古時計
菜々緒は時計屋にやって来た。菜々緒は母の還暦を記念して、時計をプレゼントしようと思っていた。ただの時計じゃなくて、大きな古時計がいいなと思っていた。それを大広間に飾ろう。みんな羨ましがるだろうな。
菜々緒はある古時計を見た。それは、何日か前から欲しいと思っていたものだ。すでに買うためのお金は用意してあって、既に支払っている。今日、引き取りに来る予定だ。
「この古時計、いいな」
何度見ても素晴らしい。振子があって、何より大きい。とても立派だ。まさに童謡で聞いたような『大きなのっぽの古時計』に値する、素晴らしい古時計だ。
「あのー、以前これを買おうと決めてました、佐倉菜々緒です」
「あっ、先日はありがとうございます・・・。でも・・・」
だが、店主は深刻な表情になった。何だろう。この古時計には、何かあるんだろうか?
「どうしたんですか?」
「いや、何でもないのよ」
だが、店主は何も言おうとしない。一体何だろう。何か言えない事があるんだろうか?
「そう・・・」
菜々緒は不安になったが、とても素晴らしいから気にしないでおこう。母へのプレゼントなんだ。
菜々緒はミニバンに時計を入れた。あらかじめシートは倒してある。この時計を大切に運ばないと。入れ終わると、菜々緒は運転席に座り、ミニバンを走らせた。向かうは実家だ。きっと、みんな楽しみにしているだろうな。
「本当にこれいいなー」
運転している間でも、菜々緒は古時計に惚れていた。何度見ても、この古時計は素晴らしい。フォルムもいい。
菜々緒は実家に帰ってきた。実家の前には、母がいる。母は菜々緒の帰りを待っていたようだ。母は知っていた。プレゼントは古時計だという事を。
「ただいまー」
菜々緒はミニバンから降りた。すると、母がやって来た。
「おかえりー」
菜々緒はバックドアから古時計を出した。母は驚いた。こんな立派な古時計を買ってくれるとは。これはタダの還暦祝いじゃないな。
「これがその時計か」
菜々緒は古時計を大広間に置いた。古時計はとても目立つ。本当に素晴らしいな。
「なかなか立派でしょ?」
「うん」
菜々緒と父は古時計を眺めていた。菜々緒が言っていた通り、本当に素晴らしい。大広間でとても目立つな。
「前から欲しいと思ってたんだ! いいでしょ?」
「ああ」
と、そこに母がやって来た。噂の古時計を見に来たようだ。
「素敵ね!」
母は笑みを浮かべている。母が笑ったのは久しぶりだ。それほど、古時計に感動しているようだ。
「お母さんもそう思うでしょ?」
「うん」
今日はお祝いだ。すでに父が缶ビールなどを買っている。母は酒のつまみを買っている。みんな喜んでいた。
その夜の事だ。菜々緒は目を覚ました。時間は0時だ。もうみんな寝静まっている時間だ。
「ん?」
菜々緒は気になっていた。大広間で何か音がするのだ。その音は一体何だろう。泥棒だろうか? それとも、幽霊だろうか? その目で確かめたい。でも、怖くで行く事ができない。
「何だろう、この音」
菜々緒は怪しく思えてきた。一体何だろう。もし泥棒なら、警察に言わなければならない。
「怪しいな」
菜々緒は決意した。明日、調べてみよう。その原因がわかるかもしれない。
「明日、調べてみようかな?」
菜々緒は再び寝入った。いまだに大広間で物音がしている。
菜々緒はいつものように夫を見送ろうとしていた。夫はスーツを着て、セダンで職場に向かっていく。いつもの夫の出勤日の光景だ。何の問題がないように見えた。
と、菜々緒は誰かの気配を感じ、振り向いた。だが、そこには誰もいない。誰かがいたようなきたするんだけど。気のせいかな?
「どうしたの?」
菜々緒は横を向いた。そこには母がいる。
「いや、何でもないの」
「ふーん・・・」
何もないのか。それじゃあ、またリビングにいようかな?
「じゃあ、行ってくるね」
「行ってらっしゃーい!」
夫は職場に向かっていった。菜々緒は手を振った。と、菜々緒は再び誰かの気配を感じた。
「えっ!?」
菜々緒は振り向いた。だが、やはりそこには誰もいない。
「気のせいか・・・」
菜々緒は再び玄関の方を向いた。菜々緒は知らなかった。その後ろに血まみれの男がいるのを。
その夜の0時、菜々緒は再び起きた。やっぱり音がする。一体何だろう。今日こそ、その理由を突き止めるんだ。
「今日もしてるな」
菜々緒は首をかしげた。こんな事が起こるのは、古時計を買ってからだ。古時計を買う前、店主が戸惑っていたのは、それが原因だろうか? もしかして、この振り子時計には怨念があるのでは? 菜々緒は不安になってきた。
「本当に、何だろう」
菜々緒は大広間にやって来た。大広間は暗い。そこには誰もいない。今さっき、物音がしたのに、どうしたんだろうか?
と、菜々緒はあるものを見つけた。それは、男の死体だ。よく見ると、血まみれになっている。
「えっ!?」
顔を見て、菜々緒は驚いた。これは、身内ではない。どうして第三者が入ってきたんだろうか?
「大丈夫ですか? 大丈夫ですか?」
菜々緒はゆすったが、男は反応しない。と、菜々緒は男の体が冷たい事に気が付いた。その男は死んでいる。
「死んでる・・・」
菜々緒は警察に通報しようと、電話のあるリビングに向かった。突然、菜々緒は誰かの気配を感じた。
「えっ!?」
菜々緒は振り向いた。そこには、血まみれの男がいる。今さっき、倒れていたのに、どうしてだろう。まさか、生き返った? 男は血まみれの包丁を持っている。
「キャー―――――――――――――――!」
程なくして、菜々緒は包丁で刺されて、殺された。菜々緒が殺されていると知ったのは、翌朝だったという。
これは噂だが、この古時計には、刺殺された所有者の怨念が込められているという。それを購入して、夜中の0時にここに来た者は、必ず殺されるという。店主が戸惑っていたのは、そのためだ。




