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第十三篇 怒涛 頁二

その八


 城壁には矢に大石降りそそぎ、四面の門もいつまで持つか。ほとんどがもう持たないと判断し、続々と降りてゆく。龍玉に長元らの手練れたちは、階段を使うのもまどろっこしいと城壁を駆けて飛ぶように降りてゆく。が、さきほど虎碧の見せた力に驚きを禁じえないでいた。

「門がやぶられた」

 という声がこだました。ついに周鷲らのいた側の正門がやぶられたのだ。

 虎碧のおかげで地に降り立った周鷲は、虎碧にいろいろとたずねたいところだったが、それどころではなかった。

「防げ。敵を奥に入れるな」

 と駆け出す。虎碧も続く。

 龍玉らも周鷲と同じ気持ちで、正門よりなだれ込む天軍向かって駆け出した。

 そのころ太守邸宅においては、周思に唐夫人以下親族に側近のものや直近の兵士らがひかえて。侍女らさえも得物を手に、かたずを飲んで事態の流れに身を任せていた。

 邸宅には、住民らが避難とあつまっており。城兵らがまたそれを取り囲んでいた。で、あの娼婦たち。

 殷華に殷春らの娼婦たちはあの夜、唐婦人や周菊の世話になってきれいな服を着て、化粧をし、美味しいお菓子に茶を喫し、一夜にして生まれ変わったような気分を味わった。しかし、今は現実に引き戻されていた。だが、そこに卑屈はなかった。

 邸宅の奥の間にて、唐婦人は周菊と侍女、そして娼婦たちと一緒にいて。戦争の破壊の音が、迫りつつあるのを感じ取っていた。

 唐婦人は堂々と、椅子に腰掛け。いつでも来やれと言わんがばかりの威厳をただよわせている。それに感化されて、侍女に娼婦たちも、それぞれ思い思いの場所に座り込んではいても、その目は鋭さを失っていなかった。

「華姐さん」

「なんだい」

 殷春が殷華のそでを少しひっぱり、鋭くも震える目を向けて小さくつぶやいた。

「あたし、自殺する度胸ないから、もしものとき、姐さんが殺して……」

 何を言うのかと思えば、殷華はくすりと優しく笑って、

「わかったよ」

 と懐に手を入れて匕首を握りしめた。皆自害用の匕首をたずさえていた。

 言うまでもない、最期のとき、敵兵に辱めを受けず死ぬためだ。

 唐夫人は母性あふれる優しい眼差しで、娼婦らを見つめていた。最初こそ、とげの刺さったような顔つきであったのが、化粧や服を着る世話を焼いてやると、途端にとげが抜けたような、朗らかな顔になり。夫人をまるで母親のように慕った。

 人はこうまで変われるものかと、驚いたものだった。

(でも、彼女らだけ世話をするのも、不公平ね)

 出来れば、郭政の幸薄い女たちみんなにしてあげればよかった。だが、それに気付くのが遅かったか……。

 今彼女らは、怖れる気持ちをおさえ、夫人の前で気丈をふるまっている。だが、殷春の言ったことは、かすかに聞こえて、涙が一粒こぼれ落ちるのを禁じえなかった。

 そのころ周思は広間に控え、側近らに指示を与えていた。威風も堂々と太守らしい威厳をたもち、防戦の指揮に当たっていたが、戦様はもちろんあやういものだった。自分たちを押し潰すかと思われるほどの人ならぬ獣の咆哮に破壊音が響きわたる。そしてついに、

「門がやぶられました!」

 という報告が入ってきたとき、さすがに眉一つ動かさずというわけにはいかず、歯噛みしてもろ手を強く握りしめた。

 轟きが迫ってくる。その中にまじわる獣の叫び声と、阿鼻叫喚の悲鳴。

 耳を、心を突き刺す。

 握りしめられた手から、血がしたたり落ちていた。

 四面の門はついにやぶられ、天軍は雪崩れこむとともに、殺戮をはじめた。

 城兵らは必死に戦うが、いかんせん数が違いすぎ敵を討っても討っても果てがない。また戦いの最中にも、放火に虐殺、暴行といった地獄絵図が目に飛び込み驚き悲しむ間に隙が入りこみ討たれてゆく者数知れず。

 またたく間にそこは屍山血河の地獄絵図を見せ広げてゆき、怒涛はまさに郭政を飲み込もうとしていた。

 なんの抵抗も出来ない人民に、天軍の軍兵はよってたかって殺戮をほしいままにする。女のむせび泣きと、悲鳴とあえぎ声が聞こえたと思えば、それは断末魔の悲鳴にかわり。子供の泣き声もまた無残に怒涛に飲み込まれ、小さな身体を血の池にしずめていた。

