀更新。昔書いたものとは別の話です。続く限り続きますが,頓挫の可能性も秘めています。

 この街の話をしよう。

20XX年某日,日本史上最悪と言われた事故,国立科学振興研究所『爆縮』事故が起きた。その当時の最先端科学を「科学国家プロジェクト」の一環として行っていた,東京にある国立の研究所だ。数々の学術的価値ある論文を次々と発表しその存在が世界的にも注目され始めたちょうどその頃。その矢先で,悲惨な事故は起こった。地上5階,地下5階,鉄筋コンクリート作りの建物が突然敷地中央に向けてまるで吸い寄せられるように『縮小』,次の瞬間には跡形もなく周囲半径15kmを吹き飛ばした。研究所内は愚か,周囲7km圏内に生存者はなく,被害総額は莫大,日本は国家として終わりを告げるかと思われた。

 だが,奇跡的にこの国は立ち直った。それどころか,事故の後処理の為に目覚しい勢いで科学技術を発展させ,他国の追随を許さぬ一大科学国家となったのだった。事故のあった研究所周囲は高い壁に覆われ,その周囲はある基準に従って中心に近い側から順に区画分けされた『科学特別区』として世界的注目を集めていた。

 中央の事故現場周囲2kmは高く分厚いコンクリートの壁で覆われた一般市民立ち入り禁止区域。その周り,幅5kmは特別開発区とされる研究者たちの街,そこに立つ建物の実に9割が何らかの研究施設である『特別開発区』通称”第二特区”。その外周,幅8kmは大学やオフィス,高級住宅街やその他娯楽施設などが立ち並ぶ『特別観察区』通称”第三特区”。更にその外周,幅11kmに渡ってごくありふれた一般住宅や商業施設などが立ち並ぶ『特別対象区』通称”一般区”。これら4つの区画で半径26kmに渡って展開されているのが,科学新興都市『新科都市区(しんかとしく)』である。

 陰惨な事故から20年――遠い昔のこととして事故が語られるようになったこの街にある日,語り部がやってきた。誰に知られることもなくやってきたその語り部,それはこの街にとってどのような存在となるのか。そしてそれは語り部が語らない以上,誰も知らない物語である。

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