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私はお兄様を愛している  作者: こつめ
Interlude-Ⅱ 流言

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acte,floraison

《シーヴァス暦354年 初春》

 近頃、新しい【華】が咲いたらしい。


 社交界で流行りものを何より好む人々は我先にと噂した。【華】とはカーリア商会が取り扱う刺繍作品を生み出す、作家のことを指す。十三年ほど前からカーリア商会は刺繍を入れたハンカチやクラバット、ケープなどの販売に力を入れていた。従来の刺繍作品と違うのは、それを生み出す作家たちとその販売方法にあった。まず、刺繍を刺しているのは平民の職人ではなく子爵位か男爵位を持つ女性か夫人、令嬢たちだった。彼女たちの家門や名前は一切公表されず、刺した作家本人を現す華の紋章が作品に隠して刺されている。身分ある貴族女性が刺した証として、カーリア商会は作品全てに小さな商会紋を付け品質を保証していた。


 出来上がったものをカーリア商会が販売するのだが、その販売方法も独特だった。まず、受注を受け付けない。それは作家本人が自らの裁量で作り上げ、卸したものをカーリア商会が認めた場合のみ販売するからだ。常時購入出来るわけではなく、しかも基本一点ものなので希少性が高い。流行りに敏感な貴婦人方から社交界へ瞬く間に広まり、根強い人気を誇っていた。


 その刺繍作家に新たな【華】が加わった。

 モチーフは黄色の百合、イエローリリー。


 作家の名はアリー・シュトラウ子爵。元男爵令嬢アルマ・カーリア、その人である。

【華】

・カーリア商会専属刺繍作家たちのこと

・その身元は徹底的に伏せられている

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