 もうそこは人の住む世界でなく、地獄どころか魔界が降りてきたようだった。

 秦覇の言う、まことの人の世とは、魔界をつくりあげることなのか。誰しもが無念の血涙をのみながら、いまわの際でうめいてこときれてゆく。

「もう、いかん。黄安尊殿、木吉殿!」

 鈴秀が悲鳴のような声を上げる。そばにいたふたりは、戦いながら何事か聞いた。

「ここはわしらがどうにかおさえる。そこもとらは太守をお連れして逃げてくれ!」

 返り血に染まりながら、血を吐くように叫んだ。その絶叫を耳にし、迷う暇なく、

「心得た!」

 と黄安尊と木吉は太守邸宅へ向けて駆け出した。長元も子分の忠澄に、

「おめえらも、一緒に行け! 周思様さえ生きてりゃ、後の仕返しもしようがあるぜ!」

 とこれも血を吐くように叫んだ。

「親分! ……わかりやした!」

 一瞬ためらった忠澄だったが、もうそれしかないと思ったようで黄安尊と木吉に続いて駆け出した。またそれに続けと言わんがばかりに、

「虎妹! あんたも若様を連れて一緒にいきな!」

 と叫んだ。

「さっきみたいに若様かついで、太守様と一緒に逃げるんだよ!」

 周鷲のそばで、周鷲とともに敵を振り払う虎碧であったが、その声を聞き、碧い瞳を揺らし戸惑ったようだった。

「龍玉の言うとおり、ここは我らに任せろ!」

「さあ、早く行ってください」

 という空路と南三零の声は周鷲にも聞こえたが、味方を捨ててどうして逃げられるかと無視を決め込み、ひたすら天軍と刃をまじえていた。


その九


 聞こえているくせに、と龍玉はかちんときた。

「この聞き分けの無いぼんくらのおぼっちゃまを連れて行けるのは、あんたしかいないんだよ」

 と声を張り上げる。

「それに、ここで一番腕の立つのは、虎碧、お前なんだ。お前がついていれば、我らは安心して残れるんだ」

「我らを大事と思えばこそ、是非とも行ってくださいな。でなければ、それこそ犬死にです」

 空路と南三零も血を吐くように叫ぶ。ひたすら盾を飛ばし敵をなぎ倒すも、やはりきりがなく、いつまで続くかどうか。そのかたわらで、無残な殺戮が繰り広げられている。どうにか全員を助けてやりたくとも、絶対的に手が足りないのだ。ひとり助ける間に、他で十人殺されていくのだ。

 周鷲は牙旗をしっかと握りしめながら、槍を振うもあえなく折られ、かわって剣を振う。虎碧の脳裏に、一瞬母の窮奇が思い起こされる。空路は、一番腕が立つと虎碧に言った。さっきの、周鷲を抱き上げて駆けるさまに、飛剣術、そして窮奇爪。これらはすべて、母から教わった技だ。それを見て、虎碧こそ一番の腕利きと思ったのだろう。

 虎碧に流れる血と、秘めたる力。これはなんなのだろう。なんのために、自分は生まれたのだろう。

「無念」

 と、虎碧の手にかかって死んだ母。閻氏胤王朝を復興させるために、遥か彼方の西方へ旅立ち、異形の力を持つという異民族の男と交わり、虎碧を生んだ。

 胤王朝を復興させるとなれば、戦をするということだ。それは、今目の前で繰り広げられている。

(お母さんは、こんなことをさせるために、私を産んだの……)

 その心は揺れた。

「行くなら、虎碧さんだけで行ってくれ! 俺はここに残って皆と一緒に戦う!」

 周鷲の叫び。虎碧の耳をつんざく。

 牙旗を握りしめ、返り血を浴び眼光も鋭く最期まで戦い抜く決意をみなぎらせていた。

「もう、この馬鹿! あんたまで死んじゃったら話しにならんでしょうがッ!」

 敵を倒しながら龍玉がぶち切れる。このわからずやめ、と。

「周鷲お兄さま、龍お姉さん……」

 これまでのことが、脳裏に閃く。龍玉との出会い。周鷲との出会い。そして、

(ひとときでいいから、夢を見たい)

 と周鷲と抱擁をかわしたときのこと。

 ふと、目が合った。虎碧は微笑んだ。

(え?)

