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私はお兄様を愛している  作者: こつめ
Interlude‐Ⅰ 不慮

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acte,Baron Carliar

 カーリア男爵家。


 初代は商会で成功した平民である。叙爵は百年以上前。現在では歴史ある男爵家として社交界で認知されている。自他国に本支店を構えている為、納税額が高く王家の覚えもめでたい。

 

 現当主ダビデ・カーリア。

 幼少期から国内を始め諸外国を先代当主と共にまわり商売の全てを学んできた、カーリア商会会頭。


 当主夫人メアリ・カーリア。

 ダビデの幼馴染であり、父親同士が親友だった縁から婚約し後に結婚。カーリア商会会頭夫人。


 カーリア男爵令嬢アルマ・カーリア。

 ダビデとメアリの一人娘。

 

 15歳、ダビデとメアリ婚約。

 16歳、ダビデとメアリ結婚。

 20歳、ダビデ、商会の副会頭に就任。

 21歳、前当主夫妻の海難事故死に伴い、ダビデが当主及び商会会頭に就任。

 24歳、アルマ誕生。

 26歳、メアリが馬車の事故により死亡。


 その後ダビデは愛妻を失った悲しみに堪え切れず、アルマをメアリの両親に預け仕事へ没頭するようになる。2歳のアルマはメアリの生家があるケイヒル子爵領領地で育った。祖父母や使用人たちに慈しまれ、領民である平民の子たちと遊ぶ日々。5歳になった頃、気持ちの整理がついたダビデはアルマを迎えにやってくる。それ以降ダビデは国内の仕事へ出掛ける際、必ずアルマを伴い失った時間を埋めるようにして過ごしていった。国外に出る時はメアリの両親に再びアルマを預ける。それから三年後、ダビデはバルクと言う11歳の孤児を下働きとして引き取った。これを機にアルマは、王都にあるカーリア男爵家の屋敷で使用人たちに囲まれながら暮らすこととなった。ダビデが仕事に連れ歩くのはバルクに変わり、アルマは淑女教育を受けるようになる。再び父と疎遠になったアルマは寂しさを紛らわせる為、王都大教会へ通うようになった。暫くすると優しかった祖父母も次々と老衰で亡くなり、ますます王都大教会を心の拠り所とするようになる。


 ダビデはアルマが12歳になると、進学先の選択肢を提示した。13歳になると貴族のみが通う学園か、平民も通える学校か選ばなくてはならない。学校に限っては子爵、男爵と言った低位貴族の令息令嬢のみ通うことが認められていた。なお学校は通える平民だけとされ、必須ではない。ダビデはアルマがどちらを選ぶかで結婚相手を決めることにした。もし貴族学園を選ぶなら子爵位以下の次男、三男あたりが望ましい。もし学校を選ぶなら平民でも構わない。どちらの場合も変わらないのは、アルマにカーリア男爵家を継いでもらい、相手には婿入りしてもらうことだった。


 アルマは学校を選んだ。


 この時アルマがデビュタントを迎えるまでに望む相手が現れなければ、バルクと結婚させようとダビデは密かに決めた。いずれバルクには商会を継がせようと考え育ててきたから、結婚相手としても申し分ない。それに二人の仲も悪くはなかった。


 今ですら家族のような二人なのだから問題ないだろう。


 愛娘の結婚に目途がついたダビデは新しい事業に着手し、忙しいながらも充実した日々を送っていた。アルマも学校で貴族家の令嬢方と仲良くなり、学校生活を楽しんでいる。得意の刺繍で親交を深め【刺繍の会】を立ち上げると、毎月持ち回りで茶会を開催し発表の場を設けた。王都大教会に通うのも相変わらずで、15歳で学校を卒業するまでの間アルマがダビデに誰かを紹介することは一度もなかった。ダビデはデビュタントまでにアルマ自身で結婚相手を探すか、自分に全て任せるのか決めるよう一年の猶予を与えることにした。


