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空き缶で一悶着
昼休み、うとうとしていたらこんな声が聞こえてきた。
「可口、これ捨てて来てよ」
見ると、気が強いと評判の並陽が、空き缶を可口に捨てさせようとしていた。
「えっ…」
可口は突然の事に嫌そうにしている。
彼女は大人しい。
「ちょっとー嫌がってんじゃん、可口が可哀相じゃん」
姫藍が口を挟む。
「だめだめ、ちゃんと拒否しないのは本人が悪いんだよ。私はそれを教えてあげてんの」
並陽が言う。
「あ、あはは…」
可口は苦笑いだ。そこで、私は彼女達に声をかけてみた。
「おい並陽、あんた本当図々しい上に恩着せがましい女だね」
「え?あ、竜祖…」
並陽が気まずそうにする。
「相手が困ってるの分かっててやってるんだろ?分かってんなら遠慮しなよ」
「だから可口の事を思ってんじゃん」
「あんた先生じゃないだろ、押し付けんな。怠けてんじゃないよ、ゴミ捨てぐらい自分で行け」
「うっざ」
それから、私が一人の時に可口が話し掛けて来た。
「竜祖さん…ありがとう」
「うん」
珍しく、何事もなく済んだ。