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エピローグ

翌週、玲奈の端末に一通のメールが届いた。差出人は海外の研究者。簡潔な英語でこう書かれている。


あなたの通信ログを一部拝見しました。極めて興味深い符号です。

私は、これは高次元幾何学を表現した可能性があると考えています。


それは玲奈が薄々感じていたことだった。文字や数字で書かれた“言語”ではなく、より抽象的で高次元的なアプローチ――まるで四次元以上の図形を断面で切り出したかのように、断片化されたパターン。もしそれを解読できれば、地球の常識を覆す“宇宙の声”が聞こえるかもしれない。


拓海は、次の観測パルスを追い求めるため、早速新しい電波望遠鏡の改修計画に没頭している。陳は依然として懐疑的な態度を崩さないが、どこか昔の自分を見ているようで内心楽しんでいるようにも見える。有村は資金を集めて、量子ゲート実験の第二段階に着手した。


誰もが答えを知るわけではないが、皆、どこか期待に胸を膨らませている。やがて来るかもしれない次のパルス。そこに待っているかもしれない、初めての“異星とのコンタクト”。あるいは、まったく未知の物理法則の発見――。


未来はいつだって白紙で、どんな絵を描くかは私たち次第だ。


玲奈はそう思いながら、夜のキャンパスを一人歩く。冷たい空気が肌を刺すようでも、不思議と心はあたたかかった。


そっと空を見上げると、見慣れた星々が瞬いている。その光のさらに向こう、銀河の向こう側で、私たちは繋がっているのだろうか。量子もつれの彼方に、誰かがいるのだろうか。


その問いに答えられる日まで、玲奈たちの挑戦は終わらない。

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