初めての出会い。
僕は今日悪いことをする。
僕は中学3年生。成績、運動、見た目においてすべてが普通、友達も多くはないがそれなりにいる。
そう、僕の日常は普通なのだ。でも僕はそんな普通の日常に嫌気がさしていた。
だけど今日、僕は深夜に外に出る。特にこれと言ってすることはないが、コンビニでも行こう。
こんな田舎でも家から歩いて5分ぐらいのところにコンビニがある。
親は二人とも寝ている。二人とも5連勤明けだからか夜9時にはもう寝ていた。
『ピピピピ.....』
午前0時過ぎにセットしていたタイマーが鳴った。
悪いことを始める合図だ。
今は7月のはじめということもあり、外にはパジャマのままいける。
小さい頃に遊園地に行くときみたいな気分だ。
ワクワクした気持ちで僕はコンビニに向かった。
だが深夜コンビニに行ったからと言って、お酒が買えるわけでも明日から劇的に何かが変わるわけではない。
だが平凡な僕にとって深夜外に出たというだけでも大きな変化なのだ。
特に何かが起こるわけでもなくすぐにコンビニに着いた。
深夜っていうこともあり、客は誰もいなかった。
何かを買うために来たわけでもなく欲しい物もなかったけれどのどが渇いていたからジュースを1本買うことにした。
難なくジュースが買えてしまい、少し僕は残念に思った。
他に買うものもないので外に出ることにした。
外に出るとコンビニの前に制服姿の女子高生の姿があった。
僕は内心不思議に思った。
なぜこんな深夜に制服姿の女子高生がいるのだろうと。
そんなことを考えていたら女子高生が話しかけてきた。
「君まだこんな時間に出歩いていい年齢じゃないでしょ」
僕はドキッとした。でもこの時間は女子高生も出歩いてはいけない時間なはずだ。
「お姉さんこそこんな時間に出歩いちゃいけないですよね」
と質問すると女子高生はすぐに
「今は私の話じゃなくて君の話でしょ」
とあっけなく返されてしまった。
僕は心臓の音が聞こえそうなほど心拍数が早くなっていた。
それもそのはず、学校に言われたりしたら親にも伝わるからだ。
1人で冷や汗をかきながら考えていたら急に
「私、高校2年生の木村楓。君は?」
と話しかけてきた。僕は、学校に言われたり、警察を呼ばれるんじゃないかと焦っていたのと裏腹に自己紹介を急に始めてきて驚き
「はへ?えっと、中学3年生の石崎祐樹です」
と変な反応をして名前を言ってしまった。
これでもう言い逃れはできなくなってしまい、僕は心の底から後悔をしていた。
そんな後悔をしているとまた話しかけてきた。
「ゆうき君ね、悪いことしてる同士よろしくね」
と言ってきたのだ。僕は"悪いことしてる同士"という言葉にとても魅かれた。
そうだ僕は今普通じゃない。このことを思い出しとても気分が高揚し笑顔になった。
僕はなぜ彼女がこんな深夜にコンビニにいるのか気になり聞いてみた。
「なんでこんな深夜にコンビニにいるんですか?」
「それはゆうき君も一緒でしょ、私は少し気分転換に。ゆうきくんはなんでコンビニ来たの?」
彼女は笑いながら答えた。僕は聞かれると思っていなく、慌てて答えた。
「えっと、僕も気分転換しようと思って」
僕は嘘をついたつもりはない。なぜならこの息苦しい日常から抜け出したく深夜のコンビニに来たからだ。そんなことを考えていたらまた話しかけてきた。
「いつもこのコンビニに来るの?」
「いつもこの時間に夜食とか買いに来ますよ」
僕は何をしているんだろう。知らない人に見栄を張ってしまい、いたたまれない気持ちになった。
この場から早くいなくなりたいと考えていたら急に
「私明日も学校だから。"またね"
高校生になると土曜日でも学校あるんだよ~」
と少しお姉さんぶって僕の家とは反対方向に歩いて帰っていった。
僕も明日部活があるので早く帰ろうと思い、早足で家に向かった。
もしかしたら早足ではなく、スキップになってしまっていたかもしれない。
帰り道僕は少しワクワクしていた。なぜなら深夜に話す友達ができたからだ。
彼女が僕に言った"またね"がずっと頭の中でこだましていた。
家に帰ってくると自室の時計の針は午前3時を指していた。
早く寝ようと思い布団に入るが、まだ気分が高揚しているのかなかなか寝付けない。
これからの日常に小さな楽しみができた気がして、夜が待ち遠しいと思えてしまう。
僕はまた次の夜に出かける。