表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気だるい毎日  作者: ちゅうか
13/16

嘘つきはサイコバスへの始まり

私の人生の汚点と言えば、小学生の頃『目には目を、歯には歯を』 と言う考えを持ってしまったと言う事だ。

小学校の頃、私はいじめて来た連中、特に主犯格だった桃織ももおりに同じような事をして仕返しした事がある。

しかし人数が必要な集団無視は出来ない。

そんな友達はいない。

私が一人なのは小学校からなのである。

で、桃織に何をしたかと言うと、私は画鋲を包んだ手紙を入れた封筒を桃織に直接渡した。

結果、私が給食にゴミを落とされても、机を油性ペンで落書きだらけにされても

靴を捨てられたのを言っても何もしなかった教師が動いた。

桃織が先生に泣きついたのだ。

ちなみに桃織は先生受けがよく、親はPTAの会長とか何とか。

小学生の頃はまだ先生を頼ると言うつくづく馬鹿な事をしていたのだ。

そして私は桃織と二人で話し合いの席を設けられ、先生に怒られ、泣いて謝らさせられた。

ついでと言う形で先生は桃織に私へのいじめを謝るよう言い、桃織も謝ってきた。

そう、小学生の時は泣く事もあった。

確かに画鋲はやりすぎたかもしれない。

中学生になってからしばらくしても、私はいつも本を読んでいた。

読み終わったあたりに、同じクラスになった由田子ゆたこが突然話しかけてきた。

「紗鶴って桃織の事をいじめたの?」

桃織は違うクラスだった。

「知らない」

由田子はそれに構わず続けた。

「なんかねー、桃織が紗鶴にいじめられたって皆の前で言いまくってたから」

「そう。で、何であんたはわざわざ知らせに来たの?」

由田子は不機嫌そうに言った。

「本当なら、あんたの事許さない」

「ふ〜ん」

一瞬、友達である由田子がいる桃織を羨ましく思った。

「で、どうなの?」

「私は謝らさせられた。言い訳にすぎないかもしれないけど原因を作ったのはあっち。向こうも謝った。もう私の中では終わった事。はっきり言ってどうでもいい」

数日後、由田子が再び言ってきた。

「聞いてみたわよ。『でも紗鶴は謝ったんじゃないの?それで決着ついたんじゃない?』

って。そしたら桃織は『一応ねー。でも私は許してないけど』だってさ」

私はすぐに直接桃織を問い詰めた。

普段人と関わらない私も、明らかに私へ害を撒き散らす可能性が高い奴を放っては置けなかった。

私は小学生の頃から訳の分からない事で責められ、謝らさせられた。

その恐ろしさを身に染みて知っていたからだ。

桃織は知らない、言ってないの一点張りだ。

私が

「本当に終わったと思ってるのね?あんたが原因なのよ?忘れたとは言わせない、二度とその話を持ち出さないで、他の人に言う話じゃない」

と何度も念押しして、桃織は分かってると言った。

だが私は嘘だと見抜いていた。

それなら由田子が言ってくる訳がない。

何より由田子を観察している限り、彼女は賢い人だったし、冷静な判断を出来る人物のように見えたからだ。

しかし桃織を問い詰めながら、私はどうしようも無い空しさに襲われていた。

桃織はまた私に害を与えるに違いない。

桃織とその仲間が私をいじめたのは事実だが、桃織の方が結局味方が多いのだ。

今幾ら言ってもそれは変わらないと悟ってしまったのだ。

第一、私に味方はいないのだ。

下手したらこうして問い詰める事さえいじめたと脚色して言われかねない。(事実、後でそうなった)

「あんたは卑怯で嘘つきだからこの話も脚色して言うんでしょう、もうあんたの嘘つきぶりには呆れたわ。お得意の嘘ばらまいて、またろくでもない味方作るんでしょうね。でも言っておくけど、あんたが私にした事は、あんたが幾ら嘘つこうと変わらないし、あんたのろくでもない味方に何を言われても私は何とも思わないから」

桃織の事は私の人間嫌いにかなりの勢いで拍車をかけるだけの結果になった。

机に戻って、表面には出さずにうなだれる。

私以外の人間は本気でどうでもいいと思った。

読み終わった後、ため息をつく。

私は、他人に何を言われてももちろん構わなくなっていた。

さすがに桃織達に操られた男が私を叩いたり教科書等をぶつけたりしてきたらその男達にその場で十分仕返しはしていた。

力はあった。

そうしていたら言われる事はあってもされる事は無くなった。

私の味方は私だけ。

私は私が大好き。

私以外の人間は皆嫌い。

それでもふと思う事がある。

一体いつからこんな考えになったんだろう?

少なくとも小さい頃は違ったのに。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