 そして運命のデビュタントボール。


 あの日、愛娘から目を離してしまったことを思い返す度に後悔するダビデ。父にも友人たちにも声をかけず、一人で会場を出てしまった事を何度も後悔したアルマ。地獄のような、あの夜が明けてから本当の地獄が始まった。アルマが国内にいると危険だと判断したダビデは、持ち得る限りの人脈を全て使い、他国の修道院を手配した。すぐに貴族籍から除籍し全て片付いたら秘密裏に復籍しようと準備する。その時が来たらバルクに話を通し、婿に入れて二人を結婚させよう。ダビデはアルマを出国させると、バルクを始め周囲には「病が見つかり、他国で療養させることにした。」と嘘をついた。事情を知っているものは誰もいない。人を雇う時は何人も間に介したし、金を使って痕跡は慎重に消した。しかし修道院に入れて安心したのも束の間、アルマの妊娠が発覚し出産後は修道院を出なければいけなくなった。


 こうなったらバルクを養子に迎え、商会と一緒にカーリア男爵家を継がせるしかない。


 アルマとティアナの帰国を手配し、入れ違いでバルクを他国へ出した。バルク本人にも、養子縁組のことは伝えず支店を視察するように指示する。目的は顔見せと人脈作り、それと不正の監査だ。時折り帰国させては本人自ら報告させた。かなり時間はかかるが、男爵家も商会も継がせる為の養子縁組を想定しているのだ、周囲を納得させる為にも何よりバルク本人が後継者足り得るのかダビデ自身が慎重に判断する必要があった。本来なら親戚がいるのでアルマが継げない場合、その中から選ぶのが定石だが親戚全て皆、何かしら商会に関わっている。その中から誰を後継者に選んでも揉めると想像に難くない。だから最初からアルマの結婚相手は親戚以外から選ぶことを決めていた。周囲から、そろそろアルマは帰国しないのか、後継者はどう考えているのかと話題を振られるたび「娘はまだ療養中です。」「後継者のことは考えていますが何せまだまだ現役で、やりたいことが山ほどありますから。」と嘯いた。そうやって五年ほど経った頃、ダビデはバルクに「養子縁組をして、いずれはカーリア男爵家と商会を継いで欲しい。」と打診した。バルクは戸惑いながらも頷き、半年の準備期間を経て養子縁組と後継者お披露目を祝う夜会が催された。その場で「アルマは健康を理由にカーリア男爵家の継承権を放棄することとなった。そのまま療養先で暮らすことになる。」と発表し最後まで除籍したことは隠蔽した。バルクを養子にしたことと、表向きはアルマが継承権を放棄したことで人々からアルマのことを問われることは無くなった。それからもダビデは当主で居続けた。年齢を考えれば養子にしたバルクへ、すぐにでも爵位を譲った方がいい。分かってはいても、全てはアルマとティアナの為だった。


 せめてティアナが成人するまで。金と力を持っていなければ、いざという時、動けないし守れない。


 そうやって過ごしているうちに、王都の下町で流行病が広がった。貴族として商人として出来ることをしようと思い、薬と日用品の在庫を支援することにした。配給は王都内の各教会で行うこととなり、これを機にバルクを副会頭に据え責任者に任命する。アルマが懇意にしていた、王都大教会には別に寄付も弾んだ。そんな中、願い虚しくティアナが罹患しアルマが看病で、つきっきりとなる。せめてもと薬と金を陰ながら援助するしか出来なかった。病は長引き、完治まで一年を要したが幸いアルマは罹患せず無事健康を取り戻したティアナに人知れず喜んだ。長かった流行病がやっと終息し、王家主催の夜会が催された場でダビデは褒賞を受けた。王家は陞爵を提示したが、代わりに領地をねだり王領となっていた亡き妻メアリの生まれ育った土地、元ケイヒル子爵領を賜った。


 そうしてやっと日常を取り戻し、久しぶりに顔を出したサロンでダビデに声をかけてきたのがエリオット・アーガンだった。

【刺繍の会】

・アルマが発起人となり立ち上げた刺繍を嗜む同好会

・主に学校に通う低位貴族の令嬢方が参加し、持ち回りのお茶会で作品を発表していた

・お互いの技術を教えあい高めあう同好会の為、会員の技術力は高い

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