 周鷲は、なぜいまのこのときに虎碧が微笑むのか迷った。碧い瞳が輝き、頬は桃色に染まり恋する乙女そのものの虎碧が、そこにはいた。

 それはこの修羅場で、一瞬だけ見る夢のようで。虎碧の笑顔に呆けてしまったその隙に、周鷲は虎碧に抱き上げられてしまい。風に乗っているかのような驚きと、虎碧に抱かれる照れくささを覚えながら。いったい何度虎碧に抱き上げられなければいけないのだろう。

「虎碧さん、降ろしてくれ。降ろしてくれ」

 とわめいた。しかし聞き入れられず、修羅場の中を疾風のように飛んでゆく。

 目の前には、邸宅目掛けて駆ける木吉に黄安尊と、忠澄の後姿も見えた。それすら追い越し、虎碧は駆け、追い越された方は修羅場の中呆気にとられて虎碧の後姿と、駄々をこねる子供そのものの周鷲を見送った。

 城兵らはよく守り、邸宅に近づくにつれ天軍の軍兵の姿は少なくなってゆくが、それもいつまでもつことか。徐々にでも、怒涛は木の葉を飲み込んでゆく。

 やがて邸宅に着き、驚く門番を横目に素早く奥へと入り込み、周鷲を周思の前で降ろした。

 父は少女に担がれてここまで来た息子の姿と、息子を担いだ少女を、まるで物のもののけでも見るような、呆気にとられる思いで交互に見交わしていた。

「いかがいたしたのだ」

 という間に、虎碧と周鷲が来たことを聞きつけた唐婦人や周菊、娼婦らがどやどやとやって来る。

「虎碧さん、どうしたのですか」

 と周菊が驚き問いかけている間に、木吉に黄安尊、忠澄が遅れてやって来て、しかじかの事情を話した。

「人民を捨て、我らだけで逃げよというか」

 という、予想通りの反応。しかし一瞬を争うときと、黄安尊引き下がらない。

「お気持ちはよくわかります。しかし、太守が死なれては、どうして今後の建て直しがはかれましょう」

「ばかな。民なくして何の周思か」

「お言葉ながら、民草とは案外しぶといもので。いかに天軍百万といえど、庸州人民をことごとく殺しつくすことなど、出来えぬことでございます」

 市井の出の黄安尊と忠澄は、民衆というものの不思議なしぶとさを説きつつ、生き残った民をまとめ上げ再びの平和を取り戻すためにも、心の支えとなる周思の存在がどうしても必要不可欠であると、必死に説いた。

 が、周思は、

「ならば、妻子だけを連れて逃げよ。我は郭政と運命をともにせん」

 と頑として聞き入れない。父が残るといえば、妻子までもが、

「自分たちもここに残って、郭政と運命を共にする。父を残して妻子のみが、なんぞ生をやすんぜん」

 と言い出し、配下の者非常に困った。そうする間にも、天軍は迫ってきている。破壊と殺戮の、魔獣の叫びはもうそこまで迫っている。かと思えば、

「て、天軍が邸宅に!」

 と門番は顔面蒼白で飛び込んできた。あの、殷春と喧嘩したあの若い門番だった。その必死の叫びとともに、天軍が十数名駆け込み、配下の者たちは得物を振るい応戦する。

 門番は顔は真っ青で、身体のところどころは血で真っ赤だった。修羅場のそばで、言うことを言った後どさりとその場で崩れ落ち、虫の息。

「おい、しっかしりろ。大丈夫か」

 と殷春とっさに門番に駆け寄り、「危ない!」と殷華が匕首を握って続く。侍女たちは悲鳴を上げながら周思らの後ろへ逃げた。

 天軍の軍兵は女たちを見つけ、良い獲物を見つけたと舌なめずりだ。そこへ周菊、薙刀をもって殷華と殷春、そして門番をかばいつつ天軍を追い払おうとする。兄の周鷲は、虎碧をひと睨みし、妹とともに天軍に立ち向かった。


その十


「……」

 虎碧、言葉もなかった。あんな目で周鷲に睨まれようとは。

 邸宅はすでに四方を囲まれ、守備兵必死に応戦するも、天軍がなだれ込むのを止められなかった。しかし不思議と火矢は射掛けられない。

 それもそうだった、

「どれだけ悪あがきをするのか、火をもちいずに、じっくりと刃でのみいたぶってやれ」

 と秦覇が命令を下していたからだった。が、邸宅にいる者たちには、そのことに気付く余裕はない。

「ああ!」

 と周菊が悲鳴を上げた。刃を受け、右肩が血に染まっていた。斬られて動揺する隙に、天軍に押し倒されてしまい、薙刀は主の手を離れ乾いた音を立て、床に横たわった。それとともに、殷華と殷春ももがいて抵抗するもむなしく、天軍の軍兵に押し倒され。門番は、虫の息でもうすぐ死ぬためかとどめをさすのも面倒臭いと、無視されていた。

 それからは、言うまでもなかった。周菊と殷華、殷春は着ている物を裂かれながら、心の奥底から込み上げる言い知れぬ恐怖から、地の底から響くような声にならぬ悲鳴を上げた。

