ドロップ品のお披露目
「本当に申し訳ありませんでした。部下の教育が甘かったせいで毒物の混入などを許してしまい…」
ギルドマスターが深々と私達に頭を下げて謝罪する。
サクヤはそれを宥めて止めさせてから、すぐに商談に移った。
「では、Sランクモンスターのドロップ品を見せていただけますかな?」
サクヤが本当に気にしていないことが分かったのか、ギルドマスターは本来の目的を口にする。
頷いたサクヤが、シーサーペントの涙、シーサーペントの牙、イエティの毛皮、ギガントブラックタイガーの毛皮、ギガントブラックタイガーの雷角、レッドドラゴンの牙、レッドドラゴンの肝、レッドドラゴンの目玉、アラクネの毒牙を順番に空間ボックスから出していく。
ドロップ品は全て共用の空間ボックスに入れてあるため、サクヤでも扱える。
「おお…素晴らしい…!素晴らしいですぞ!レッドドラゴンとアラクネなど、SSランクのモンスター!そんなものがうちのダンジョンに潜んでいた事には恐怖を覚えましたが…しかし、それらは全て倒され、こうして私の目の前に!ギガントブラックタイガーの毛皮も見事です…!これほどの品はダンジョンのドロップ品でしかお目に掛かれないでしょう」
そう言いながら、一つ一つ品定めをするように鑑定していくレギオン。
三十分ほど、品定めをすること暫し。
漸く、落ち着きを取り戻したのか、ソファーに腰を下ろすギルドマスター。
ドロップ品への感動からか、生き生きとした目つきでこちらへ視線を向けてくる。
「それで、宝石が多数とのことでしたが、出来るならブルーダイヤモンド、イエローダイヤモンド、パープルダイヤモンドの三つを見せていただけますかな?」
「はい。こちらです」
テーブルに宝石箱が置かれ、そこへ出す様にと促される。
ブルーダイヤモンドとイエローダイヤモンドは問題ないが、パープルダイヤモンドは大きさ的に入りきらないので、専用の宝箱の蓋を開けて中を見せた。
「おお!これは…このパープルダイヤモンドの大きさは…いやはや恐ろしいですな。これ一つで、国一つ分の領地が買えそうです。王族が国庫を傾けても、買える代物ではありますまい」
だよね、わかってるよ、そんなこと。
とんでもないものだってことぐらいは理解している。
一応、指定されたので見せはしたが、ギルド支部程度で買い取れるなどと思う筈もない。
「ではこちらは仕舞っておきますね」
取引にならない物はさっさと空間ボックスに戻してしまうサクヤ。
レギオンはもう少し眺めていたかったようだが、悔しそうに唇を噛んだ。
「ではまずブルーダイヤモンド(中)ですな」
そう言いながら、ルーペを取り出して宝石の傷や透明度を鑑定していく。
「ほう…やはり素晴らしい。中粒とはいえ、この透明度は鉱脈では決して採れないでしょう。こちらのイエローダイヤモンドも、傷が少ない上に、この輝くような黄金色…!素晴らしい色合いです!」
「そうですか。それはよかったです」
にっこりと笑みを浮かべたサクヤが相槌を打っている。
ブルーダイヤモンドとイエローダイヤモンドは他の宝石よりも希少価値が高い。
それ故、出来ればギルドで買い取りたいのだろう。
他の宝石は、また商人ギルドに卸すことになりそうだ。
「で、他のドロップ品は如何なさいますか?」
「はい。此処で出していただくには量が多すぎますので、一度倉庫へ移動しても?査定には出来れば半日程お時間を頂きたいのですが…」
「ええ、かまいませんよ。では、今出したものは一度収納しておきますね」
そう言って、サクヤは高ランクモンスター達のドロップ品を空間ボックスへ収納する。
応接室から出て、レギオンに案内されて、倉庫に到着する。
本来解体所を兼任しているその場所で、大きな台の上にドロップ品を出した。
作業員達は何事かと、目を瞬かせている。
「これで全部ですね」
「はい、では確認させていただきます。夕方には査定金額を提示させていただきますので、再度足を運んでもらうことになりますが…」
「ええ、分かりました。では、ついでに彼の冒険者登録をお願いできますか?」
そう言ってサクヤはローゼンに視線を向けた。
ギルドマスターも気になっていたようで、ローゼンを見る。
「ええ、勿論です。新しいパーティメンバーの方で?」
「はい。スキップ試験をお願いします」
「分かりました。では、登録は受付でお願いします」
そんなやり取りの後、ギルドマスターは審査をAランク冒険者に委託し、自身は山になっているドロップ品の鑑定を行うようだった。
受付で提出された登録用紙に、私はローゼンの名前だけをロイと偽って書かせた。
ついでに聴覚認識変換魔術を展開して、ローゼンの名が冒険者として活動している間だけ、ロイと聞こえるように世界全土に催眠を付与する。
割と大規模な魔術回路だった為、結構魔力を持っていかれたが、幻獣を消さなければならないほどではなかった。
ちょっとこの後すぐに戦闘しろと言われれば、キツイレベルではあったけれど。
サクヤやエルノアは私の無駄な魔力消費に頭を抱えていた。




