"爆弾魔"1
デジタル化の真の目的は?
宗教とは神なのか?
秘密結社は敵か味方か?正義か悪か?
史上最大規模の都市伝説が始まる...
≪爆弾魔≫
「こいつは悪」
だなんて、誰にも理解されないが。
テレビ画面に向かってそう告げた拓馬は、不満げに冷蔵庫から麦茶を取り出す。
口笛を吹けば気の向くまま。
世の中は選挙一色。報道や新聞、Xなどでは連日選挙の報道がなされている。
「本当に選挙行かない奴なんているのかよ。アホらしい。これだけテレビで報じているのに」
大学の同級生、鈴井裕也。1年生の時からの親友で、昔っからテレビが大好き。口を開けばやれ芸能人だ番組だ、挙句の果てには芸能人というだけで、知りもしないアイドルのライブにまで行ってしまうほど、情報というものを純粋に受け止める事に長けている。
選挙というものは本当に皮肉である。
”労働奴隷製造工場”
俺たちはそう呼んでいる。
どんなに若者が選挙に行ったって、結局搾取されるのは現役の労働者。しかも企業は若者に対してこぞって給料を渋るから、優秀になったって一定額以上の金は貰えない。得をするのは"今"資産と安定した地位がある年配だけだ。
裕也は新聞を片手にコーラを口にする。
「資産なんて、今の時代にどうやって築けって言うんだよ。所得税高すぎんか。」
実際問題、裕也には貯蓄はほとんどない。
「爆弾テロだってさ。」
「選挙に不服でもあるんじゃねえの?知らねえけど。」
つっけんどんな返しをした拓馬は、もう寝室に入り寝る準備を始めている。夜勤明けの体に、睡眠以外の思考が全く受け付けられない。