 父母は我を忘れ駆け出し、無論周鷲や黄安尊も助けに行こうとする。そのとき。

 突如として剣が飛来し、周菊らを押し倒す天軍の軍兵を斬り払った。

 天軍の軍兵はぎゃあと悲鳴を上げながら周菊らからはなれて、血を噴出し転げまわった。

「虎碧さん……」

 という、周菊の声。恐怖から開放されたとともに、三人は新たな驚愕に目を見開き瞳を不安に揺らしながら立ち上がった。

 それは、虎碧が飛剣術をもってしたものだった。

 虎碧は、一同に笑顔を向けた。碧い瞳は、透き通るように輝いていた。

 天軍の軍兵らは、飛剣術を使った虎碧に驚きおそれをなし、さっきまでの威勢のよさをどこかに置き忘れたように、あとずさりする。虎碧の剣は、主を慕う鳥のようにその周囲をぐるぐると飛び回っている。そうかと思えば、今度は烈しく回転をはじめ。碧い瞳がきらりと光るとともに、烈しく回転する刃は、窮奇爪という技は、後ずさりする天軍向かい飛んだ。

 わっと声を上げ逃げ出すその背中に、剣は容赦なく斬りかかって血祭りにあげてゆき、悲鳴は轟き血煙あがり、それことごとく斃れた。

「碧い目の娘だ。あの碧い目の娘が……」

 魔獣の叫びが一転し、今度は悲痛な叫びとなって天軍に響きわたった。あのとき、秦覇を驚かせた虎碧のことは、誰の胸にも強烈に刻み込まれていたのだった。天帝こと秦覇は、天軍の拝むべき支配者であるとともに、その力ゆえに恐怖でもあった。それを、驚かせるような人間がいるとなると、その恐怖推して計るべしである。

 周思らが唖然と見守るのを尻目に、天軍の軍兵は我先に逃げ出し。碧い目の娘とわめきちらしている。途端に怒涛は邸宅から引いてゆき、取り囲む以上のことはせず、邸宅だけ浮島のように破壊から取り残され。おかしな話、秦覇の命令のために、業火につつまれるのをまぬがれた格好であった。

 無論皆がみな虎碧を知るわけではなく、「何をしているのか」と邸宅に突っ込むのをためらう者を叱咤する者もなかったわけでもない。しかし、恐怖の伝染というのは、ことに獣となり本能の集団と化した天軍にあってはたちまちのうちに草原に火が燃え広がるように広まり、意気盛んな者まで恐怖を本能的に感じてしまい、躊躇するようになった。

 そんなことお構いなく、周鷲は虎碧をじっと見据えていた。人を殺生出来ぬはずなのが……。

 碧い瞳は輝きながらも揺れ、周鷲をその中に映し出していた。まるで美しい水面に石を投げ入れたように、碧い瞳は映し出す周鷲を揺らし。剣はやはり鳥のように虎碧の周囲を飛び回っている。

 誰もが言葉を発せず、破壊と殺戮の轟きの中にありながら、沈黙の結界がはられた中に身を置いていた。

 それとは別に、殷春はしゃがみこんで、子供をあやすように、虫の息となった若い門番を腕にいだいていた。多少なりとも医の心得のあるものが、門番の様子を見ているが、無念そうに首を横に振った。

 殷春が門番にこうしているのは、咄嗟のことゆえに、殷春の心の中にある、人が本来持っているはずの優しさが出たのかもしれないと、殷華は考えていた。あのとげとげしかった殷春が、と驚きつつ。

「虎碧さん……」

 沈黙に耐えられず、唐婦人が声をかければ、続けて周菊も、

「虎碧さん。……いえ、お姉さま」

 と声をかけた。これが、何を意味するのか。

 虎碧の揺れる瞳から、涙がひとつぶこぼれ落ちた。それから、振り返りもせず、駆け出した。

「虎碧さん!」

 たまらず周鷲が後を追う。周菊も、周思すらも、その後に続く。黄安尊と木吉、忠澄らはいかんとこれも後を追ったが。

「馬鹿者! 皆が出ては誰が女たちを守る。お前たちはここにとどまっておれ!」

 という太守の一喝に、確かにそうだと黄安尊は邸宅にとどまり、木吉と忠澄は後を追った。

 邸宅を出れば、破壊の限りを尽くし天軍が郭政を阿鼻叫喚の地獄へと、人の住むことかなわぬ魔界へと変えてゆく。周思父子らは胆を引き千切られそうな思いを堪え、虎碧を追った。

 虎碧は、虎碧の剣は、露払いと天軍を払いのけ道を切り開いてゆく。まるで怒涛に裂け目を作るように。その裂け目を縫って、周父子らが追っていた。

 そうとは知らず、龍玉はいよいよ己の命運尽きるかと覚悟を決め。

「せめてあのあばずれに一太刀でも」

 と門を出て雪崩れ込む天軍を掻き分けながら慕蓉麗もとめて駆け出した。


第十三篇 怒涛 了

最終篇 流幻夢 に続く

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