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4.一角

初めての漁から1か月たった。


あれから1回も漁に出ていない。

久々に漁に出ることにしようかなーと思った。

ここ最近は石鹸や石鍋なんかの作成をしていて、

運動不足気味になっていたので久々に外で運動したい。

大物と戦って狩りたいなー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


1か月ぶりの海は穏やかで過ごしやすそうだった。

絶好の漁日和なのでウキウキしながら潜る。

海の中も穏やかでかなり泳ぎやすい。

大物狙いなので今回も海底の深い海まで泳いでいく。


海底が見えないとこまで泳いでくると、

以前狩った魚と同じぐらいの魚がちらほら見える。

気配も探ると遠くにかなり大きな気配を感じる。


目当てを見つけたので向かってみる。

すると気配の方もこちらに気が付いて向かってくる。

その為すぐに接触することができた。

そいつはイッカクのような見た目のヤツで、体だけで5mはある。

そして目を見張るのは鈍色に光る立派な一本角である。


イッカクは凄まじい速度で突撃してくる。

身をよじって何とか避けるが、肩を掠る。

角のねじれた表面がギャリギャリとこちらの皮膚を削られる。

どうやら角の硬さは向こうの方が固いらしい。

しかし!体の方はどうかな!

こちらも負けづにすれ違いざまに引っ掻くと、簡単に爪が通る。


イッカクの皮膚から血が流れ海に舞う。

相手はひるむことなく反転してこちらに突撃してくる。

速度は速いが直線的だから避けれると思って早めに避けた瞬間、

奴は体をよじって角先をこちらに合わせて突き刺される。

腹部を角が貫通する。

そのまま行き良い良く突撃してきて、一気に根元まで刺される。


「痛い!痛い!痛い!」


今まで感じたことなかった痛みに思わず叫ぶ。

だが、根元まで刺さってくれたおかげで頭部が目の前にある。

全腕で頭をつかんで魔力を蓄える。


「お返しだ!くらえ!」


全力の電撃攻撃を頭部に流す。

イッカクは余すことなく電撃を受け全身を痙攣させる。

30秒ほど流して様子を見ると、動かなくなっていた。

刺さった角を抜く。

ねじれてるせいでめちゃくちゃ痛い。

今までの経験で一番のダメージだった。

回復魔法で体に空いた穴を塞ぐ。


イッカクの肉体をつかんで浜まで泳ぐ。

泳いでいると周りで魚が浮いている。

放電で周りまで余波が広がったみたいだ。

そんなん事を眺めながらゆっくり泳いでいく。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


つ、疲れた。

イッカクを引き吊りながら浜に上がる。

浮力がなくなると途端に重くなるな。

ここで解体して軽くしていくか。

お腹を開いて内臓を取り出す。

海に着けて血抜きを行いながら周りを見て気が付く。


目の前に漁村がある。

村民たちがこちらを指さしながら何か言っている。

……疲労で周辺の確認を怠っていたな。

今更移動するのもめんどくさいので解体を続ける。


肋骨を背骨から外してさばいて三枚におろし、

頭も角が欲しいので切り落としておく。

最終的に肉の半分程捌いたがこれ以上は持ち帰れそうにないな。

次からは縄なんか用意した方がいいかな。


残った肉はどうしようかな……。

海にでも捨てようかなと思ったが目の前の漁村を見て、

まぁいいか新鮮だし食べるかな?と思って放置することにした。

欲しいものだけ抱えて山に帰ることにした。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


あれからしばらく経ってから、

また漁に出ようかなと準備をする。

イッカクの角を切り落として槍を作った。

固く切り落とすのにかなり時間がかかった。

それと、荷物を回収する用の縄を用意した。

今回はこの槍を使って魚を取っていこうかなと思っている。


いつも通り海に来て潜っていく。

気配を探ると気になるものを見つけた。

イッカクと似た気配が海面近くにいるのだが、

その周りに小さな気配がいくつかある。

近づいてみると何かわかった。


イッカクが小さな漁船を攻撃していたのだ。

角で穴をあけられて沈みかかっており船員が右往左往している。

巻き込まないように電気は使えないな。

そう思案しているとイッカクが気が付いてこちらに突撃してくる。

今回はツララを飛ばして視界を防いでから避ける。

そしてすれ違い様に槍を突く。

槍はイッカクの腹に命中し深々と突き刺さる。

引き抜くと大量に出血する。


悶えているが、すぐに再突撃してくる。

こちらも再度ツララで目くらまししながら回避して槍で突く。

命中するとイッカクは小さく痙攣して絶命した。


槍を引き抜いて持ち帰るために尾びれにひもを結ぶ。

そして放置していた小舟を見るとほぼ沈みかかっている。

何人かは海に投げ出されている。

見捨てるのも忍びないので助けることにする。


小舟の穴を氷でふさぎ、持ち上げて水を抜く。

そして落ちてる船員を拾って乗せていく。

船をのぞき込むと何人か、けがをしているので回復魔法で治す。

そしてビート板代わりにつかんで岸まで泳いでいく。

最初は怯えていたが、岸の漁村が見えてくると落ち着いていた。


岸まで乗り上げると乗員達は船をおりて寝転がったり座り込んだりしていた。

それを横目にイッカクの解体を行う。

運んでいる間に血抜きは終えているので内臓取りだして、

肋骨周りをばらし頭部を切り落とした後

前と同じように半分程をひもで縛ってまとめる。

乗員達を改めてみたが特に問題なさそうだったので山に帰った。

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