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私はお兄様を愛している  作者: こつめ
本編第2章 希望

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acte-011

 家門の紋章がない馬車の中でエリオットは、ゆったりと足を組んだ。対面に座るエマに問いかける。


「ティアナはどうだった?」

「大人しくて素直で。話し方もしっかりされていますし、大変可愛らしいお嬢様でした。」

「そうか。」


 エマには父とアルマの話は一切していない。


 事情を全て把握しているのは、ベントリーだけにしてある。とんでもない醜聞を、わざわざ自ら広める気は毛頭なかった。


 一月近く前のアーガン伯爵家、応接室を思い出す。


 今回、ベントリーではなくエマを同行させたのには理由があった。


 カーリア男爵とアルマ、ティアナを呼んだ時ベントリーを控えさせたが配慮に欠けていたと遅ればせながら気付いたからだ。


 そもそも、いくらベントリーしかいなかったとは言え、アルマとティアナを迎えに行かせたのは不味かった。

 ベントリーを覚えていたのなら、アルマは恐怖を感じたことだろう。


 そこでエマを呼び寄せることにした。

 元々、エマは当主になって落ち着いたら王都に呼ぶつもりだった。少し予定が早まっただけだ。


 ベントリーは信用しているがエマは信頼している。


 ベントリーとエマの違いは、伯爵家ではなくエリオット自身に仕えているところだった。


 そっと瞳を閉じた。


 あの日カーリア男爵とアルマに謝罪と説明、提案をしてからすぐアルマのデビュタント前後を調べた。


 今日の話し合いに関する先触れをもらうまでの凡そ三週間。


 結果デビュタント前後に取り立てて気になるところはなかった。

 

 なので学校時代を遡って調べてみた。分かったのはアルマが学校に通い始めてから仲良くなった、子爵令嬢二人と男爵令嬢一人とで【刺繍の会】を立ち上げたこと。

 四人とも素晴らしい腕前で、周囲にも評判だったらしい。


 持ち回りで毎月茶会を開いては親交を深めていたようだが、それだけで別に特筆すべきところはない。気になるのはその場に度々、貴族学園に通う子爵令嬢や男爵令嬢も招かれていたということだった。


 そしてその中の数人に、カーリア男爵自ら声をかけ援助をしていた。


 三年後、卒業と同時期に【華】が誕生した。


 恐らく、初代華たちはアルマの旧友たちだ。


 学校に入学したアルマは、得意の刺繍で出来た友人たちとの交流を楽しんでいた。

 カーリア男爵は娘の友人で刺繍の才能がある令嬢や、経済的に困窮している令嬢などを援助して腕を磨かせ職業夫人の路を用意したのだろう。


 確たる証拠は得られなかったが恐らくそう外れてはいないはずだ。ならば提案を受けさせる切り札として使えるかもしれない、そう思った。


 ただ、アルマの異性関係だけは遡っても何も上がってこなかった。貴族令嬢として、おかしな行動を取っている節は一切なかった。


 淑女教育に励み、熱心に教会へ通う。


 教会は神聖な場所だ。逢瀬に選ぶようなことなど思いつきもしないだろう。


 第一、司祭や司祭見習いは性行為を行うこと自体、罪とされている。見つかれば双方死罪、とんでもないリスクだ。


 瞳を開いてエマを見た。


 何も事情を知らないエマから見ても、父とティアナが親子だとは分からなかった。


 ならばこのまま、隠し通す。

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