色欲魔神(アスモデウス)に通ずるもの
「そうか。事情は理解した。それで、お前たちが身体を重ねた結果、真なる神獣にランクアップしたのか」
「ああ」
頷いたミズキを見て、ローゼンが私に視線を移す。
「…レイ。色欲魔神を相手にするのにどれだけの戦力が必要なんだ?」
「私が元の力を取り戻す前提で、究極神獣が少なくとも二体。万全を期すなら四体…かな」
「お前の力はどうすれば戻る?」
「今大陸中に幻獣を放ってるでしょ?その加護下にある国が、アフロディーテを信仰するようになれば少しずつ戻ると思う」
「…つまり時間が掛かると」
信仰の改革が早急に進められることなどまずない。
速くても数年、遅ければ十数年かかる可能性もある。
幾ら幻獣を神聖化し、共存を選んでも、その主に信仰が向くかどうかは、その国しだいだ。
まぁ、早まる様に努力はするつもりだけれど。
詳しい事情を知らなかったシルビアも、難しそうな顔で俯いている。
「ええ。その前に色欲魔神の封印が解ければ、かなり絶望的。とはいっても、魔神の力を使って作り出したのは私に淫紋を刻むための触手だけ。自然に封印が解けるのを待つつもりなら、数十年後だと思う」
「神界が干渉している可能性が高いんだろう?」
「…神が下界に干渉する術は三つ。一つは、魔神クラスの神にすら及ぶ力を持つ勢力に加担させること。もう一つは、信仰対象から逸れた人間の心の隙に付け入ること。最後は、自身が義体を使って、地上界に降りること。この中で最も有力なのが、一つ目なの。二つ目は、強制的に自分に信仰を上書きできるけど、たかが人間を数人洗脳した程度で、魔神の封印をどうこうなんてできるはずもない。最後の手段の義体でも、地上界に降りた時点で神はSSSクラスの能力にまで低下する。それに、同じ神格を持つ私に察知されて消される可能性の方が高い。神力が宿った義体は私が広範囲探知魔術を一度発動するだけで、どこの国にどんな存在としているか把握できるから。自らそんな危険を冒すとは思えない」
「…そうか。なら、神界は色欲魔神を介してしか、レイに攻撃はしてこないということだな」
「少なくとも敵が普通の神ならね。創造神ならちょっと話が変わってくるけれど、あの神とは私は仲が良かったから、敵視はされていないはず」
そう告げて、神界の事情をある程度かいつまんで説明する。
恐らく私から神格を奪おうとしているのは中級神のクロエラと、その取り巻きにいた下級から中級の女神達だということ。
以前は彼女たちに災厄級の呪具で呪い殺されたこと。
取り敢えず必要そうな説明は全て済ませた。
離し終わった頃には、夕日が沈みかけていた。
「…よく分かった。神界など、滅べばいい」
不機嫌そうに眉に皴を寄せたローゼンは、殺気を孕んだ目で呟いた。
その緋色の瞳を見て、彼の柔らかい髪を撫でる。
「…私別に恨んではいないのよ?神界にだって、話の分かる神も居れば、話の通じない馬鹿も居る。信仰は神にとって無くてはならない絶対的な力の源。それを奪ってしまえば、創造神以外のほとんどの神が、弱体化を余儀なくされる。後は貴方達が好きにすればいいわ。究極神獣に至れれば、完全に理から外れた存在になれる。最高神だって、束になって掛かれば殺せるでしょうから」
「…分かった。それで、具体的に究極神獣になるためにはどうすればいいんだ?」
「それは、わからないの。前例が過去に一件だけ。それ以上昔の記憶は私には無いし、どうやって至ったのかも詳しいことは何も。ただ、今のペースで神力を上げ続ければ、そのうち…っ…っく…」
ローゼンの髪を撫でていた手を止める。
全身から汗が噴き出して、がくんとその場で崩れ落ちた。
幸い、目の前にいたローゼンが身体を受け止めてくれたけれど、もう立つこともままならない。
「は…はぁっ…っく…」
息苦しさは一週間前と変わらなかった。
命をじわじわと削るような苦痛と、感覚鈍化を二重掛けしているのに、それでも熱を発するように熱くなる身体。
ローゼンがすぐにベッドに運んで、他の神獣達に視線を向ける。
「どうすればいいんだ?」
「ただ己の欲望に忠実になればいいだけです」
サクヤの言葉を聞いて、ローゼンは迷うことなく私のローブを脱がした。
ワンピースの留め金を外しながら、私に口づけを落としてくる。
発情で正気を失っている私は、与えられる温もりに自ら舌を絡めて応えた。
この後R18シーンです。
二日ほど更新止まります。




