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魔法を信じる世界
青い夜の中に光る、蜂蜜色のお月様
どうか、このまま夜が明けないでくれ……。
眩しい朝が幻でも、手首の傷は治らない
どうか、このまま終わりを見せてくれ……。
魔法にかけられた世界が赤く染まっていく
花は姿を茶色に変えて、虫は干からびる
僕等だけは命の灯を燃やして
なのに、一番に『終わり』を求めてる
古い病院の一室、点滴のメトロノーム
止まったリズムを知っても
僕等はどうして驚かないのだろう
どうして何も感じないのだろう
白い夜に出会えても、黒い朝には会いたくない
眠れない夜はどうすれば、朝と出会わないのだろう
魔法にかけられた世界が赤く染まっていく
青かった空は灰色に、動物達は干からびる
僕等だけは命の灯を燃やして
なのに、一番に『死』を求めてる
世界が赤く染まった夜
黒い朝を迎えない方法は『終わる』事だと
世界が赤く染まった夜
白い朝を迎える方法は『始める』事だと
魔法にかけられた世界から聞いた
最後の人生論らしい