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魔女の御伽話  作者: たかさん
目を曇らせる魔法
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プロローグ

 暖かな日差しが降り注ぐ青々とした草原。四方は静かに広がる鬱蒼とした森があり、人の足がそう簡単に踏み入れられる場所ではない。そんな閑静な風景の真ん中、なだらかな丘の上に小さな家が一軒ポツンと建っていた。

 その家の中では、灰色髪の少女がソファの上で暖かな日差しを浴びてぐっすり眠っている。眠っている姿すら息苦しいほど美しい少女は『知識の魔女』グレイヤ・アステア。千年に一度の才能を持つ魔女である。


「・・・うう、アツい」


 いくら暖かな日差しだといえ、何時間も浴び続けていると流石に暑さを感じるようになるものだ。結局グレイヤはその暑さに耐えきれず、眉をひそめながら目を覚ました。グレイヤはゆっくりと上半身を起こし、ソファにもたれかかるようにして座り直した。


「腹減った」


 グレイヤは無表情のまま、ぽつりと呟いた。家に戻ってきてから何日間何も食べずに眠ってばかりいたのだから、腹が減るのも無理はなかった。グレイヤはこの空腹を満たすためにソファから立ち上がって家の中に食べ物が残っていないか探しはじめた。だが家の隅々まで探して見ても、食べられそうなものは何一つも見つからなかった。かろうじてパンの一切れを見つけたが、


「流石にこれは食べられないかな」


 パンの上には白いカビが生えており、食べたら数日間腹が痛くなりそうなビジュアルだった。仕方なくグレイヤはパンを焼き払った。そしてため息をつきながら立ち上がった。


「こうなると仕方なく村に行くしか」


 グレイヤは机の上に適当に投げておいた小さい袋を手に取り、中を覗き込む。その中には、前回の依頼の報酬で受け取った金貨が八枚入っていた。

 グレイヤは袋の中から金貨一枚を取り出した。


「これで十分だろう」


 グレイヤは金貨をポケットに入れ、ハンガーにかけてあった黒いローブをまとった。


「あ、これはちょっと暑いかな」


 グレイヤは黒いローブをじっと見下ろしながら少し悩んだ。外はそれほど暑くはなかったが、寝ている間ずっと陽を浴びていたせいで、身体がすでに火照っていた。結局、ローブを着るのはやめることにしたグレイヤはローブを脱いで、ハンガーに放り投げた。

 外出の準備を終えたグレイヤは、玄関へと向かった。そして、ドアに手を伸ばそうとしたその瞬間、突然ドアが勢いよく開かれた。


「え、なんでドアが勝手に」

「魔女様ぁ!」


 ドアが開くや否や、一人の少女が飛び込んできて、ドアのすぐ後ろにいたグレイヤとぶつかった。無防備だったグレイヤはその衝突に対応できず、そのまま後ろへと倒れ込んだ。グレイヤは目の前に星が見えるようだった。


「痛いぃ」

「魔女様ぁ!」


 床に座り込んだグレイヤの前に、少女が大股で近づいてきた。少女はグレイヤの前にしゃがんで焦った顔で口を開いた。


「どうかワタシの依頼を受け入れてくださいっ!」

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