Episode.2-1
「白狐の塔……あれが、塔か」
街へ入り少し進むと大通りに出た。そして真っ直ぐ先に白く薄らと輝く塔が見える。俺の一週間の冒険がとりあえず一段落したわけだ。
「行くよー」
少し前を歩くハが俺を呼ぶ。
これからおれの冒険の第二部が始まる。
そんなことを考えながら塔の管理協会へと向かう。道中すれ違う人達の中には巨大な剣や盾を担いだ人や魔石の埋め込まれた杖を持った人など、いかにもというような冒険者が何人もいた。
ついに今日から冒険者だ。俺は駆け足でを追いかけた。
管理協会は塔からそんなに離れないところに建っていた。というかそもそもこの街が塔を中心にできているから、どこに行くにもそこまで離れているところなんて無さそうだが。
「なんか、普通の建物だな。役所みたいな」
冒険者が集まるであろう管理協会だが、割と綺麗な建物だ。まぁ、でかくはある。
「役所みたいなものだからね。パパっと済ましちゃおう」
いつもの笑顔でそう言うと、ハは先に中へ入って行ってしまう。
長年というわけでは無いが、夢にまで見た冒険者。その第一歩なのだから、もっとこう、踏みしめたい気持ちとかあるじゃん。
「置いて行くなって!」
俺は駆け足でハを追いかけた。